地球に最も近い”お隣りの惑星”と言えば?と聞いて「火星」と答える人は多いかも知れませんがそうではありません。
地球に最も近い惑星は「金星」であり、しかも金星は地球と似ている”姉妹惑星”とまで言われているほど、地球とはとても近い間柄なのです。
しかし、私たち地球人は、そんな近親関係?にある金星よりも遠い火星に眼を向け、火星移住計画も持ち上がる程なのですが、何故、姉妹星の金星に移住計画はないのでしょうか?

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地球と火星、そして金星との位置関係

地球、火星、そして金星は惑星であり、それぞれが違う軌道を持ち太陽を公転しており、地球の公転周期はご存じのとおり約365日、火星の公転周期は約687日、金星の公転周期は約225日。
このように公転周期からみても地球と火星の差は322日あるのに対し、地球と金星との差は140日あり、地球のお隣り同士でも火星より金星の方が圧倒的に近い事がわかるのではないでしょうか。

「Image Credit:NASA/JPL
また位置関係を距離にするとその差は歴然。火星が地球に最も接近する時の距離は約6,000万キロ。そして金星の場合は地球に約4,000万キロまで近づきます。
しかも、冒頭でも触れましたが地球と金星は姉妹惑星とも呼ばれ、金星は大きさ質量ともに地球と似ており、火星は地球の半分程の大きさしかありません。

「Image Credit:太陽系地球型惑星4つの大きさ比較(NASA/Lunar and Planetary Instituteより)」

何故、近い金星ではなく火星なのか?

地球から最短で約4,000万キロ。この時の金星は地球に最接近する内合を迎え、「明けの明星」や「宵の明星」と言われるほど大きく明るく見えます。つまりそれほど金星は地球に近いワケです。


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しかし、私たち人類の探査目標は金星よりも火星。金星探査に比べると火星探査の方が圧倒的に多いのが現実です。
では何故、”近い”金星よりも”遠い”火星に探査が片寄るのでしょうか?その理由を単純に述べると、金星より火星の方が探査する意義が高い事にあります。
その最大の理由は、金星は地球の姉妹惑星であるにも関わらず、その環境は全く異なるモノで、厚い二酸化炭素の大気で覆われ、その二酸化炭素の大気で強烈な温室効果が働き、地表付近の気圧は水深900メートルに相当する90気圧に達し、もし人間が金星の地表に立ったとしても、あっという間に潰されてしまう程で、また気温も500℃近い高熱で鉛も溶けてしまい、とても生物が住めるような環境ではありません。

「Image Credit:厚い大気で地表が見えない金星(Wikipediaより)」
一方の火星には大気は存在しますが、かなり希薄で地球の100分の1以下。気温は赤道付近で-50℃程。しかし環境に関しては地球と似ている事も多く、希薄ながらも大気の循環もあり、一日の長さも地球をほぼ同じ約24時間。さらには極冠や地下に水が存在する事もわかっており、もしかしたら生命の存在の可能性も火星は秘めています。

また、探査機を送る事に関しても、金星は地球よりも太陽に近いため位置エネルギーが低く、探査機を直接金星に向かわせるとい太陽の重力に引かれてどんどん加速してしまいます。そのため金星の周回軌道に入るには探査機にブレーキをかける必要があるものの、そもそも探査機にはブレーキを掛けられるほどの十分な燃料は積めないため、惑星の重力を使ってブレーキをかける方法(フライバイ)を採用していますが、これが難しく、軌道計算をしながら何度もフライバイを行う必要があるのに対し、火星に行く場合は必要なエネルギー(燃料含む)が最小となる遷移軌道であるホーマン軌道を使えば、比較的容易に軌道投入が出来るようになります。
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そもそも何故、金星は地球と同じようにならなかったのか?

姉妹惑星である地球と金星ですが、かつては金星にも水が存在し見た目が地球に似ていた時代があったと考えられています。

「Image Credit:数十億年前の金星の想像図(NASAより)」
ですが現在の金星は超高圧で超高温の環境、水に関しては地球の10万分の1しか存在しません。何故、現在の金星はこんな地球と姉妹星とは言い難い過酷な環境になってしまったのでしょうか?
その最大の原因は金星の強烈な温室効果だと考えられており、研究によると10億年前くらいまでは地球と同じように水を湛えていた惑星だったとされ、金星大気に含まれる二酸化炭素が急激に増えた事により、大量にあった水が蒸発し宇宙空間に逃げてしまったのでは?と推測されています。

金星探査ミッションは継続して行われる

火星探査と比べると金星の探査は圧倒的に少なく、ある意味で軽視されて来た部分もあったのですが、金星探査はこれからも続く予定になっており、現時点で3つの金星探査ミッションが計画されています。

「Image Credit:Forbes JAPAN」
  • DAVINCIミッション(NASA)~2029年打ち上げ予定:金星地表の超高圧・超高温に耐えられる探査プローブ(着陸機)を開発し、金星地表を詳しく調べる
  • EnVisionミッション(ESA)~2030年代打ち上げ予定:金星の軌道上を周回し、金星の内部分析、大気成分を詳しく調べる。
  • VERITASミッション(NASA)~2031年打ち上げ予定:金星の軌道上を周回し、金星の火山分布地図を作製する。
探査回数も少なく未だ謎の多い金星。今後の探査次第では、この超過酷な環境の謎解明に迫り、さらには地球と大きく道が分かれてしまった金星の大気の進化過程、またa href=”https://cosmolibrary.com/%e5%9c%b0%e7%90%83%e5%a4%96%e7%94%9f%e5%91%bd%e4%bd%93/%e9%87%91%e6%98%9f%e3%81%ae%e5%a4%a7%e6%b0%97/” target=”_blank>大気上層部には生命がいるかも知れないという真相にも迫れるかも知れません。
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