あまり話題にはなりませんが、地球近傍には毎年のように小惑星が接近しており、中には地球に隕石となって落下して来るモノもあり、幸いな事に今のところ大きな被害は出ていませんが、今後も被害が出ないとは限りません。
そんな中、このほどNASAが小惑星地球接近に関連する気になるニュースを発表しています。
それは、2046年に小惑星が地球に衝突する可能性があるとの事で、この事についてNASAは警告を鳴らしているのです。少し穏やかな話ではなさそうですが、これってどういう事なのでしょうか?

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2046年2月に小惑星が地球接近!衝突の可能性も

NASAが発表したこのニュース。2046年2月頃に直径約50メートル程の小惑星が地球に大接近し、場合によってはそのまま地上に落下して来るかも知れないとの事なんです。
その小惑星の名は「2023DW」。確率で言うと、この小惑星が隕石となり落下して来る確率は今のところ625分の1だという事です。

「Image Credit:iStock」
なお冒頭で地球最接近は2024年2月頃と述べましたが詳しく調べたところ、2046年2月14日午後9時44分に地球に最接近する見込みなんだそうです。

直径50メートルの小惑星が衝突したらどうなるのか?

では、万が一直径50メートルの小惑星が地球に衝突したらどうなるのでしょうか?
もちろんこのような小天体が地上に落下した事例は過去にもあり、最近では2013年2月15日にロシアのチャベリンスク州に落下した隕石が記憶に新しいところです。
◆参考動画:2013年2月15日「チェリャビンスク隕石」


「Copyright ©:メタボールスタジオ All rights reserved.」
この時、チェリャビンスク州に落下した小惑星(隕石)は直径20メートル程だと推測され、動画でもわかるように大気圏に突入したとき隕石雲の尾を曳きながら、約20キロメートル上空で爆発し衝撃波を伴い破片が隕石となり地上に落下。大災害にはならなかったモノの多くの建物等に大きな被害を及ぼしました。

直径20メートル程の小惑星でこれほどの被害が出たワケですから、もし50メートルの小惑星「2023DW」が落下した場合、どれだけの破壊力があるのでしょうか?
その50メートル級の小惑星衝突についても過去に事例があり、それが1908年6月30日に起こったとされる「ツングースカ大爆発」です。
ツングースカ大爆発では、シベリアのツングースカ地方に直径50~90メートルの隕石が落下したと考えられており、この落下による爆発で凄まじい空振が発生し、爆心地から半径約30~50キロに渡り森林が炎上し、東京都とほぼ同じ面積の約2,150平方キロメートルの範囲の樹木がなぎ倒された記録が残っています。

「Image Credit:ツングースカ大爆発によってなぎ倒された森林(Wikipediaより)」
つまり、もし2046年に小惑星「2023DW」が落下した場合、ツングースカ大爆発と同程度の被害が発生する事が予想されるのかも知れないのです。
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地上に隕石衝突した場合のシュミレーション動画

ツングースカ大爆発は誰もいない深い森林で起きたため、人的な被害は起きませんでした。
しかし、万が一このような隕石が人の住む人口密集地域等に落下した場合はどうなるのでしょうか?
このような事態が起こった場合、どれだけの破壊力があるのかを予測した科学シュミレーション動画がありましたのでご紹介したいと思います。

「Copyright ©:メタボールスタジオ All rights reserved.」
動画を視聴されておわかりになったと思いますが、50メートル級の隕石はリトルボーイ(広島型原爆)の388倍の破壊力があり、もしこれが落下した場合、甚大な被害になる事は間違いないでしょう。

しかしNASAは、今回発表された小惑星「2023DW」の地球衝突のリスクは極めて低いとも言っています。ただ、これは現時点でとの事ですので、この小惑星の軌道要素も変化する事が考えられますので、今後の発表される情報にも耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

小惑星「2023DW」だけではない!今後もっと危険な小惑星がやって来るかも?

小惑星「2023DW」が発見されたのは2023年2月26日で、この時「2023DW」は地球から約1,000万キロの位置にあったと言い、すなわちそれは地球に非常に近い場所で見つかった事を意味します。

「Image Credit:小惑星「2023DW」のイメージ図(NASA Asteroid Watch(@AsteroidWatch)のツイートより)」
また地球近傍には無数の小惑星が分布していると考えられており、現時点で人類は約30,000個もの小惑星を発見し「2023DW」もそのひとつに過ぎません。

「Image Credit:地球近傍小惑星の分布図(地球近傍天体研究センター(CNEOSより))」
小惑星「2023DW」はすぐに地球に衝突する危険性はなかったモノの、もし地球に衝突する小惑星がこのような位置で発見された場合、私たち人類は危機に対処出来るのでしょうか?

結論から言うと、現時点ではその危機に対処する方法を人類は持ち合わせていません。
しかし、人類はこのような事態が起こった場合の対策を講じるために、「DART計画 」と呼ばれる人工衛星を直径170メートルの小惑星に衝突させ軌道を変えるという実験を行い成功を収めています。

また、2028年の打ち上げを目標にしている小惑星を探知する宇宙望遠鏡「NEO」の開発も行っており、このシステムが整えば、地球に被害を及ぼす危険な小惑星をいち早く発見し、地球衝突の軌道を変える事が出来るようになるかも知れません。
ただそれでも、6700万年前に恐竜を絶滅させたような巨大な小惑星に立ち向かう事は今の人類には出来ないようです。
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