これまでこのサイトでは、月と地球の重要な関係について何度も解説して来ました。

地球に住む私たちにとって、常に頭上にある月は当たり前の存在なため、夜に輝く満月等を眺めて「綺麗だな!」と思う程度が普通であり、ほとんど月について深く考える人はいないでしょう。
ですが深く考えると、生命に満ち溢れる地球にとって月は絶対になくてはならない存在である事が良くわかります。
つまりそれは、月が地球の衛星で無くなってしまったら大変な事になってしまう事を意味し、それは、人類を含む地球生命滅亡の危機が確実に訪れるほどに・・・

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太陽系で惑星と衛星の関係が最も密接なのは地球と月だけ!

太陽系の惑星は現時点で8つで、そのうち衛星を従えている惑星は内惑星の水星と金星を除く6つの惑星です。
しかし、その太陽系惑星の中でも、惑星と衛星との関係が密接で無くてはならない深い関係にあるのは地球と月だけだとも言えるのです。

でも、それはどういう事なのでしょうか?
地球と月の深い関係性を知る上で、最も重要なのが大きさ(質量)の関係です。

「Image Credit:地球と月の大きさ比較(上図)と距離関係(下図)(Wikipediaより)」
月の大きさは地球の4分の1ほどで質量は81分の1程なのですが、対惑星と衛星の関係において、太陽系の惑星の中でこれほど大きな衛星を持つ惑星は地球以外に存在せず、この大きさの関係が地球にとって非常に重要な意味があり、地球の公転軌道から自転、大気・海の循環に月が大きな役割を果たしており、もしこの関係が崩れてしまったら地球は大変な事になってしまうとされています。

普段何気に頭上にあり、あまり気にも留めていない月ですが、この月が無くなってしまったら、人類はおろか地球上に住む全生命に危機的状況が訪れてしまう事になってしまうと考えられています。
そこでここでは、もし月が無くなってしまった場合、地球にどんな危機的影響が出てしまうのか?につて5例ほど挙げてみたいと思います。
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① 隕石が容赦なく地球に降り注ぐ!?

月の表側と裏側の姿を見てその違いが明らかだと感じるのが、表と裏に存在するクレーターの数ではないでしょうか?

「Image Credit:Wikipedia」
月面のクレータは、太古の昔から小惑星等の小天体が月面に衝突した痕なのですが、このクレーターが持つ意味は他にもあり、接近して来た小惑星等から月が地球を守ってくれて来た事を現してもおり、その証拠として月の表側に比べると裏側にクレーターが著しく多いという事があります。

月の裏側にクレーターが多い原因として考えられるのは、月が自転と公転の同期現象(潮汐ロック)により常に一方向を地球に向けている事で、地球から見えない月の裏側は、表側よりも外からやって来る小天体の衝突のリスクが大きい事になるワケです。

「Image Credit:YouTube」
つまり、小天体を引き寄せられる程に大きな重力を持つ月のお陰で、地球は隕石衝突の危機を大きく軽減出来ていると言えるのです。

② 地球の公転軌道がグラつく!?

地球の公転軌道はほぼ真円で太陽を公転していますが、この公転軌道をもたらす要因のひとつに、巨大な衛星・月が地球に属している事で軌道が安定していると考えられています。

「Image Credit:中日新聞
仮に、公転軌道が安定せずにグラつき、地球が楕円軌道を描いて太陽を公転するようになるとどうなるのでしょうか?
それは楕円軌道による公転運動で、地球が太陽に近づいたり離れたりを繰り返す事になるため、気候の変動が大きくなり寒暖差に極端な影響が出て来る事が考えられます。

③ 地軸が不安定になり四季が無くなる!?

月の公転は地球の地軸にも大きく関係して来ます。
地球は太陽の公転面に対し約23.4度傾いており、月の公転はこの地軸の傾きもほぼ固定してくれています。

「Image Credit:Wikipedia」
この地軸の傾きによって公転周期の中で少しずつ太陽光が照たる角度が変わり、太陽の高さと日射の時間も変化し地球に季節が生まれます。
もし、月が無くなってしまった場合、地軸が安定しなくなりブレるようになったら気候変動に大きな影響が出るのではないでしょうか。

④ 潮の満ち引きが無くなり海流に大きな影響!?

地球の海は月の引力によって大きな影響を受け、その結果として潮の満ち引きが生まれます。

「Image Credit:feel.okinawa」
潮の満ち引きにより、海は程よく掻き回され海水温も安定し生命活動の維持に大きく役立っているため、もし潮の満ち引きが無くなってしまった場合、海は淀んでしまい生命活動維持は難しくなり、海流もおかしくなり気候変動を起こす結果となってしまい同時に大気の循環にも大きな影響を与える事になるでしょう。

⑤ 1日が24時間では無くなる!?

月が無くなってしまった場合、地球の自転速度にも影響が出てしまう事が考えられます。

現在の1日の長さは24時間で自転速度は時速約1,700キロですが、月が無くなる事によって自転速度が速くなり1日が5~6時間ほど短くなってしまうかも知れません。

「Image Credit:Gakken キッズネット」
これは月によって発生する「潮汐摩擦」が無くなってしまう事で起こってしまう現象で、こうなると私たちの1日の時間がズレてしまうだけでは済まず、地球の自転速度が上がってしまうと、気候変動にも大きな影響を及ぼし地表で起きる暴風の規模も拡大する可能性があります。

結果、月が無くなると地球はどうなる?

月が無くなってしまう事で起きる影響は凄まじく、単純に地球環境はメチャクチャになってしまう事が予想されます。
だからと言って、地球に生命が完全に住めなくなるのか?については疑問は残りますが、少なくとも現在繁栄している生態系は維持出来なくなってしまうでしょう。

それは当然、私たち人類にも言える事でありますが、ただ、現実的に考えれば月が無くなるというワケはありませんが、それでも月は毎年少しずつ地球から離れていっています。
その離れる速度は年間約4センチほどですが、これにより遠い将来、月は地球の衛星では無くなってしまうのでは?という心配もありますが、実際はそうではなく、地球と月には「角運動量保存の法則」が働いており完全に地球から離れる事はないとの事です。

いずれにせよ、甘く考えてはいけない月と地球の関係。
月が存在していたからこそ、今の地球生命は育まれ人類の文明も発達して来たと言えるのではないでしょうか。
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