ある情報誌に「人類が火星に住む日は近い。」と言ったタイトルで、火星に人類が居住出来る”第二の地球”として注目されているという記事が掲載されていました。
実際、現在、地球上でその日に向けた実験や訓練も行われているようですが、果たして、それは報われて人類の火星移住は現実になるのでしょうか?

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火星が人類移住の候補となっている根拠とは?

かつては国家事業だった宇宙開発も21世紀に入った今日、民間企業も参入し着々と進んでいますが、その宇宙開発の究極の事業のひとつとして掲げられているのが「人類火星移住計画」ではないでしょうか。
つまり、火星を第二の地球として多くの人たちを移住させようとする計画なのですが、何故そのような計画が持ち上がって来たのでしょうか?

「Image Credit:Wikipedia」
その根拠として挙げられるのが、大きく分けて3つあります。
  1. 地球から近い惑星
  2. 太陽系天体の中で最も地球に近い環境を持つ惑星
  3. 適度な太陽の恵みもあり地下には豊富な水が存在する可能性が高い
まず1つ目が、火星が地球のスグ隣りを公転する近い惑星である事で、現在の技術でも最短で半年程で火星まで到達する事が出来ます。

2つ目が、火星が地球に近い環境を持つ事。

「Image Credit:国立天文台」
上図↑↑をご覧いただければわかるかと思いますが、火星は大きさこそ地球の約半分で質量も10分の1程度ですが、自転軸の傾きや1日の長さが地球に非常に近く、希薄ですが大気も存在しています。

3つ目は、火星が地球から8,000万キロ程しか離れておらず太陽光もある程度の恵みが期待出来る事にあり、夏場での赤道付近の最高温度が摂氏20度程、一年を通しての平均気温はマイナス50程と、地球の極地方の気温に近い環境があるようです。

人類は何故火星に移住する必要があるのか?

火星が地球に近い環境を持っているとは言っても、火星の大気には酸素がほとんど含まれておらず、大気圧も地球の100分の1以下しかないため、私たちが生身の身体で火星の大地に立つなんて事はとても無理な話です。
ですが、現実として将来的に火星移住の計画が持ち上がっているのは事実で、早ければ20~30年後には移住を開始するという話まで持ち上がっています。

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では何故、人類は火星に移住する必要があるのでしょうか?
その理由もまた、大きく分けて3つかも知れません。
  1. 深刻な人口増加
  2. 環境破壊や食糧問題
  3. 人類宇宙進出の足掛かり
人類が火星に移住する理由その1は、2022年末、ついに世界人口は80億人を突破してしまい2050年までには100億人にも到達する勢いです。
この人口増加は地球にとって決してプラスではなくむしろマイナス要因で、地球自体が増え過ぎた人口を抱えきれなくなってしまう可能性があります。

「Image Credit:iStock」
2つ目は、人口増加にリンクしていますが、人が増え過ぎた事で更なる地球環境の悪化が懸念され、さらには食糧が不足する時代がやって来る事も懸念されています。
そして3つ目が、今後人類が宇宙開発・進出するにあたり、火星での移住で技術革新が進めが、木星や土星といった更なる外宇宙へ進出するための足掛かりになる事は確実で、火星を外宇宙との中継に使うといった計画も進行する事が考えられます。

すなわち、火星に人類が移住する事は、増え過ぎた人口を分散する事の目的があり、宇宙進出のステップアップにも繋がるといったメリットが考えられるのです。
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いくら火星が近くても月に行くのとはワケが違う

既に人類は月面に降り立っており、その勢いでで火星にも!という流れが出て来ても当然かも知れませんが、ただ、人が月面に降り立つのと火星の地表に降り立つのでは次元が違い過ぎます。

まず月の場合は地球を周る衛星ですので、地球と月の距離はほとんど変わらず、いつでも月に向けて出発する事が出来るのに対し、火星は地球と同じ惑星であり互いに太陽を周っており、地球と火星の距離は近づいたり、離れたりと距離にムラあるため、原則的に地球と火星の距離が接近したタイミングでした火星に向かう事が出来ず、また地球に帰還する場合も火星と地球が接近するタイミングでないと行かず、その接近のタイミングは約2年に1回。すなわち、一度火星に行ってしまったら最低でも2年は地球に還れない事になるのです。

「Image Credit:NASA」
また、大気がほとんど存在せず、重力も地球の6分の1しかない月とは違い、火星には大気もあり重力は地球の約3分の1あります。
これが意味する事は、火星に着陸する事は非常に難しいという事で、月面に着陸する場合の宇宙船は、少ない燃料での逆噴射着陸する事が可能ですが、火星では大気圏内に突入しパラシュートを開いても、空気が薄いため十分な減速が出来ず、逆噴射でも大量の燃料を使ってしまうため、着陸にはかなりの困難を極める事が予想されます。

すなわち、人が火星に行こうとした場合、技術的にも極めて困難であり、尚且つ簡単には地球に還れないという厳しい課題があるのです。

火星に住むのは無理かも知れない!?

仮に、技術面で火星に行くための課題がクリアされたとしても、そこに人が住むにはもっと大きな問題が立ち塞がって来る事は確実です。

それもまた、いくつかの問題点が挙げられます。
  1. 重力が弱すぎる
  2. 磁場が存在しない問題点
  3. 精神的なストレス問題
私たち地球で生まれて進化を遂げて来た生物にとって、環境の違う他の星(火星)に移住するという事は大きなリスクを伴って来ます。
その1つが、火星が地球より重力が小さいという事であり、地球の1Gという重力下で生活している私たち人類が、地球の3分の1しかない重力下で長期間生活した場合、どのような事が起きるでしょうか?
それは、筋力・骨・内臓機能の低下、さらには脳障害も起こる可能性があり、それだけ私たちにとって地球の重力というモノは重要だと言えるのです。

「Image Credit:Depositphotos」
2つ目は、強力な磁場で守られている地球に対し、磁場がほとんど存在しない火星との違いは、地球は宇宙や太陽からやって来る有害な放射線から磁場が守ってくれています。一方、磁場が存在しない火星には、地表に容赦ない放射線が降り注ぎ、少なからず人体にも悪影響を及ぼす事が危惧され、さらには火星の土壌(砂)や地下にあるであろう水も汚染されている可能性が高く、火星に住む人たちにとっては命の危険に晒される事も考えられます。

「Image Credit:NASA」
最後に掲げる問題点が、そもそも地球で生まれ育った人類が火星で生活をするとなった場合、すんなりその生活を受け入れられるか?という事です。
おそらくは、他の星で暮らす人にとってストレスも相当なモノがあるのではないでしょうか?そのストレスにより精神破壊が起こり、移住者同士ので争いも発生するかも知れません。

この火星生活での問題点については個人的な考えも含まれていますが、とは言っても火星移住を安易に考える事は危険であり、かなりリスクが大きいような気がします。

とにかく、そう遠くない未来には、具体的な火星移住プランが打ち出されるかも知れません。それ次第ではもしかしたら、こういった火星生活でのリスクが軽減できるといいった事もあれば、人類が宇宙で生活する活力が生まれるかも知れません。
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