最近、話題になりつつある「人類火星移住プロジェクト」。
2020年代には、第一陣の移住者を火星に送る計画があるとか?!
しかしながら、この火星移住計画はあまりにも無謀で現実的に困難との声も多く挙がっています。
その火星移住が困難なという理由は何なのでしょうか?
人類は本当に火星に移住して生活していくことが出来るのでしょうか?
いろいろな資料を参照しつつ、また個人的な考えも踏まえ検証してみました。

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2020年代に実現?「人類火星移住計画」の概要

火星と言えば、地球のすぐ外側を公転している太陽系第四惑星で、不毛の大地が広がる赤茶けた星という印象があると思います。

「Image Credit:NASA」
そんな火星に人類は移住しようという計画を立てています。
それが火星移住計画「マーズワン」

このプロジェクトは、オランダの民間非営利団体が立ち上げた、2025年までを目標に、人類を火星に送り移住させるというモノで、しかも、この火星行きは片道切符で、一度火星の地に降り立ったら二度と地球には帰れないという決死の計画だとの事ですが、かなり無謀なように思えるこの計画に、何故か世界中から応募者が殺到していると言います。
そして、結果的に20万人にも及ぶ応募者が集まり、その中から審査で選ばれた24人が順次火星に向けて飛び移住するらしいのですが、実際、これは現実的と言えるのでしょうか?

「Copyright ©:TIME All rights reserved.」
現在、火星移住候補に選ばれた人たちは、来るべ火星行きに向けて訓練を行っているらしく、不毛で前人未踏の地で生きていくための術を学んでいるとの事。

人類が火星に行くべき理由とは?

基本的な疑問として、「何故、人類は火星を目指す!」のでしょうか?
その最大の理由として挙げられるのが、火星が太陽系の星々の中で、最も地球に環境が似ている星だからです。
地球に似ているとは言っても、その環境は地球には遠く及びません。
  • 大気圧は、地球の100分の1以下。
  • 重力は、地球の約3分の1。
  • 平均気温は、マイナス40度以下。
といった具合に、この環境下で、人間はとても生身の身体で生活することなど出来ません。
なのに何故、火星に行く必要があるのか?
それは、火星に・・・
  • 水がある可能性がある。
  • 生命の痕跡。もしくは、生命がいる可能性も?
  • 将来的に、本格的な移住の可能性を探る目的。
など、人類にとってプラスになる可能性を火星は秘めています。
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NASAの火星有人飛行は2030年代なのに?

あのアメリカ航空宇宙局「NASA」は、2030年代に火星有人飛行を実現すると発表しています。
にも関わらず、宇宙探査・開発には技術的にも資金面でも足元にも及ばない民間団体が、NASAより先に火星に人を送るというのは、どう考えてもおかしいと、かなりの批判が挙がっています。
それもそのハズ。
人類はまだ、地球の衛星である月にしか足を踏み入れたことしかありません。
月に行くのでさえ、技術的にもかなり難しく、なにより莫大な資金が必要になります。

「Image Credit:NASA火星有人探査用?オリオン宇宙船想像図(NASA Mars Exploration)」
そんな月より遥かに遠い天体なのが火星。
地球と月の距離は約38万キロなのに対し、火星は地球に最も近づいたときでも約8,000万キロと桁違いに遠く、さらに、大気のほとんど無い月とは違い火星は薄いですが大気があります。
大気があるとなると、宇宙船を火星の地上に着陸させるのも至難の業。
ましてや、人が乗った宇宙船を安全に着陸させるとなれば、かなりの技術が必要となり、それなりに時間をかけたテスト・実験も行わなくてはならないでしょう!?
そのような技術テストを行うにしても、2020年代に火星行きを実現させるという事は、あまりにも時間が不足しているし、資金調達も難しいのでは?
あのNASAでさえ、火星有人飛行は時間をかけて、綿密な計画を立てている。
なのに、民間がNASAより先にそんな事が出来るのか?

