先日、スカイツリー程の大きさがある小惑星が地球に接近~所謂、地球とニアミスしていた事をご存じだったでしょうか?
ニアミスとは言っても、地球との最接近時の距離は300万キロ弱だった事もあり、結果的にそれほど危険視はされず、小惑星は地球から遠ざかって行った事であまり話題にもならず、知らなかった人も多いかと思います。
とは言っても、このように地球に接近して来る小惑星は毎年のように出現しており、その中にはもっと地球に近づき、場合によっては地上に落下して来ないとも限りません。

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2023年6月に地球に接近した小惑星について

冒頭でも触れましたが、日本時間で2023年6月13日、直径が約370~830メートル程と推定される小惑星が、地球から290万キロのところを時速約7.6万キロで通過して行きました。
その小惑星の名は「1994 XD」
1994年に発見されたこの小惑星は、地球に接近する軌道を持つ地球近傍小惑星と呼ばれる天体で、その中でもアポロ級小惑星という地球の軌道を横切る危険な天体に分類されている小惑星です。

「Image Credit:小惑星「1994 XD」の軌道予想図(Wikipediaより)」
地球にぶつかる事なく無事に通過して行った「1994 XD」ですが、このような潜在的に危険な小惑星が地球に接近する事は日常茶飯事。これからも危険な小惑星がもっと地球に近づいて来る事は避けられないでしょう。

今後において地球に接近する小惑星

「1994 XD」のように直径が東京スカイツリーほど大きな小惑星ではないですが、近年において地球に落下して来た天体はいくつかあり、記憶に新しいところでは2013年にロシアに落下した「チャベリンスク隕石」は有名で覚えている人も多いでしょうが、2018年末にはロシアとアラスカの間にあるベーリング海に直径約10メートルの天体が落下。このときの衝撃は広島型原爆の10倍以上もあったと推測されていましたが、誰もいない海に落下した事で被害も報告されていなかったため、ほとんどの人に知られる事はありませんでした。

「Image Credit:2018年の小惑星落下地点(NASA JPLより)」
またこれもあまり知られてはいませんが、2022年3月に大きさが2メートル程の隕石がアイスランド沖に落下した事も確認されています。

このように何度も地球に接近し、場合によっては落下して来る潜在的に危険な小惑星(PHA)たち。今後の予測によると2028年に「1997 XF11」と呼ばれる小惑星が、地球に92.9万キロまで接近するとされており、この小惑星も地球に危険を及ぼす事はなく、少なくとも今後200年間は地球に大きな被害を及ぼす脅威のある小惑星は見つかっていないと考えられています。
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安心は出来ないほど無数に存在する潜在的に危険な小惑星

今のところ、私たちが生きている間に地球に衝突するような小惑星はありませんが、それはただ見つかっていないだけであって、もしかしたらある日突然現れて地球に脅威をもたらす小惑星があるかも知れないのです。

その理由は、この画像を見る事で安心は出来ない事はわかるのではないでしょうか。

「Image Credit:NASA,JPL-Caltech」
上画像↑↑はNASAが公開した現在確認されている潜在的に危険な小惑星(PHA)の軌道図です。ここに刻まれているPHAの軌道図は約1,000個程ですが、実際には数十万個の天体が確認されており、それでも今見つかっているモノだけであって、まだ見つかっていない天体まで含めると、おそらくは想像も出来ない程の数ではないか?と思われます。

もし巨大な小惑星が衝突したとしたら?

地球の長い歴史の中では、何度も壊滅級の小惑星衝突があり、有名なところでは恐竜を絶滅させてしまったとされる65,000万年前の巨大隕石衝突をご存じの方も多いかと思います。
ですが、今後においてもそのような小惑星が巨大な隕石と化し地球に衝突しないとも限りません。

そんな巨大隕石が地球に衝突したらどうなるのか?、という仮定での興味深いシュミレーション動画を見つけましたのでご紹介します。

「Copyright ©:メタボールスタジオ All rights reserved.」

小惑星が衝突に備えた人類の地球防衛ミッション

もし地球の脅威となる小惑星が接近して来た場合、現時点で人類はそれを回避する術はありません。

しかし、2021年にNASAが実験を行った「DART計画」に希望の光が射して来たかも知れません。
それは直径170メートルの天体に重さ500キロの人工物(小型宇宙機)を秒速6キロで衝突させ、その衝撃で天体の軌道を変えようという試みでした。

「Image Credit:二重小惑星ディディモス(左)と衛星ディモルフォス(左)に接近するDART探査機の想像図(Wikipediaより)」
この実験は大成功。見事に天体の軌道を変える事が出来、すなわちそれは、今後地球への衝突コースに乗った小惑星が発見された場合、人類の技術で回避する事が可能であるという事が証明されたワケなのですが、しかしそれだけで完全に危険を回避できるというモノではなく、小型の天体に有効という限定的な実験であって、もし数キロ~数十キロといった巨大な小惑星が接近して来た場合、今の人類には対処出来る力はないでしょう。
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