火星は、太陽系の惑星の中でも地球に最も環境が似た星だということがこれまでの調査でわかっています。
ただ、地球に似ていると言っても、海や川があって木々が生い茂り生命が生存しているワケではなく、今の火星は、希薄な大気が存在している赤茶けた不毛の大地が広がるだけの惑星なのですが、遥か太古の昔は豊かな水に覆われた本当に地球に良く似た環境だったとの事なのです。
今の火星からは信じられ得ない光景が広がっていたとのことなのですが、そこはどんな環境だったのでしょうか?
現在の火星の環境
火星は最短の直線距離で、地球から約8,000万キロ離れています。つまり、火星はそれだけ太陽からも離れているということを意味しており、太陽から受ける恩恵も地球より遥かに少ない環境になっています。
火星地表の平均気温はマイナス40度以下で、また、大気は存在しますが成分のほとんどは二酸化炭素が占め大気密度は地球の100分の1程度に過ぎず、そのため、常識的に考えて火星の環境は生命が生息するには困難な場所というより絶望的とも言えるでしょう。
そんな火星には、人類は何度も無人探査機を送って調査していますが、いくら調べても火星の地表は、どこまでも赤茶けた不毛の大地が広がるばかりです。
「Image Credit:火星探査ローバー「キュリオシティ」が撮影した火星の地表(NASAより)」
太古の火星は地球にそっくりだった!?
何度も行われている火星探査。これの探査により過去の火星の状況も少しずつですがわかって来ています。
その探査結果によると、火星にはその昔、豊富な水が地表を流れていたという痕跡が見つかっています。
そこで、水の証拠を発見したNASA(アメリカ航空宇宙局)は異例の発表しており、「かつての火星は豊富な水で満ち溢れていた」との見解に至ったとの事です。
●参考サイト:【NASA’s Curiosity Rover Team Confirms Ancient Lakes on Mars】
火星に水が流れていたのは、まだ地球に生命が誕生していない遥か昔で、まだ誕生して間もない40~30億年前と推測されるそうです。
その頃の火星は比較的大気も濃くて温暖な環境にあり、水も液体の状態を保って海や湖、川が存在していたとの事です。
このような水の豊富な状態を数億年保っていた時代があったと発表されていて、この頃の地球はまだ原始の地球で、生命が生まれるには環境が整っていませんでしたが、火星には既に酸素も存在し微生物が生息していた可能性もあるとの事です。
(火星から飛来したと思われる隕石に付着していた微生物状の構造)
「Image Credit:Wikipedia」
何故、火星の水は干上がったのか?
ご承知のとおり、現在の火星には極地方に氷が残っているものの、ほとんどの地表には水はおろか氷さえ存在しません。では、太古の昔は豊富にあったと思われる水はいったいどこに行ったのでしょうか?
その原因については謎のままですが、考えられるのは火星そのものの構造にあるのではないか?という説があります。
火星は地球と比べ小さく、地球の半分ほどの大きさしかありません。
「Image Credit:Wikipedia」
そのため引力(重力)が弱くまた磁場も弱いため、大気を長く留めておくことが出来ず、水も大気とともに宇宙に流出してしまった可能性があるかも知れない。
水も大気もほとんど失ってしまった火星は、温室効果も維持できず極寒で不毛の大地となってしまった。
もし、火星がもう少し大きな惑星で引力も磁場も強ければ、もしかしたら生命が存在する第二の地球的な惑星であったかも知れません。
火星の土を掘ってほしい。