2011年に惜しまれつつ退役したアメリカNASAの有人宇宙船スペースシャトル。このスペースシャトルは誰もが知っている有名な宇宙船ではないでしょうか。
ところで、かつて旧ソ連(ロシア)でもスペースシャトルを開発していたって事実をご存じでしょうか?
アメリカでは「スペースシャトル計画」と呼ばれいましたが、旧ソ連では「ブラン計画」と呼ばれていた幻の宇宙計画です。
今回はこの「ブラン計画」について少し調べてみました。

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幻の旧ソ連版スペースシャトル計画

かつてのアポロ計画やソユーズ計画といった、円筒状でペンシル型とも呼ばれる使い捨てロケットでは莫大なコストがかかり、今後訪れるであろう商用利用も伴った宇宙開発事業には向かないとして、アメリカ航空宇宙局 (NASA) 計画されたのが、繰り返し使用出来る「再利用」をコンセプトにしたスペースシャトル計画です。

1981年の初飛行から2011年の退役まで実に30年間も運用されたスペースシャトルは、日本人宇宙飛行士が何人も搭乗している事もあり、日本でも広く知られた宇宙船でしたが、実はスペースシャトルとほぼ同時期に、旧ソ連でもスペースシャトル計画が進行中していました。

その名前が「ブラン計画」

「Image Credit:Wikipedia」
上画像↑をご覧いただいてもわかるように、宇宙船の形状もパッと見ではアメリカのスペースシャトルと変わりません。まさに、ソ連版スペースシャトルと言っても良い宇宙開発計画でした。
そんな宇宙船ブランの初飛行はアメリカのスペースシャトルから遅れる事7年後、1988年11月にバイコヌール基地から打ち上げられ、地球軌道を周回し無事にグライダー形式で帰還しています。


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しかし、このときのブランは無人で運航され、打ち上げられたのもこの1回きりとなってしまいました。

ブラン計画が頓挫した理由

ソ連版スペースシャトルのブランが初飛行したのは、ソ連崩壊3年前の1988年です。
つまり、この計画はソ連崩壊の煽りを受けたカタチになり、予算不足等の理由で計画は頓挫してしまい幻の宇宙計画として終わってしまう結果となったワケです。

「Image Credit:NATIONAL GEOGRAPHIC
莫大な資金を投じて建造されたソ連版スペースシャトル「ブラン」。その後は崩壊の混乱等もあり、しばらくの間放置され廃墟のような状態になり、高価な宇宙船ブランも↑ご覧のようなありさまです。
しかし、現在では旧ソ連時代の遺産のひとつとして、バイコヌール宇宙基地内の博物館に展示されているそうです。

ブラン計画に代わるロシアの宇宙開発計画とは?

ソ連崩壊という不幸な事情により、計画が中止となってしまった「ブラン計画」。その後のロシアの宇宙開発はそれほど進展しておらず、旧ソ連の遺産を受け継ぐカタチで、1960年代から進行しているソユ-ズ計画が母体となって宇宙事業が続いています。
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ソユーズ計画は人類の宇宙開発の歴史上、もっとも長期間に渡る宇宙計画でもあり、そのためロケットのシステムはかなり旧式になるモノの実績も豊富なため、現在では軍事や科学目的というより、商用目的でロシア経済に貢献している実態もあります。

例えば、現在運用中の国際宇宙ステーション(ISS)。これまでISSの宇宙飛行士の輸送の任務を主に行っていたのは、アメリカのスペースシャトルだったのですが、2011年にスペースシャトルが退役して以降、ISSへの輸送手段はソユーズロケットが一手に引き受けることに。

「Image Credit:ISSに向け順調に飛行するソユーズ宇宙船(GIZMODOより)」
この宇宙飛行士の輸送費用は、1人当たり8,000万ドルもかかるらしく、外国人宇宙飛行士を運ぶロシアにとっては大きな外貨獲得の手段になっており、また、民間人も搭乗するという実績もあります。
【参考動画:民間人前澤氏ソユーズに搭乗し宇宙へ!】

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しかし、流石にソユーズは旧世代型のロケットのため、いつまでも運用が出来るワケではなく、ロシアも新たな宇宙ロケットの開発に取り組んでいます。
それが、現在開発中(2020年現在)の新型宇宙ロケット「アンガラ」です。

「Image Credit::ロシア国防省」
アンガラは、ソユーズ計画等で使われて来た実績はあるが旧式化しているプロトンロケットに代わる大型ロケットとして開発が進められており、これまで数回の打ち上げ実験に成功し運用開始間近だと言われています。
また、この新型ロケットは、民間も含めた宇宙事業に主に活用される運用目的で開発されており、人工衛星等を最大24,500キロまで運べ大幅なコスト削減も盛り込んだ設計となっているようです。

かつて、冷戦状態にあったアメリカと熾烈な宇宙開発競争を行っていた旧ソ連ことロシア。
現在は技術面において、アメリカに遅れをとっていることは否めませんが、それでもソユーズ計画で蓄積した実績とノウハウを活用し、新しく宇宙開発事業に積極的に取り組んでいます。
そんな宇宙事業に取り組むロシアの最新鋭ロケット・アンガラは、商用目的で開発された部分が大きく、本格的な運用が始まった場合、民間にも約2,000万ドルから販売を開始するそうです。
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