宇宙のどこかに「自分たち(人間)が住める星があるかも知れない?!」と期待を抱き、そんな星を探すための本格的な計画が進みつつあります。
それは、最新鋭の観測機器を備えた次世代型宇宙望遠鏡で探索するというもの。この計画が実行されれば、近い将来、私たちが住めそうな”第二の地球”が見つかる可能性があるかも知れません。

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地球に生命が住みずらい環境をつくってしまった身勝手な人間

自分たちの生活を便利で豊かにするために、石炭や天然ガス、そして石油等の化石燃料を使いまくり、さらには2023年には世界人口が80億人を超え、その結果として地球の自然バランスが崩れ、二酸化炭素等の排出量が莫大に増える事で温暖化が進行し、今や素人の私たちでも肌で実感するほど地球は住ずらくなって来ていると感じています。

温暖化の進行が止められず、生物が住む環境が少しずつ脅かされつつある地球。その原因をつくっているのは紛れもなく私たち人間です。
そんな状況を目の当たりにし、もしかしたらいずれ地球には人が住めなくなるかも知れない?!という危機感を持つ人がいるかも知れません。
自分たちで地球環境を悪くしておきながら危機感を持つっていうのも身勝手な話で、しかも地球が住めなくなるなら、宇宙のどこかにあるかも知れない”第二の地球”を探してみようっていう考え方もある意味で身勝手な話かも知れません。

「Image Credit:iStock」

「Copyright ©:メタボールスタジオ All rights reserved.」
地球はこのまま行くと、当たり前のように異常気象が多発し、陸地は砂漠化が進み、海面は上昇し、人間ばかりではなく地球上の生物たち全てが住む場を失っていくことが目に見えるようです。
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第二の地球探しは急務?次々に立ち上がる生命が住める星探しプロジェクト

今後、地球が生命の危機的状況になり得る?!という緊迫感が背景にあるかどうかはわかりませんが、それでも地球が生命にとって危機的状況を迎えつつある事は事実なワケで、その様な状況下では、かつての地球環境を取り戻す努力が必要な事は当然として、さらには人口増加対策のうえでも将来的な事を考え”第二の地球”探しは必要な事かも知れません。
現在、地上や宇宙から最新の観測技術を使い、5,000(2024年現在)を超える太陽系外惑星の発見に成功しており、そのうち数十個は地球に似た環境を持つ可能性があるハビタブル惑星も発見されています。

「Image Credit:地球型系外惑星の想像図(Wikipediaより)」
しかし、いくら地球に似たハビタブル惑星を発見出来たとしても、その惑星は地球から何十光年も離れた場所にあり、惑星が本当に地球に似ているのか?現状では詳しく調べる事は出来ません。

そこでNASAは、せっかく見つかった”地球型太陽系外惑星”を詳しく調べるため、最新鋭で強力な宇宙望遠鏡を打ち上げようと計画しています。
それが「ハビタブル・ワールド・オブザーバトリー(HWO:Habitable Worlds Observatory)」です。

「Image Credit:ハビタブル・ワールド・オブザーバトリーのイメージ図(NASA GSFCより)」
NASAが主導する宇宙望遠鏡計画では、現在、1兆円以上の開発費と投じて造られた最新鋭のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が運用されており大きな成果を挙げていますが、それに続く宇宙望遠鏡が「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(Nancy Grace Roman Space Telescope)」で2020年代中には打ち上げられる予定となっています。
そして、時期的は先の計画実行になりますが、2024年代を目途にこのHWOが打ち上げられる予定となっており、これにより宇宙の探索はさらに加速すると考えられます。
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HWOの活躍次第で人類が住める惑星かどうかを見極められる!?

HWOの観測目的はズバリ!太陽系外惑星の大気成分を詳しく調べる事にあります。
この観測では、主にトランジット分光法によって発見された系外惑星を対象としており、惑星が主星である恒星の前を横切る時のわずかな減光を分析し、その際に惑星を取り巻く大気を可視光や赤外線、紫外線を通して詳しく調べ、また惑星から放出される熱放射も検出等し、分析した大気成分を基準にし生命の痕跡を探ろうというモノです。

「Copyright ©:ESA Space Science Hub All rights reserved.」

生命探査対象は赤色矮星の惑星になってしまう?!

これまで、地球に似た太陽系外惑星は定期的に発見されていますが、私たちが求める生命に適した条件を持つ環境世界を探すとなると、それは一段と難しくなります。
例えば、HWOが観測する多く惑星は、主星と惑星の距離が近い事で見つかりやすくなるトランジット分光法によって見つかった惑星で、その惑星の主星、つまり太陽となる星は赤色矮星になってしまいます。
赤色矮星は、私たちの太陽よりは質量がかなり小さな暗い恒星です。つまり、赤色矮星から放たれる光は暗いとされ、惑星の昼間は夕方のような薄暗さではないか?と考えられています。

「Image Credit:赤色矮星を太陽に持つ惑星の昼間の想像図(NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo USより)」
また、主星と惑星の距離が近いと起きやすい潮汐ロックもまた問題になって来るでしょう。
潮汐ロックとは、惑星が主星の強い重力に影響されて公転と自転が同期してしまう現象の事で、わかりやすく説明すると地球と月がまさに潮汐ロックの状態にあり、月が常に地球に同じ面を向けている事。それが潮汐ロックであり、惑星が主星に対し潮汐ロックの状態にあると、常に同じ面を主星に向けてしまうと、完全に永遠の昼側と夜側に分かれてしまう事となり、その星に生命が宿る事は非常に厳しい条件となってしまいます。
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人類が住める惑星が見つかったとて・・・

HWOの観測目的は太陽系外惑星に生命の痕跡があるかどうかを調べる事ですが、仮にこの探索で地球とほぼ同じ環境の惑星が見つかったとしたらどうでしょう?
もちろん、そのニュースは「第二の地球が見つかった」とセンセーショナルに報道されるでしょう。
だからと言って、私たちはその惑星に行く事は出来るでしょうか?・・・結論を先に言うと、残念ながら今の技術では到底不可能です。
例えば、10光年先に人が住める惑星が見つかったとしましょう。そして1光年は約10兆キロ(正確には9兆4,600億キロ)もあり、10光年となると約100兆キロの距離となってしまい、この距離を今の最高技術で建造した宇宙船で向かったとしても、おそらく10光年先の惑星に到着するまで数十万年の年月が必要となって来るでしょう。

「Image Credit:iStock」
となると、HWOの観測では将来の移住先の目星をつける事に留まり、現地に出向いての詳しい調査や移住となると、未来において革新的な技術革命が起きる事を願うしかなさそうですね。
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