巨大隕石が地球に接近し衝突するという危機を描いたSF映画は、これまでに何本も制作・公開されてきました。
でも、これは映画の世界だけの話であり、単なる作り話のフィクションなのでしょうか?

実は現実でも、巨大隕石が地球に接近し衝突するかもしれないという状況は、常につきまとっておりいつ私たちに危険が迫ってもおかしくないと言われています。
しかし、現時点においてそんな危険は誰もが微塵も感じてはいないと思います。
果たして、巨大隕石衝突の危機って本当に訪れるのでしょうか?

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過去に地球に衝突した巨大隕石

地球の45億年にも及ぶ長い歴史の中で、いくつもの巨大隕石、小惑星、彗星などの小天体が衝突しています。
その中の1つの事例としての有名どころでは、恐竜を絶滅させたと考えられている約6,700万年前に中米・ユカタン半島付近に衝突した直径10キロにも及ぶ巨大隕石ではないでしょうか。

「Image Credit:iStock」
この衝突により、地球上の生物は壊滅的打撃を受け、恐竜の絶滅他、地球の生態系が大きく変わったと言われています。

また、最近で記憶に新しいところでは2013年に起こったロシア・チェリャビンスク州の隕石落下が有名です。
これは、直径約20メートルの隕石が大気圏に突入し、上空で爆発し、その破片や爆発による衝撃波で落下地点一帯に被害をもたらしました。

「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」
他にも、巨大隕石落下の影響で大量に巻き上げられた水蒸気や粉じんが大気が包み、太陽光を遮断したため地上に氷河期をもたらしたという説や、1908年シベリアで起こったツングースカ大爆発も隕石もしくは彗星の衝突(落下)によるものだと考えられています。

「Image Credit:ツングースカ大爆発の跡(Wikipediaより)」

今後、巨大隕石が衝突する可能性は?

地球の周りには、地球近傍小惑星と呼ばれる地球に接近する軌道を持つ小天体が無数に存在します。
これらの地球近傍天体は、いつ地球に衝突するかも知れないという危険性も持っており、現に毎年のように地球軌道スレスレで横切り衝突のニアミスを起こしています。

「Image Credit:ESA/P. Carril」
そのため、現代の観測技術では地球近傍小惑星に目を向け軌道計算などの精密な計算は行い、ある程度、衝突の危険性があるかどうかを予測できるようになっています。

そんな中で、もしかしたら地球に衝突する危険性があり、地球にかなり接近する可能性がある天体もいくつか見つかっています。
そこでここでは、危険な地球近傍小惑星として認識された小惑星をいくつか挙げてみたいと思います。
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2019年に接近する小惑星「2002 NT7」

2019年2月1日に地球にかなり接近した小惑星「2002 NT7」。
この小惑星は、直径2キロほどの小さな天体ですが、もし地球に衝突したとなれば破壊力は凄まじく、世界地図が変わってしまうほどで被害は地球規模で起こり、気候変動も大きく捻じ曲げ大参事が発生してしまうと言われています。
但し、この小惑星の地球衝突の確率は極めて低く数百万分の1程度で、2019年2月の地球への接近距離は火星より遠く、次に接近するのは2060年2月になると言います。

「Image Credit:Daily Star」
今後また詳細なデータは公表されるでしょうが、現時点では衝突の危機はないものと思われます。

2036年に接近する小惑星「アポフィス」

小惑星「アポフィス」が地球に衝突するかも知れないという噂は数年前から挙がっていて、2036年4月に太平洋に落下するのでは?と話題になっています。
アポフィスの大きさは270~410メートルで決して大きな小惑星ではないのですが、もしこの小惑星が太平洋に落下すれば日本を含む太平洋沿岸の国々には巨大津波が押し寄せ、さらに気象にも大きな影響を与え大災害が起こる可能性があります。
しかし、小惑星「アポフィス」が地球に衝突する確率も低く、地球に接近することは間違いなさそうですが衝突は約25万分の1の確率だとの事です。

「Image Credit:地球と小惑星アポフィスの軌道(NASA)」

2135年に接近する小惑星「ベンヌ」

小惑星「ベンヌ」は直径500mほどの大きさで、2135年に地球と月の間の軌道を横切りニアミスとなると噂されています。

「Image Credit:Wikipedia」
このときは地球に衝突するコースは取らないとの事ですが、ニアミスにより地球の重力の影響を受け「ベンヌ」の軌道が変わってしまい、もしかしたら今後地球に衝突する危険性が高く可能性があるとの事ですが、kの小惑星もまた今のところは危険な天体ではなさそうです。

なお、小惑星「ベンヌ」には、2018年年末に探査機オサイリス・レックスが接近し探査を行っており、周回軌道上からの探査と地表からのサンプル採取に成功しています。

「Image Credit:オサイリス・レックスが小惑星ベンヌに着地した瞬間の画像(NASA’s Goddard Space Flight Center)」

巨大隕石が衝突を回避する方法はあるのか?

無数に存在する地球近傍小惑星。
その中で、今後地球に衝突する危険性を秘めている小惑星は約5,000個もあると言います。
これらの小惑星の中から、事前に地球に衝突する巨大隕石となる天体を推測することは出来ますが、それを破壊したり軌道を変えたりすることは現時点ではかなり難しく不可能に近いと考えられます。
ただ、現時点でその回避方法はないだけで、今後の研究と実験で巨大隕石衝突を回避する方法は考えられています。

「Copyright ©:NASA All rights reserved.」
動画でご紹介したような回避方法も考えられますが、技術的面ではなかなか厳しいような気もします。

しかし、技術で可能な方法も考えられており、それが、DE-STAR(Directed Energy System for Targeting of Asteroids and exploRotation)という方法。

「Copyright ©:NASA All rights reserved.」
この技術は、対象天体にレーザー照射をして、軌道を少しずつ変え、地球への衝突コースを変えようという試み。
しかし、DE-STARが軌道を変えられる小惑星の大きさは数百メートルまでとの事で、もし、数キロにも及ぶ小惑星ともなるとこの方法では難しいようです。
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