クマムシ」という生物の名前は一度は聞いた事があるのではないでしょうか?
クマムシは地球最強の生物と呼ばれるほど生命力が強く、どんな過酷な環境でも生きいける不死身の生命体でもあると言われていますが本当なのでしょうか?

そんなクマムシの生命力を証明するためか?以前、ロケットに乗せられて月に旅立ったモノの、事故に遭って月面に置き去りになっているらしいのです。
クマムシが月面に置き去りにされてから数年。果たして地球最強生物クマムシは月で生きているのでしょうか?

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2019年にクマムシを乗せた探査機が月面着陸に失敗

今や民間企業が宇宙を目指ししのぎを削っている時代。その中で月を目指す民間企業もあり、2019年2月22日にイスラエルの民間宇宙団体「SpaceIL」が開発した月探査機が打ち上げられました。
その月探査機の名は「ベレシート」。ベレシートは無事に月周回軌道に投入されたのですが、その後月面着陸に挑んだものの、エンジントラブルで高度約150メートル付近で通信が途絶し月面に衝突してしまいました。

「Image Credit:月面着陸に成功した「ベレシート」のイメージ図(Wikipediaより)」
ベレシートには「Lunar Library」と命名された地球と人類の記録を記したアーカイブディスクや人間のDNAサンプル等が搭載されており、その他に乾燥状態にした数千匹のクマムシも積まれていました。

「Image Credit:探査機ベレシートの月面衝突現場(NASA/GSFC/Arizona State University / WIKI commonsより)」
探査機ベレシートは、高度150メートルから時速500キロの速度で月面に衝突したそうで、上画像↑↑でもわかるようにかなりの衝撃を受け粉々に砕け散っているのが確認出来ます。

地球最強生物と呼ばれるクマムシの生態について

月探査機に積まれたクマムシの安否がどうなったか心配ですが、その前に地球最強生物と呼ばれるクマムシの生態について少し触れてみると。

クマムシの体長は0.1〜1ミリメートル程の大きさで、肉眼ではほぼ見えないくらい小さな生物です。
また、クマムシは虫ではなく「緩歩(かんぽ)動物」と呼ばれる小さいながらも6つの脚を持っており、地球上ではありとあらゆる場所に住んでいるかなり身近な生物だそうです。

「Image Credit:IDEAS+INNOVATIONS WIRED
気になるクマムシの生態ですが、基本的にこの生物は水性動物であり周りに水が無いと生きていけないそうです。
しかし、一部のクマムシは水が無くても生き延びる事が出来る者もいて、その種のクマムシは水が無い乾燥した場所では、全ての代謝を止め”乾眠”と呼ばれる脱水した仮死状態となり生きながえる事が出来るそうなのです。

「Copyright ©:東京大学 / The University of Tokyo All rights reserved.」
そんな乾眠状態となったクマムシこそが地球最強生物と呼ばれる所以であり、この状態のクマムシはマイナス272度から150度の温度まで耐える事が出来、真空状態から75,000気圧までの圧力でも大丈夫で、更には4,000Gy(グレイ)以上のガンマ線(放射線)にも耐える事が出来るそうです。ちなみに人間の場合、10Gyの放射線量を超えると危険レベルになるそうです。
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月面に墜落したクマムシの生存率は?

乾眠状態であれば、凄まじく過酷な環境でも生きながえる事が可能なクマムシですが、月面に衝突した探査機ベレシートに乗った”彼ら”はいったいどうなったのでしょうか?
とは言っても、現時点で”彼ら”の安否を確かめる術はありませんので、生命力等を加味したうえで推測で考えるしかありません。

月面衝突の衝撃には耐えられる?

まず、月面への衝突の衝撃については問題なさそうです。何故なら、クマムシは時速2,600キロの衝撃にも耐える事が出来るため、月面に時速500キロの衝撃には余裕で持ち堪える事が出来そうだからです。

過酷な温度変化が伴う真空中で生きられる?

以前(2007年)、クマムシを欧州宇宙機関(ESA)の宇宙実験衛星「Foton-M3」に乗せ宇宙空間に晒される実験が行われたそうです。その実験の結果、極度の温度変化を伴う真空の宇宙空間で10日間生き延びたそうです。

強烈な放射線量の中での生存は?

月面の平均放射線量は地球上の約200倍(地球上の年間放射線量は2Gy程)と推定されていますので、4,000Gy以上の放射線にも耐えられるクマムシなら、かなりの期間は大丈夫かと思われます。

クマムシは月面で生きられるのか?

月面に取り残された数千匹のクマムシたちですが、専門家の見解によるとどうやら彼らは乾眠状態から覚める事は出来ないとの事。
どんなところでも生きられる最強生物であってもそこは地球生まれの生物です。彼らも水や酸素、餌となる微細藻類が無い月世界では復活する事は望めず、もちろん繁殖する事も出来ないでしょう。

「Image Credit:NASA提供の画像を加工」
ただそこが何もない無機質な月面ではなく、地球外生命体存在の可能性が高いとされる木星の衛星エウロパや、土星の衛星エンケラドゥスの海の中にクマムシが入り込んだとしたら、その星の生態系を脅かす危険な生命体になってしまうかも知れません。
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