1960年代から70年代初頭にかけてアメリカのNASAが実行し大成功を収めた有人月面着陸ミッション「アポロ計画」。
あれから半世紀以上過ぎた現在。未だに次の月面着陸は行われていませんでしたが、ついにNASAが再始動を発表しました。
という事は近い将来、再び人類が月面の地に立つ日がやって来そうなのですが、それはいつで、月面着陸ミッションでは何が行われるのでしょうか?

Sponsored Link

再始動するNASAの有人月面着陸ミッションとは?

アメリカ航空宇宙局(NASA)と言えば、人類の宇宙探査・開発の最先端にある機関である事は誰もが周知の事ではないでしょうか。
そんなNASAが実行し成功へ導いた偉業でまず思い浮かべるのは、アポロ計画で達成された有人月面着陸かも知れません。

「Image Credit:月面に立つアポロ11号の宇宙飛行士(Wikipediaより)」
しかし、この有人月面着陸が行われたのは半世紀以上も昔の話であり、それから現在(2022年)まで無人探査機は月面に着陸させても、人がそこまで行くという事は行われて来ませんでした。

そんな中、ようやくNASAが人類を月面に送る計画を発表。
既に約500万ドル以上もの予算が月面着陸ミッションに向けて組み込まれており計画も本格始動しており、今後は2024年頃から宇宙船のテストを行い、2028年頃までには計画を実行し、再び人類を月面に送り込む予定だと言います。

なお、再始動する月面着陸ミッションはNASA単独で行うのではなく、我が日本や欧州宇宙機関(ESA)等の国際協力、更には民間宇宙ベンチャーとも提携・協力し万全な体制で計画を推進していくことになっています。
また、これまで月面に降り立った人間はアメリカ人だけだったのですが、今回行われる各国が協力の有人月面着陸では、アメリカ人だけではなく他の国の人間も選ばれるため、日本人が月面に降り立つ可能性も十分にあり得る事になります。
Sponsored Link

前回と今回の有人月面着陸ミッション違い

半世紀前に行われた有人月面着陸ミッションについてご存じの方も多いと思いますが、この計画が行われた背景には当時のアメリカと旧ソ連の大国同士の冷戦がありました。

この時代、ライバル関係にあったアメリカとソ連は、互いの技術力でも争っており、そんな技術力を見せつけるための舞台に選ばれたのが”月”だったワケで、どちらが先に自国の人間を月面に送り込むか?で熾烈な競争が行われていました。

そしてその競争に勝利したのがアメリカ。負けたソ連は月面着陸を断念し、以降はロシア人が月面に降り立つ事がなかったワケで、大国の競争に選ばれた月では大袈裟に言うと、ただライバルより先に(月面に)到達出来ればイイという大義しかなく、月面を詳しく調査したり開拓するという具体性は無かったと言えます。

「Image Credit:月面にアメリカ国旗を立てるアポロ17号の宇宙飛行士(NASAより)」
しかし、今回行われる月面着陸ミッションは具体的で宇宙開発を推進する一環で行われ、アポロ時代とは段違いの月面の詳しい調査が行われる事はもちろんの事。月面基地を建設し長期滞在。月の資源を調達・開拓する目的もあります。

「Image Credit:月面基地の想像図(Wikipediaより)」
そして更に月面に人類を送り、開拓する理由は他にもあるとの事。

月を拠点にした月軌道プラットフォームゲートウェイの建設

21世紀は宇宙開拓が飛躍的に進歩する世紀(100年間)になるとも言われており、そんな宇宙開拓の起点になるのが「月」だといい、月面着陸再始動を機に一気に月を身近な場所に開拓して行き、地球ではなく月を宇宙開発の拠点にし、それほど遠くない将来月軌道上に有人の宇宙基地を建設する計画があります。
その宇宙基地の名は、月近傍有人拠点~「月軌道プラットフォームゲートウェイ

「Image Credit:月軌道プラットフォームゲートウェイの想像図(NASA)」
これが完成すれば、地球と月の往復が格段にしやすくなりコストも抑える事が出来、さらには月以外の天体、火星やその先の木星等の外惑星にも人類が直接探査を行いやすく出来る拠点をなると構想が挙がっているのです。
もちろんこれもアメリカ(NASA)一国だけで行える計画ではなく、日本やかつてはライバルだったロシアも含む国際協力が必要不可欠となって来るでしょう。

宇宙開発本格化!月資源の争奪戦も?

先日、中国が月の裏側に無人探査機を着陸させた事が大きな話題となりましたが、何故、中国がワザワザ月の裏側に探査機を着陸させたのでしょうか?
これについては史上初だった事に加え、未だ謎だらけの月の裏側の調査と、今まで手付かずだった月の裏側所有の主導権を握る目的もあったとされています。

「Image Credit:人類史上初めて月の裏側に着陸した中国の嫦娥4号(ILLUSTRATION BY EPA/CHINA NATIONAL SPACE ADMINISTRATION / HANDOUT)」
また日本も月探査機「かぐや」を使って月面地図を作製したり、ESAやインド、ロシア等も月面に対し調査の眼を向けています。
この調査の眼は月そのものの科学的調査も重要ではありますが、最も重要視されているのが豊富に眠るとされる手付かずの月資源であり、それは水や鉱物資源のみならず、さらには今後、枯渇する可能性が高い化石燃料に代わる新たなエネルギー資源として注目されている、地球上にはほとんど存在せず月面には豊富に埋蔵されているとされる”ヘリウム3”。

ヘリウム3は、放射性廃棄物や放射線量も極端に少なく核融合の燃料として最適だと考えられており、未来のエネルギー資源の主役となると期待されています。

これらの月資源を巡り今後は各国の資源争奪戦が起こる可能性もあり、月に関連する国際的な合意条約なども必要になって来る可能性も懸念されます。
Sponsored Link