バーナード星と聞いてピンと来ない人は多いか?と思います。
「もしかしてスターウォーズに出て来る惑星の事?」といった具合にSF映画にでも登場するかのような星にも聞こえる名前ですが、この星は実在する星(恒星)でしかも地球に非常に近い距離にある天体なのです。

そんな地球に近いバーナード星に惑星が見つかった!という事が話題になっており、もしかしたらその惑星に生命の存在の可能性が?、さらには近い事から将来人類が移住出来るかも?というような夢もあったりしますが、残念ながら現実は厳しいようです。

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バーナード星ってどんな星?

今回の話題の主役であるバーナード星って、そもそもどんな星なのでしょうか?
一般的には聞き慣れない天体の名前ですが、SF小説や映画では何度かこの星が登場していますので聞いた事がある人がいるかも知れません。

そんなバーナード星についてどんな星なのか?を簡単な概要をご説明すると。
まずこの天体の名前については、アメリカの天文学者エドワード・バーナード博士によって1916年に発見されたためその名が付けられています。

この天体が見える方角は夏の星座・へびつかい座方向なのですが、視等級が9.5等級という非常に暗い恒星のため肉眼ではまず見る事が出来ません。

「Image Credit:へびつかい座方向に位置するバーナード星(星座図鑑)より」
「バーナード星」という名前は一般的にはそれほど知られていませんが、肉眼で見えないにも関わらず天文ファンや天文関係者にはとても有名な星でもあります。

では、何故この天体は有名なのでしょうkか?
その理由は、バーナード星までの距離と特徴にあります。

私たちが居る太陽系からバーナード星まで約6光年。これはケンタウルス座α星系との距離約4.3光年に次いで2番目に近い距離です。

次に特徴は、この星の固有運動の大きさ。
太陽や地球をはじめ宇宙の星々は全て移動(固有運動)をしていますが、バーナード星の視線速度は秒速約110キロもあり、この速度は全天でナンバーワンのスピードでさらに太陽系に接近しつつあり、約1万年後にはケンタウルス座α星系より近い距離(3.8光年)まで近づくとされています。

そして気になるのは、バーナード星ってどんな天体なのか?
バーナード星は太陽のような恒星ですが、質量は太陽の約17%で大きさも太陽の5分の1ほどの小さな恒星です。

「Image Credit:Wikipedia」
また、表面温度は太陽の6,000度の半分3,000度であり、恒星のタイプとしてはスペクトル型がM5型の赤色矮星です。
(ちなみに太陽はスペクトルG2V型。)
このように、バーナード星はとても小さく暗い恒星(明るさは太陽の0.3%)のため、これまでの観測では惑星の存在は確認されなかったのですが、最新の観測で惑星を持つ恒星であることが判明しています。
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バーナード星を公転するスーパーアース級の惑星

バーナード星で発見されたのは、地球の3.2倍以上の質量を持つスーパーアース級の惑星であるとの事であり、スーパーアースとは地球の数倍あるサイズの岩石惑星の事で、バーナード星以外にもスーパーアース候補の惑星は多数見つかっています。

「Image Credit:バーナード星のスーパーアース想像図(欧州南天天文台より)」
しかし、これはあくまでもスーパーアース候補というだけで実際は地球のような岩石惑星ではない可能性もあり、質量や大きさなどから天王星や海王星のようなガスや氷で出来た惑星である可能性もあるとの事です。

バーナード星の惑星に生命の存在は?

今回見つかったスーパーアース級の惑星は、主星であるバーナード星から約6,000万キロの位置にあり約233日で公転している事が判明しており、太陽系に置き換えると主星(太陽)から惑星までの距離が6,000万キロというのは太陽と水星の距離に匹敵し非常に近いと思われますが、そもそもバーナード星自体が赤色矮星で質量が小さく温度も低温なため、この距離では地球が太陽から受けているエネルギーの2%ほどしかないと言います。
つまり、発見されたスーパーアースの表面温度は極めて低温だということが考えられ、推測によるとマイナス170度ほどではないかと考えられているため、このような環境では生命存在には適さないというのが今のところの考え方です。

(参考:バーナード星の惑星の様子を描いた想像動画)

「Copyright ©:European Southern Observatory (ESO) All rights reserved.」

バーナード星には本当に生命が存在する惑星はないのか?

バーナード星で発見された惑星がスーパーアースではないか?という推測に至ったのには理由があるそうです。

それは、これまでの系外惑星探査で得たデータによると、バーナード星のような赤色矮星で形成される惑星ではスーパーアースが最も一般的で、なおかつ、今回惑星が発見された付近は水のような揮発性物質が凝縮して固体になる境界領域に該当しており、この惑星がスーパーアースである事は非常に可能性が高いと考えられています。
しかし、もしこの惑星がスーパーアースであるならば、質量も大きいため自重による惑星内部の活動が活発になっている可能性もあり、冷え切った氷の惑星ではなく地表にマグマが噴き出すような煮えたぎった惑星である事も考えられます。

また、今回はスーパーアース級の惑星が見つかってはいますが、他に惑星は存在しないとは言い切れません。
もしかしたら、もっと主星に近い距離の ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に地球サイズの岩石惑星が存在するかも知れません。
そのような惑星がバーナード星に存在すれば、地球から近いだけに将来人類が移住する惑星の候補になる事も考えられるのではないでしょうか?

いずれにせよ、今後の更なる調査が楽しみです。
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