私たちの住む太陽系は、天の川銀河という直径10万光年にも及ぶ星々が密集する巨大な銀河の中にある事は多くの人が知っている事とは思いますが、では、銀河のどこに太陽系があるのかをご存じでしょうか?
おそらくですが、天文に興味の無い人の大半はどこにあるのかを知らないかと思います。
でも、私たち地球に住む生命にとって太陽系が銀河のどこにあるのか?それはとても重要な事で、私たち生命が繁栄出来ているのは、太陽系が”その場所”にあるおかげと言っても過言ではないのです。

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太陽系が銀河のどの場所にあるのかを知っておこう!

現在の太陽系は、天の川銀河の中心から約2万7,000光年離れた位置にあるとされています。

「Copyright c:uropean Space Agency, ESA All rights reserved.」
上動画↑↑でもおわかりのとおり、銀河の中心付近は星の形成が活発で、巨大な恒星も形成されやすく、そのため超新星爆発やガンマ線バーストが頻繁に発生するため、放射線にさらされるリスクが高い領域で、生命にとってはとても危険な環境だと思われます。
一方で、現在太陽系が位置する銀河の外縁部は星の密度も低く比較的安全な領域だと言え、このような環境により地球では生命の進化が進み、現在のような多種多様は生命で溢れ、いわゆる生命の楽園が形成されていると言っても良いのではないでしょうか。
ちなみに、現在太陽系がある領域の星の密度を具体的に挙げると、太陽と隣接する恒星であるアルファ・ケンタウリを2個のスイカに例えた場合、この2個のスイカを太平洋に浮かべたほど、とてつもなく広い宇宙の安全地帯に太陽系は位置していると言います。
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銀河中心にかなり近い領域で太陽系は誕生した!?

前記もしたように、現在の太陽系は銀河中心から約2万7,000光年の位置にありますが、太陽系が誕生したおよそ46億年前は、現在の位置から1万光年も銀河中心に近い1万7,000光年の位置にあった可能性が高いと考えられています。

「Image Credit:国立天文台」
これは、まだ仮説の領域の範囲内での事ではあるのですが、太陽の周辺にある同年齢代の恒星の化学組成を調べたところ、太陽系に存在する重元素(炭素・酸素・鉄など、水素とヘリウム以外の元素)の量が、他の恒星系に比べ各段に多い事が判明。このような重元素が多く含まれる星は、銀河の中心付近で誕生する傾向があるとされており、この事から太陽系は銀河の内側領域で誕生した可能性があると考えられると専門家は推測しているそうです。
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太陽系はどうやって銀河の外側まで移動してきたの?

地球が太陽を1年掛けて公転しているように、太陽もまた約2億5,000万年かけて銀河を公転しています。

「Copyright c:DjSadhu All rights reserved.」
誕生から46億年経ったとは言え、太陽系の公転運動の中で何が起こって1万光年も外側へ移動して来たのか?その原因についてはわかっていませんが、日本の大学の研究チームが天の川銀河の時間変化を考慮した数値シミュレーションを行ったところ、この太陽系の銀河大移動に関する2つのメカニズムがわかったそうです。
1つは、棒渦巻銀河である天の川銀河の構造が原因で、銀河全体を取り囲むダークマターと相互作用して回転(公転)が徐々に遅くなり、太陽系の公転運動が減速し外側へ移動してしまったという事が考えられると言います。
2つ目は、スパイラルアームと呼ばれる銀河の渦巻腕が少しずつ変化することで太陽系が移動するという考えで、銀河の星々の公転速度は渦巻腕の回転速度とは異なっているため、太陽系を含めた銀河の中の星々は銀河の中を公転しながら渦巻腕に突入したり出て行ったりする。その過程で公転速度に変化が起こったり、巻き込み角度が変わったりする事で、太陽系が銀河の外側へと運ばれていったのではないかとされています。
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もし太陽系が銀河の外側へ移動していなかったら?

太陽系誕生当初の太陽系は、銀河の中心から1万7,000光年の位置にあった可能性があると考えられていますが、仮に太陽系がまだその位置にあった場合、現在のような地球における生命の繁栄はあったでしょうか?
炭素・酸素等は、生命を形成するために必要不可欠な重元素であるため、太陽系が銀河の中心に近い場所で誕生した事は、生命にとってもかなり重要な要素になり、また地球のような鉄のコア(核)を持つ大きな岩石惑星の形成にも太陽系が誕生した場所は大きな意味を持っています。
しかし、このような好条件がある一方で、銀河の中心に近ければ近いほど星の密度も増し、近隣には危険な星も多く存在し、生命の進化を妨げる結果を生む事になり兼ねないでしょう。
また、銀河の外側にある恒星系には、水の豊富な惑星系が誕生する可能性がある考えられ、このような奇跡の循環とも言える太陽系の銀河大移動もまた、私たちの地球に生命の恵みを与えてくれる結果を生んでくれていたのかも知れません。
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