そのような疑念もあり、批判も挙がっているそうです。

人類火星移住計画に赤信号?不都合な火星の現実8項目

民間団体が行おうとしている「火星移住計画」もそうですが、人類はいづれ火星に移住するための可能性も探っているのが現実にあるようです。
何故、将来人類を火星に移住させたいのか?
その大きな理由は、地球上での人口増加問題。
世界人口は、爆発的な増加傾向にあり、数十年後には100億人を超えるという試算も出るほど人口が増えています。
そうなると、地球環境は飽和状態になり、環境破壊も深刻化する恐れも?!
これを解決するための、1つの手段として考えられているのが火星移住計画です。

「Image Credit:マーズ 火星移住計画
しかしながら、火星に人類を移住させるには問題も多く、”移住不可能”ではないか?と考えられる火星の不都合な現実がいくつかあります。
それが・・・
  1. 「火星までの道のりの危険性」
    地球から火星までの片道の道のり約8,000万キロ~約3億キロ。この長く遠い航行中に、危険な放射線を絶え間なく浴び続けなければなりません。それには、放射線を避けるための、高い技術で建造した強固な宇宙船の開発が必要ではないでしょうか。
  2. 「磁場が存在しない火星での生活は危険?!」
    火星は地球のような固有磁場が存在しません。そのため、太陽風や宇宙からの放射線が容赦なく地表に降り注いでいます。火星移住者が、この放射線から身を守るためには、万全な放射線防御対策が必須条件となります。
  3. 「火星での食料確保問題」
    移住者たちが、火星で食料をどう確保するのか?火星の土壌を利用して、農作物を育てるという意見もありますが、そもそも火星に肥えた土壌などあるわけもなく、しかも火星の土壌は強烈な放射線を浴び続けた危険なモノです。その危険な土壌を使って改良したとしても、完全に放射線を除去することは困難か?!
  4. 「水の確保も難しい?!」
    火星に水があるといってもどこにでもあるワケでなく、極く限られた場所にしかない可能性があり、その水もやはり放射線に汚染されている可能性があります。
  5. 「火星で火を使うのは危険?!」
    人類が生活するのに適した大気が存在しない火星。そうなると、生きるために大量に酸素を生成する必要があります。燃焼効果の極めて高い酸素がある中で、生活に必要となるかも知れない火を起こすとどうなるのか?非常に危険な臭いがします。
  6. 「砂嵐に怯える生活?!」
    大気圧は低いが、火星の低重力下で起きる嵐は強烈で、地球上で起こるようなハリケーン並みの砂嵐が、しょっちゅう発生するという調査報告もあります。このような嵐にも移住者は、しっかりとした対策を取らないと行けないかも知れません。
  7. 「隕石落下の恐怖?!」
    大気の薄い火星では、地球のように隕石が落ちて来ても、大気摩擦で燃え尽きない場合が多い可能性があります。また、火星は小天体が多数存在する小惑星帯(アステロイド・ベルト)にも近く、地球以上の近傍小天体が存在すると考えられており、これらがいつ、移住者の住む地表に落下するか?わからないというのも、危険要素の一つかも知れません。
  8. 「根本的な問題。低重力下での生活は無理?!」
    火星の重力は地球の3分の1程度しかありません。そもそも人間の身体は、地球上の重力下で適応するように創られています。そんな人間が、地球の3分の1しか重力のない環境下で、長期間生活したらどうなるのか?筋力、骨、内臓その他、様々な場所に悪影響が出ることは間違いないでしょう。

火星の地球化・テラフォーミングは可能なのか?

現時点での火星は、とても人類が住めるような場所ではありません。
しかしながら、地球に似ている面もあり火星の自転軸が公転面から25度傾いているため、地球と同じような四季があります。

(地球の自転軸の傾きは23度)
さらに、火星の1年(公転)は678日ですが、1日は地球とほぼ同じ約24時間で自転しています。
このような類似点から、時間の流れを地球と同じように感じることも可能かも知れませんし、さらにこの類似点を利用し、人工的に火星を地球環境と同じように改造するという「テラ・フォーミング」構想もあります。
その方法は、当然ながら惑星規模での大改造ということになり、火星の大気中に温室効果を発生させる二酸化炭素などの気体を大量に散布し、気温を上昇させ、地表の氷を溶かして酸素や水蒸気を発生させるなどして、大気を地球に似せる作業を、長い時間をかけて行うというモノ。

「Image Credit:Wikipedia」
◆参考動画:【Terraforming Mars】
ただ、この計画には異論もあり、そもそも惑星規模での大改造は不可能だ!とか、いくら大気を厚くしようと試みても、火星の重力が低い分、大気を維持することが困難で、せっかく人工的に発生させた大気が、どんどん宇宙空間に流出してしまうのでは?などという考え方もあります。
このようなテラ・フォーミング計画が、火星移住実現直後から実施されるとは思いませんが、将来的にはこのような計画も、人類が火星移住する目的のひとつになっているかも知れません。

※ 追記:ここでご紹介した「Mars One計画」は、企画を進めていたオランダの民間組織が破綻したため2019年に白紙(中止)となったようです。
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