日本ではあまり報じられていませんので知らない方も多いかも知れませんが、近年の中国の宇宙探査・開発技術の進歩は目覚ましいものがあります。

そんな中国において、新しい宇宙開発の情報が発信され世界最大の電波望遠鏡が完成!との報道があったのです。
それは本当かどうかはまた別の話かも知れませんが、未だ見ぬ宇宙人ともコンタクト可能な超高性能な望遠鏡だとか?!
中国が建設した高性能電波望遠鏡とはどんなモノなのでしょうか?その仕組みと性能について、いくつか調べてみたいと思います。

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世界最大の電波望遠鏡とは?

中国政府が2011年に貴州省南西の平塘県で着手した世界最大の電波望遠鏡「FAST」
通称「天眼」と呼ばれる最新鋭の電波望遠鏡は、直径500メートルにも及ぶ巨大なパラボラアンテナを装備しており、約12億元(約185億円)という巨額な資金が投入され建設されたと言われています。

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なお、これまで世界最大だった電波望遠鏡はプエルトリコにあるアレシボ天文台で大きさは305メートルです。

「Image Credit:アレシボ天文台(上)FAST(下)(Wikipediaより)」
上図↑でもおわかりなようにFASTはそれを遥かに上回る大きさで、性能はアレシボ天文台の10倍もあるとの事です。

世界最大の電波望遠鏡建設に国民の不満?

この電波望遠鏡の完成で中国の技術力の高さを証明されたワケですが、その一方で建設にあたり周辺の住民約9,000人が立ち退きを迫られたそうです。

そもそも山中に建設された電波望遠鏡ですので、普通に考えれば建設地に住宅等は無く立ち退きの必要もないと思われるのですが、周辺の住民が出す生活電波の影響で望遠鏡の精度が落ちたり、電磁波などの影響で健康被害も起こる可能性があるとして強制的に立ち退きとなったようです。

「Image Credit:iStock」
なお、立ち退き料は1万元で日本円では約15万円となり、この金額は中国の一世帯あたりの年収に相当するといいます。
ですが、このような国家事業による強制的な立ち退きは中国では珍しくなく、2008年の北京オリンピック開催でもこのような立ち退きを迫られた住民が多数おり、不満を招いていたということはニュースでも大きく取り上げられ記憶に新しいところではないでしょうか?!
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電波望遠鏡の仕組みとは?

電波望遠鏡のおおまかな仕組みは家庭にあるパラボラアンテナのように、通信衛星から発信される電波を受信する事と同様で宇宙から発信されてくる様々な信号や電波を集め、それを分析しデータや映像化出来る装置です。

「Image Credit:Wallpaperbetter」
今回、中国が建設した巨大な電波望遠鏡の反射面の面積は25万平方メートルで、これは一般的なサッカーグラウンド30個分に相当する大きさだと言います。反射鏡ユニットの厚さはわずか1ミリですが、アルミ合金を2,000トン以上使用した4,450枚の反射鏡ユニットで、宇宙の彼方からの微弱な電波も捕えることが可能だと言います。

世界最大の電波望遠鏡完成で期待できる成果とは?

周辺住民の立ち退きを迫ってまでして建設された世界最大の電波望遠鏡「FAST」。
本格稼働は2020年11月から始まっており、深宇宙の謎を解明するために大きく役立たれていることが期待されます。

FASTの稼働により銀河の中心の詳細な状況の観測や、先日発見された重力波や中性子星の観測をさらに深める事が出来ると言います。
また、電波を発信するであろう地球外知的生命体の発見が出来るか?どうかも、このFASTには期待が寄せられているとの事です。

地球外知的生命体。

「Image Credit:iStock」
つまり簡単な言い方をすると宇宙人の事ですが、現時点での常識の範囲内において、宇宙人の存在を信じることは言わば荒唐無稽な話であるかも知れません。
しかし、多くの科学者は宇宙人は存在すると信じています。
何故、専門的な知識を持つ科学者が宇宙人の存在を信じるのでしょうか?
その理由は知識を持つ専門家だからこそであり、とてつもなく広大な宇宙において知的生命体が我々人類だけであるハズがないという事から確信を持っています。
ただ、宇宙人を探すのは非常に難しく、成功の可能性もかなり低い探査ミッションだと言えるでしょう。
それでも、もしかしたら「FAST」の活躍により宇宙人存在が明らかになるかも知れません。

※ 追記:FASTは2020年末からの運用開始以降、数々の成果を挙げています。
残念ながら地球外知的生命体の発見には至っていませんが、これまでに(2022年6月現在)500個以上の新たなパルサーを発見しています。
なお、パルサーとは大質量恒星が超新星爆発を起こした後に形成された中性子星の事で、超高速自転かつ超高密度で極端な物理的性質を持っているため発見が難しいとされています。
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