スペースコロニー」と聞いてアニメの機動戦士ガンダムの世界を思い浮かべる人も多いかと思います。
そのガンダム世界では人口が爆発的に増加した未来の地球が背景にあり、増え過ぎた人口を宇宙空間に建設した人工の土地・スペースコロニーに移住させた世界で起きる出来事が描かれています。

これって、いわゆる人類宇宙移民計画が実行された後の世界を描いたモノでした。
そこで、今回のテーマであるのが、ガンダムでお馴染みのスペースコロニーなんですが、実はこのスペースコロニーは、SFアニメの世界だけの空想で描かれているのではなく、実際の世界において、今後人類が抱える大きな問題である人口爆発を、どう解決すれば良いのかを1つのモデルとして提唱しているのがスペースコロニーなんです。

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地球にやさしい人類の人口は?

2022年現在、世界の総人口は80億人に到達しており、さらに人口は今後も増加を続け30年以内には100億人を突破するとも試算されています。
そもそも本来の人間は、それほど繁殖力が高い動物ではなく自然の摂理から考えるとこれほど人口が増加することはないハズでした。
しかし、高度な知能を持つ人間は、病気等の天敵をも克服し生きるために快適な文明を築きながら寿命も延びつつあります。
その結果、このように爆発的に人口が増えてしまったワケであり、今後も増え続けて行きます。

「Image Credit:iStock」
以前、ある本で読んだことがあるのですが、地球環境に優しい人類の人口は2~3億人程度とありました。
それが正しい人口かどうかはわかりませんが、その人数を基準とすると現在の人口は数十倍にも膨れ上がっていることになり、今の地球環境問題は人類の人口爆発に起因していることかも知れません。

ガンダム世界から見る人口増加問題解決策

機動戦士ガンダムの世界では、まさにその人口爆発による地球環境悪化を懸念した背景があります。
この世界では世界人口が90億人を超えた21世紀半ばに、地球の衛星軌道上にスペースコロニーを建設を開始し、その人工の土地に少しずつ人類を移住させ、世界人口が150億人に達した頃には、人口の約半数に当たる90億人をスペースコロニー及び月面に移住させているという設定になっています。
ガンダムの物語をご存じの人は、この人類宇宙移民計画により地球の環境が改善されたかどうかはおわかりだと思いますが、エゴの固まりの人類はそれでも変わることなく地球環境の改善はおろか月や宇宙までも汚してしまいます。
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スペースコロニーの建設は実現可能なのか?

ガンダムに登場する宇宙空間に建造された人工の居住地スペースコロニーは、SFから生み出された空想の産物ではなく、1969年にアメリカのプリンストン大学教授のジェラード・K・オニール氏らによって、宇宙空間に建造する人工の居住地として提唱されたオニール計画に基づくいているモノなのです。
オニール計画は、残念ながら実行はされていないワケで、現時点では空想上の計画でしかないのですが、それでも科学的な根拠を基に提唱されており、将来的には建造が可能ではないか?と考えられています。

スペースコロニーとは?

オニール計画でのスペースコロニーはモデルがいくつかあり、ガンダムで主に登場するのが、外観がシリンダー型の円筒形で、直径が6キロ、長さが60キロの巨大な建造物です。
これを2分間で1回転させて遠心力を発生させる事で、シリンダーの内壁部に生じる重力が地球上と同じ1Gになると考えられています。
そして1Gとなった重力下の内壁部の土地に、建物や道路、森や池を造り人工の地球を実現させて生活するのがスペースコロニーなのです。
ちなみに、1基のスペースコロニーで東京23区並みの土地を造り出すことが出来るため、この中に数百万人~1千万人単位で人を住まわせることが出来ると想定されています。

「Image Credit:Wikipedia」
しかし、スペースコロニーの実現には、次のような様々な問題点をクリアしなくてはなならないとも言われています。

スペースコロニー実現のための問題点

スペースコロニーは、地球上の人口増加問題を解決するために、巨大な施設を建造しなくてはならないため、以下のような問題点が出て来ます。
  • 建設資材をどうやって宇宙に運ぶか?
  • 莫大な建設費用はどうするのか?
  • 数十億人の人類を移住させるためには、何基コロニーを建設しないといけないのか?
  • 人工重力に耐えられる強度を保てるのか?
  • 隕石や宇宙デブリ衝突対策はどうする?
  • 太陽風など有害な放射線被ばく防止対策
  • そもそも数十億の人が地球を離れ、スペースコロニーに移住してくれるのか?
といったように様々な問題点があるため、スペースコロニーによる人類宇宙移民計画の実現は不可能だという人も多くいるのが現実のようです。
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必ずやって来る人口増加問題をどう解決するのか?

スペースコロニー計画は、将来訪れるであろう人類の人口が原因の地球飽和状態解決策の1つの案に過ぎません。
その日は意外に近く、21世紀中盤には世界総人口は100億人を超えると言われています。そうなると、地球温暖化にも拍車がかかり、資源の枯渇、食糧不足も深刻な状態になることが考えられます。
これを食い止めるには、人口増加を抑える対策を取るか、今回ご紹介したような人類宇宙移民計画を実行に移すしかないでしょう。
また、人類宇宙移民計画はスペースコロニーへの移住だけではなく、今後開拓がはじまるであろう月面や火星への移住も考えられます。
しかし、月面や火星の移住には、どうしてもクリア出来ない決定的な問題があります。
それは重力の問題で、月面は地球の6分の1で、火星は3分の1程度しか重力がありません。
果たして、その低重力の環境下で人間が生きて行けるかは大きな疑問が残ります。そうなると、地球とほとんど同じ環境を造り出すことが出来るスペースコロニーが最も有効的なのか?それを判断するのは、近未来の我々の子孫です。
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