宇宙飛行士と言えば子供の憧れの職業とも言えるのではないでしょうか?
特に最近では漫画「宇宙兄弟」の人気が後押しし、子供はもちろんの事、大人になってからでも宇宙飛行士になりたい!という人が増えていると耳にします。
しかし、憧れの職業としてのイメージが先行し、給料や仕事の内容など待遇面、また職業としての安定性はどうなのでしょうか?
実際に宇宙飛行士を目指す人にとって、これは非常に気になるところではないでしょうか。
果たして、宇宙飛行士という仕事のジャンルは本当に憧れるほどの職業なのでしょうか?

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宇宙飛行士になるには狭き関門を突破する必要がある

憧れの職業だけあって、宇宙飛行士には誰でもなれるワケではありません。
そこには、非常に厳しく狭き関門があり、それをクリア出来る極少数で優秀な人材しかなることは許されません。
でも、この事は誰でもある程度は知っていることとは思いますが、非常に難しいと考えるのは当然の事かも知れません。

「Image Credit:NASA」
まず、宇宙飛行士になるには、そもそも募集が無いことには始まりません。
他の職業のように宇宙飛行士の採用試験は毎年あるワケではなく、アメリカのNASAだと3~5年に1回だと言われています。
日本にいたっては10年に1回程度しか募集がなく、それもいつ募集されるかも不明で、新卒で簡単に応募出来るというワケには行きません。
この不定期な募集時期が1つの関門であって、次に狭き門になるのが学歴と実績。
  • 学歴:大卒以上(理学部、工学部、医学部、歯学部、薬学部、農学部等の自然科学系の学科卒業)
  • 実績1:自然科学の分野での実務経験が3年以上
  • 実績2:英語やロシア語が話せる事
他、強靭な精神と体力、協調性などの宇宙飛行士としての資質も備えていることが条件となり、特に年齢に対する条件等はないとのことですが、やはり体力面を考えれば30~40代が最も採用されやすい年齢だということのようです。

※追記:2021年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13年ぶりに宇宙飛行士の候補者を募集しました。
この募集はこれまでの狭き門ではなく、多様な人材を確保する事を目的とし、応募資格を学歴・年齢等不問とした大幅に緩和が大きな話題になっています。

「Image Credit:JAXA宇宙航空研究開発機構」

宇宙飛行士の待遇

2021年度の宇宙飛行士の候補者を募集については、大幅な緩和策が話題になりましたが、緩和されたのは一次募集のみで、一次審査を突破した後は英語能力試験や一般教養そして専門的な教養も求められるハズであり、緩和はされてもそれは入口のみで、最終的に宇宙飛行士になれるのは数名程度で狭き門には変わりはありません。

「Image Credit:JAXA宇宙航空研究開発機構」
そして、狭き門を突破して晴れて宇宙飛行士になれた場合、満足いく待遇なのか?についてですが、調べたところによると、給与はそれほど高くなく採用時で月30~35万円程度と、民間企業でいうところの中間管理職ほどの給与という事のようです。
他、年2回の賞与と福利厚生も一般企業とさほど変わらないとの事。
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つまり、宇宙飛行士もサラリーマンと同等レベルの待遇でしかないという事のようです。
さらに宇宙飛行士になれた場合、NASAを中心に厳しい訓練と教育が始まり、まず日本での生活は難しくなりそれが何年も続きます。
また、宇宙飛行士になったからといって必ずしも宇宙に行けるワケではなく、ミッションに選ばれなければ地上勤務が長く続き、10年以上待たされるか、悪くすれば一生宇宙に行けない人もいるようです。

「Copyright ©:JAXA宇宙航空研究開発機構 All rights reserved.」

これまで宇宙に行った日本人宇宙飛行士とその後

宇宙飛行士に選ばれても必ずしも宇宙に行けるワケではないとお話しましたが、現時点での日本人宇宙飛行士は、皆さん宇宙に行く事が出来ていおり、その中には複数回宇宙に滞在している人もいます。
JAXAでは1992年にNASAのスペースシャトルで宇宙に行った毛利衛氏を筆頭に、合計11名の宇宙飛行士が宇宙に滞在しています。(2021年12月現在)
そして忘れてならないのが、日本人として初めて宇宙に行った秋山豊寛氏。彼は宇宙飛行士としての職業ではなく、民間人として旧ソ連のソユーズで約10日間宇宙に滞在しています。

「Image Credit:左端が秋山さん(Weathernewsより)」
また2021年には、ZOZOTOWNの創業者・前澤友作氏も、2週間国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し話題になったのは記憶に新しいところです。
さらに、宇宙飛行士としての現役はさほど長くなく、多くても数回ミッションにアサインされれば、もう宇宙に行くことは無くなると言います。
そうなれば元宇宙飛行士という肩書になるワケで、そんな彼らはその後どうなるのか?ですが、やはり元宇宙飛行士という肩書は絶大で、皆さん日本に戻り宇宙関連の重要ポストに就いておられます。
給料等の待遇はそれほどなくても、宇宙飛行士になれれば安定した生活が保障されるのかも知れません。

危険と隣り合わせで覚悟が必要な宇宙飛行士という職業

憧れの職業である宇宙飛行士。
しかし、待遇のわりには危険も伴う職業であることは事実です。そもそも人間には宇宙に飛び出せる能力などありません。
技術もまだ発展途上で、必ずしも安全に宇宙に行けるワケでもなく、宇宙に行ってからも様々な危険が伴います。それでも宇宙飛行士になりたいというのなら、相当強い覚悟と意志を持つ必要があります。
つまり、漠然とただ「宇宙に行きたい!」という気持ちでは、とても宇宙飛行士など務まらないということのようです。
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