以前このニュースを目にしたとき、「まさか!?」と驚きを隠せなかった事を覚えています。
あの地獄の惑星・金星に生命がいるかも知れない?
でも、検証が進むに連れ金星への生命存在の期待に陰りが見えて来て、やはり、金星に生命がいるという証拠は見つからなかったと言います。
ちょっと残念ですが、それでも可能性が全く無いワケではないようです。

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金星の大気中に見つかった生命存在の可能性

2020年9月、学術誌「Nature Astronomy」にある科学論文が掲載され話題を呼びました。
それは、論文に金星の大気中(雲の中)に、ホスフィン(リン化水素)と言う物質が含まれていることが判明したとあったのです。

ホスフィンとは、有毒性を持ちながらも私たち人間を含めた生物からしか生成されない物質と考えられており、これが金星の大気中に含まれているとするのであれば、もしかしたら生命がいるかも知れない?!との期待が高まったのでした。

「Image Credit:金星の大気中から検出されたとされるホスフィン(ESO/M. Kornmesser/L. Calçada & NASA/JPL/Caltechより)」
しかし、生命など到底存在するとは思えない劣悪な環境の金星に、生命はどこに生息しどんな生物がいるのでしょうか?
非常に気になるところではあったのですが・・・
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地球とは姉妹星の金星~でも性格は真逆で最悪!

金星は地球の公転軌道のスグ内側を周る地球に最も近い惑星であり、大きさや質量もよく似ており姉妹星とまで呼ばれるほどの天体です。

「Image Credit:Wikipedia」
半径 質量 密度
地球 6,378km 1 5.52g/cm3
金星 6,052km 0.815倍
(地球:1に対して)
5.20g/cm3
しかし、その性格(環境)は地球とは全く違い、地球が穏やかで生命に溢れた環境の星であるのに対し金星の環境は非常に劣悪なのです。

まず金星の大気は厚い二酸化炭素に覆われており、外から地表を全く見る事は出来ません。
その厚い二酸化炭素の大気層に圧迫されて、地表の気圧は地球の海中900メートルに相当する90気圧という凄まじい圧力に支配されたうえ、地表温度は鉛も溶ける480度以上。
更には、硫酸を含んだ雲が惑星全体を覆っており、硫酸の雨まで降っていると言います。

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劣悪な環境の金星~どこに生命がいる可能性があるのか?

生命にとって非常に劣悪であり超危険な惑星・金星。こんな環境のどこに生命がいるかも知れないと言えるのでしょうか?

そこは金星の地表でもなく地下でもない大気中だとされ、しかもかなりの高層部で地上から50~60キロほどの高さだと言い、この領域は温度が摂氏0~60度ほどに保たれており、気圧も0.4~2気圧ほどで条件さえ整えば決して生命が住めない環境ではないと言います。

そして発見された金星大気中の謎の黒いシミ。

「Image Credit:金星大気に見られる”黒いシミ”(NASAより)」
この黒いシミのようなモノが、光吸収性を持ったバクテリアのような微生物の集合体ではないか?と考えられていました。

・・・がしかし、これにはまだ確固たる証拠はないのです。

ホスフィン検出は間違いだった可能性

金星の大気中に見つかったホスフィンらしき物質。これが本当にホスフィンであれば、金星に生命が存在する可能性が俄然高まったのですが・・・しかし、調査を続けて行くうちにホスフィンである証拠が見つからなかったという残念な報告が挙がって来たのです。

では、ホスフィンと思われていた物質は何なのでしょうか?
現時点では確定的ではないと言いますが、おそらくは二酸化硫黄(SO2)だったとの見解となり、その誤認となった原因というのが金星から放出される電波の周波数を解析したところ、ホスフィンが持つ吸収線が二酸化硫黄と良く似ていた事にあり、それをさらに分析して行くとこの物質が存在する場所が高度約80キロ付近で見つかった事で、もし、この場所にホスフィンがあったとしても、太陽からの紫外線の影響ですぐに分解されてしまうと言います。
つまり、この高度にはホスフィンは存在し得ないという事が示唆されるように、そもそも金星にホスフィンが存在するという研究報告には、疑念を持つ科学者も多かったらしく、この結果に当然と受け止めている人も多いと言います。
ですが、地球からの観測でホスフィンが見つかるようであればもっと早い段階で発見されていたハズ!?
今回の誤認かも知れないという結果には少し残念ですが、結論を出す前により多くのデータを分析する必要があったとの教訓にもなったと言えるでしょう。
ただ、これについては再検証の必要性もあり、更なる調査分析を行った上で、もしかしたら生命の兆候を見つけられる可能性があるかも知れません。
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