太陽系最大の惑星・木星。その最大の特徴と言えば巨大な台風の渦巻き・大赤斑ではないでしょうか?!
この大赤斑を木星軌道上で探査を行っている探査機ジュノーが撮影し、さらにそのリアルな動きを捉え話題になっています。
今回はジュノーが捉えた木星の渦の画像と、ずっと消えない巨大台風の謎について調べてみたいと思います。

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木星探査機ジュノーが捉えた巨大嵐のリアル画像

太陽系第5惑星・木星
大きさは地球の11倍もあり、質量にいたっては約318倍と、言わずと知れた太陽系最大の惑星です。

「Image Credit:地球と木星の大きさ比較(Wikipediaより)」
木星の正体は、地球のように私たちが大地に足をつけて生活している岩石惑星ではなく陸地の存在しないガス惑星です。
そんな木星の特徴的なのは上図にもあるように、地球が余裕でスッポリと納まるほど巨大な高気圧性の嵐・大赤斑で、地球からの観測でもハッキリわかるほど巨大なモノです。

また、木星の嵐の中で最も巨大なモノは大赤斑ですが、木星には大赤斑のように巨大な渦を巻く嵐はいくつも存在しており、その中で探査機ジュノーは、木星南半球にある大赤斑に次ぐ「オーバルBA」と呼ばれる巨大嵐の姿を連続画像で捉えNASAが公開してくれています。

「Image Credit:木星の巨大渦大赤斑(右上)とオーバルBA(左下)(Wikipediaより)」
●参考:「オーバルBA」の動画視聴はコチラをクリックして下さい。
なお、動画視聴できる「オーバルBA」はジュノーが2018年12月21日に撮影したモノで、合計9枚撮影しそれを繋ぎ合わせて動画に見えるよう編集しています。

今回探査機ジュノーによって撮影された「オーバルBA」の大きさは約8,000キロと、地球の3分2程の大きさを持つ巨大な嵐で中赤斑とも呼ばれ、ゆっくりと反時計回りに回転する姿がハッキリと捉えられているのがわかるかと思います。
ちなみに、中赤斑の「オーバルBA」が形成されたのは2000年3月だとされており、元々あった「オーバルBC」と「オーバルDE」が1998年に融合し「オーバルBE」になり、その2年後の2000年3月に「オーバルBE」と「オーバルFAが」融合した事で「オーバルBA」になっているそうです。
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木星の巨大嵐は地球とは比較にならないほどの猛烈台風

木星で見られる大赤斑のような嵐を地球に例えると台風のようなモノですが、その規模は地球の台風とは比較ににならないほど猛烈で、地球の台風は大きくても風速40~50メートルなのに対し、木星の「台風」は風速180メートルにも達するほどの想像を絶する暴風が吹き荒れています。

「Image Credit:ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた木星の嵐の様子(NASA/ESAより)」
また、地球の台風の寿命が数週間なのに対し、木星では嵐が数百年以上も継続しており、実際「オーバルBA」もいくつもの嵐が合体し現在も吹き荒れていますし、有名な大赤斑が発見されたのは1665年で、以降、多少の勢力の増減はあったようですが実に350年以上も巨大嵐として持続し続けています。

木星巨大嵐のメカニズム

大赤斑を代表する木星で発生している巨大嵐の実態については、まだまだ謎が多いままで探査機ジュノーが謎を解明すべく調査を続けています。
そんな観測データから判明してきた嵐の謎が、大赤斑に関しては高さが約300キロもあり木星大気の上層部まで達している事が判明しています。

「Copyright ©:NASA All rights reserved.」
また、巨大嵐は強烈な熱源にもなっており、渦の上空大気は1300度以上の高温で溶けた溶岩よりも熱い事がわかって来ました。

何故これほどの高温になっているか?についても調査が行われ、原因は猛烈な嵐による大気摩擦で音波が発生しそれが上空の大気を加熱しているものと推測されています。

「Image Credit:Art by Karen Teramura, UH IfA with James O’Donoghue and Luke Moore」
また、嵐以外の木星大気でもこのような摩擦による過熱が起こっており、太陽から7億キロ以上も離れた冷たい空間にある木星のハズなのに大気温度は420~720度もある熱源をつくり出してします。
さらに大気摩擦で考えられるのが地球でも頻繁に発生する雷で、木星でも雷は多く発生していますが、規模こそ大きいモノの雷としてのエネルギー放出量は地球と同レベル程度と、それでも恒常的に起きている雷は地球の比ではないそうです。

もうすぐ消滅する運命にある大赤斑

発見されてから350年以上もその勢力を維持し続けている大赤斑。そして中赤班の「オーバルBA」も合体融合して勢力を維持しています。

ですが何故、木星の嵐が消滅せずに存続出来ているのでしょうか?
その理由については、明確には判明していませんが、おそらくは木星そのものが持っている熱源にあるものと考えられており、巨大な質量と重力で生み出されるエネルギーによって、常にガスや大気を対流させ続ける事で発生している嵐にもエネルギーが供給され続けていると推測されています。

ただ、常にエネルギ-供給が続いているとは言っても、それは永久的に続くモノではなく流動的な自然によって、いずれは大赤斑もオーバルBAも消滅する運命にあります。
実際、発見された当初の大赤班は、当時の原始的な望遠鏡でもわかるほど巨大で地球の4倍ほどもある大きさでしたが、現在では地球直径の1.5倍ほどまで縮小しています。

「Image Credit:探査機ジュノーが至近距離で撮影した木星の大赤斑(nasa.govより)」
つまり、大赤班は徐々に勢力が弱まって来ているらしく、研究者の間ではその数十年以内には完全に消滅してしまうという予測がされています。

木星のトレードマークとも言える大赤斑。
これが消滅してしまうのは、木星じゃなくなってしまうのでは?と、ちょっと寂しさもありますがそれは自然現象である仕方ない事であり、大赤斑が消える事で逆にオーバルBA等の中赤斑が目立って来るのかも知れません。
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