まるで、アニメやCG映像のような動画が公開され話題になっています。
それは、アメリカの民間宇宙ベンチャー企業が開発している商業用ロケットの実験によるもので、打ち上げたロケットが舞い戻って来て逆噴射で垂直着陸するという、まるでCGで創ったようなビックリする映像です。
これってCGではなく本物の映像。そして見事成功し今後の実用化がより現実味が増してきたとか?
果たして、民間企業が開発した画期的なロケットとはどんな性能なのでしょうか。
コストのかかる使い捨てから低コストの再利用ロケットへ
これまでの人類は、1960年代から70年代にかけて、莫大な費用のかかる使い捨てロケットで宇宙開発の歴史が幕を開けました。しかし、この使い捨てロケットにかかる費用は、国家予算に影響を与えるほど高額で、世論の厳しい批判を浴びる結果となっていました。
そんな中、1980年代から約30年間に渡って開発、運用されて来たのが、ご存じスペース・シャトル。
スペースシャトルは宇宙飛行士が搭乗する宇宙船(オービター)から、打ち上げ時に使用するロケットブースターまで再利用可能で、当時は画期的なシステムとして注目を浴びていました。
「Image Credit:NASA」
スペースシャトルは、宇宙事業の低コスト化を目指して運用されて来たのですが、思ったほどの低コスト化が図られず、また老朽化や安全性にも問題があったため2011年計画終了に。
そして、今後の宇宙開発はビジネスとして、民間にも委ねられることになった背景があります。
民間企業が開発するアイデア満載の?宇宙事業
莫大な費用のかかる宇宙事業は、民間企業の予算レベルではかなり厳しい部分があります。そこで低コスト化を図るため、新たなアイデアと技術が必要になり、宇宙事業に参入する企業は、様々な技術で取り組んでいます。
そこで、今回ご紹介するのが、アメリカのスペースx社が開発した商業用ロケット「ファルコン9」です。
このほど、その打ち上げと着陸実験の映像が公開され話題になっています。
ファルコン9はこれまでの実験で、同社が開発した補給船ドラゴンを地球衛星軌道に投入に成功はしてきたのですが、再利用を目的とした打ち上げロケットの地上帰還にはなかなか成功していませんでした。
そんな中今回行われたのは地上ではなく、不安定な洋上への着陸し、まさにCG映像のようなロケットの帰還を見事に成功させています。
これまで、打ち上げに使ったロケットは、スペースシャトルのブースターのように、燃料を使い切ったブースターをパラシュートで降下し洋上に落下させるものでした。
この方法では、再利用は出来るモノの回収に手間と費用がかかっていましたが、ファルコン9では今回洋上着陸の実験が成功したことで、どこでも着陸されることが出来ることを証明し、さらにコスト削減に成功し、ロケットの再利用技術に革新的な進歩をもたらしています。
ファルコン9の技術は今後の宇宙事業にどう応用される?
スペースX社が開発しているロケットは、商用目的のモノです。つまり、最終目的は人(お客様)を乗せて宇宙に送り届けるためのビジネス。民間企業が宇宙事業に参入して来たことで、今後の宇宙は限られた人物しか行けない場所ではなく、一般人が気軽に行ける時代が、近い将来やって来ると見込んで技術に投資を始めており、未だ未開拓な宇宙は民間企業にとって、大きなビジネスチャンスがある場所となり得るのです。
そしてさらには、月面や火星へも人を送り届ける。今回、実験に成功したファルコン9の着陸技術をさらに応用出来れば、大気と重力の存在する火星にも、宇宙船を着陸させることが出来る画期的な技術です。