地球周辺軌道には、衝突の危険性が高い小惑星(地球近傍小惑星)が数え切れないくらい多く存在すると言われています。
ただ、専門家の計算によると、少なくとも今後100年間は地球に危険を及ぼす可能性のある小惑星がやって来ることはないとされていますが、その計算は正しく、本当に地球に衝突する危険はないと断言できるのでしょうか?
と言うのも、そのような不安が過る背景には、毎年のように地球接近する小惑星の存在があります。
ここでは、地球に衝突するかも知れない?潜在的に危険な小惑星についていくつか紹介してみたいと思います。

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地球に接近する軌道を持つ危険な?地球近傍小惑星

地球周辺には、大小様々な小惑星が無数に存在し地球に接近する軌道を周回しており、それらの小惑星大きさは数メートルから数百キロと幅広く、それら全ての天体に人類の観測の目も行き届いていないのが現実です。
しかも、この天体たちは軌道が不安定で地球や月などの大きな天体の重力の影響で、簡単に軌道が変わってしまう可能性があり、危険性が無いとは言っても専門家の計算を裏切る天体が出て来る危険性は潜在的に秘めています。

「Image Credit:地球に接近する近傍小惑星の想像図(ESAより)」
そんな潜在的に危険な小惑星の数は、判明しているだけでも約5,000個は存在しているとの事で、それらが1つでも地球に衝突すれば核兵器に匹敵か、それ以上の被害が出てしまう危険性も秘めています。
実際、近年においても予測していない小惑星の地球衝突があったのも記憶に新しいところです。
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2013年チェリャビンスク州の隕石落下事件

記憶に新しいのは、2013年2月にロシアのチェリャビンスク州付近に落下した小惑星と思しき天体現象。
このとき落下したのは、直径が数メートルから15メートル位の大きさで質量は10トンほどの小惑星と見られており、秒速15キロメートル以上の速度で大気圏に突入した小惑星は、高度10キロほどの高さで空中爆発したため、地上にはそれほどの被害が出なかった事件が世界中で大きな話題になりました。

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チェリャビンスク州の隕石落下は事前に予測出来なかった事例で、これほど小さな天体の接近衝突は現在の観測技術では難しく、ロシアでの天体落下は被害が少なかったので良かったのですが、もし空中分解しないで地上に衝突していたとしたなら甚大な被害が出ていた可能性があります。

2017年10月12日潜在的に危険な小惑星が接近

チェリャビンスク州の隕石落下は危険を予測出来ませんでしたが、2017年10月12日に地球に接近する小惑星は事前に予測が出来ています。
この小惑星は「2012TC4」という30メートル級の天体です。

「Image Credit:sciencealert
「2012TC4」は5年周期で地球に接近する地球近傍小惑星で、発見されたのは2012年。
このとき、地球から約9万5,000キロのところを通過しました。
そして、2017年はさらに接近し地球から4万4,000キロの地点を通過しましたが、この時、欧州宇宙機関(ESA)では惑星衝突の警告システムの作動訓練が行われました。

なお、「2012TC4」が次回地球に接近するのは2079年だと予測されています。

将来地球に被害を及ぼす危険性のある小惑星

現時点で、地球に衝突する可能性がある小惑星として危険視されているのが小惑星・ベンヌ。
この天体の平均直径は約560メートルで、地球近傍小惑星としては比較的大きな天体です。

「Image Credit:探査機オサイリス・レックスが撮影した小惑星・ベンヌ(Wikipediaより)」
ベンヌは、約2年で太陽の周りを周回し6年毎に地球に接近することがわかっています。
そんなベンヌが最も地球に接近するのが2135年。
予測では、月の内側の距離まで接近するとされていて、一部の予測では地球の衝突コースに入るのでは?とも言われています。
もし、ベンヌのような500メートル級の小惑星が衝突するとなれば、広島に投下された原子爆弾の数百倍の威力になると考えられ、地球規模の大参事になり地球に住む生態系にも壊滅的な影響を与えてしまう可能性もあります。

しかし、これはあくまでも最悪の場合を想定した予想であって、実際の衝突の可能性は極めて低く現時点の衝突の確率は2,700分の1と算出されているようです。

もし、巨大小惑星が衝突したら地球はどうなる?

現在発見されている地球近傍小惑星で、最も巨大なのは(53319)1999JM8という直径約7キロの小惑星です。
しかもこの天体は潜在的に危険な小惑星に分類されており、少なくとも地球に衝突するリスクはあるとされています。

「Image Credit:最も巨大な潜在的に危険な小惑星(53319)1999JM8(Wikipediaより)」
もし、万が一でもこの7キロ級の小惑星が地球に衝突したならどんな被害が出るのでしょうか?
そのような事態を想像する上で、参考になるのが約6,500万年前のあの出来事かも知れません。
当時、地球上に君臨していた恐竜たちを絶滅させたと考えられる巨大隕石の衝突。
このとき、約10キロの巨大な小惑星が現在の中米・ユカタン半島付近に衝突したと考えられています。

衝突の衝撃は凄まじく、深さ数キロ、直径約200キロのクレーターを作り出し巨大な津波も発生。さらには、衝突で巻き上がった大量の粉じんや水蒸気が地球上空を覆い太陽光を遮断等、数々の地球規模の大災害が引き起こされ、恐竜を含む地球上の生物の80%が絶滅したと考えられています。

「Image Credit:iStock」
つまり、(53319)1999JM8のような直径7キロもある巨大な小惑星が衝突すると、今度は人類を含む大絶滅の危機が訪れるということになるのかも知れません。
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