人類史上で、地球から最も遠い太陽系天体・冥王星を探査した無人探査機「ニュー・ホライズンズ」
この探査機の最終目的地は冥王星か?と思っている人も多いかと思いますが、実は冥王星よりももっと地球から遠い天体を探査する任務も課せられています。
現在、太陽系には一番外側にある準惑星の冥王星を含む惑星が9つあるとされていますが、さらに外側に向かう予定のニュー・ホライズンズの最終目的地はどこなのか?それを調べてみました。

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「ニュー・ホライズンズ」の冥王星探査の成果

地球からの平均距離約50億キロ以上と遠く離れていたため、これまでその詳細を調べることが出来ず謎の多い天体だった冥王星。

「Image Credit:ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた冥王星(左)と衛星カロン(右)(DR. R. ALBRECHT, ESA/ESO SPACE TELESCOPE EUROPEAN COORDINATING FACILITY; NASA)」
この遠い天体まで約9年半かけて向かい、2015年7月に冥王星にたどり着いたのが、太陽系外縁天体探査機「ニュー・ホライズンズ」です。
そのニュー・ホライズンズの冥王星探査は大成功をおさめ、数々の鮮明な冥王星の画像や詳細なデータを地球に送り届けてくれました。

「Image Credit:ニュー・ホライズンズが撮影した冥王星(右)と衛星カロン(左)(NASA/JHUAPL/SwRI)」
●参考サイト:【New Horizons】
ニュー・ホライズンズは冥王星の地表の詳細な画像のデータや大気分析、またこれまで冥王星にある衛星のうち最も大きな「カロン」以外はほとんどわかっていませんでしたが、ニュー・ホライズンズによって残り4つの衛星の姿がハッキリと捕えることが出来たのも大きな成果でした。

「Image Credit:冥王星の4つの衛星。左からヒドラ・ニクス・ケルベロス・ステュクス(Wikipediaより)」

冥王星探査の目的

今回ニュー・ホライズンズが訪れた冥王星は、月よりも小さく大気もほとんど無い天体です。
そのため、一見あまり調査の重要度が低いようにも思われますが、何故巨額の費用をかけて冥王星探査を行ったのでしょうか?
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理由はいくつかありますが、ひとつはこれまで太陽系の9つの惑星で、まだ探査が行われていなかったのが冥王星だけでした。
ただ、現在の冥王星は惑星ではなく、ワンランク下のカテゴリーである準惑星に分類されていますが、長い間惑星として認識されて来ましたので、太陽系の仲間としてしっかりとその正体を確かめる必要があったとされています。
さらに、冥王星がある位置は、太陽系の起源を知る上でも重要なエッジワース・カイパーベルトの中にある天体ですので、冥王星を探査することで太陽系の起源を知ることが出来る可能性があるため、調査の重要度が高いと考えられてきました。
ほかにも大気の分析や、衛星・カロンとの関係性なども探査の目的となっています。

ニュー・ホライズンズ冥王星探査後の次の目的地

ニュー・ホライズンズの主たる調査対象は冥王星でしたが、それ以外にも太陽系の外縁天体を探査する目的があります。
ニュー・ホライズンズの目的である外縁天体とは、すなわち冥王星も含むエッジワース・カイパベルトの事です。
カイパーベルトとは、海王星軌道の外側に広く分布する円盤状に小天体が密集する宙域の事で、ここに太陽系の起源を知る上で重要な天体が多数あると考えられています。
今回、冥王星探査を終えたニュー・ホライズンズが次に向かった天体が、2019年1月1日にフライバイを行った、地球から約70億キロの距離にある大きさ30キロほどの小惑星・アロコス(2014MU69)です。

「Image Credit:小惑星・アロコス(Wikipediaより)」
アロコスを通過したニュー・ホライズンズは、また次の目標天体を捜索しながら、最終的にはパイオニア10号やボイジャー1、2号と同様に太陽系を離脱し果てしない宇宙の旅に出る予定です。
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