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「宇宙にエレベーターに乗って行く。」なんて、メルヘンチックな話にも思えますが、もしかしたら近い将来、本当にエレベーターに乗って宇宙に行ける時代がやって来るかも知れません。
この話の発信元は日本で、大手ゼネコン・大林組が「宇宙(軌道)エレベーター」構想を打ち出し、その実現に向けて一歩ずつ前進しているとのニュースが話題になり、軌道エレベーターの仕組みを実際に宇宙で実証する「STARSプロジェクト」という試みが始まっていると言います。



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2016年12月。JAXAが純国産宇宙ロケットH2A-Bを使い、国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて種子島宇宙センターから打ち上げた無人補給機「こうのとり」。

「Image Credit:宇宙ステーション補給機「こうのとり」(Wikipediaより)」
この「こうのとり」には、ISSで使用する様々な補給物資が積まれているのですが、今回の打ち上げで今後の実現に向けて軌道(宇宙)エレベーターの研究機材も積み込まれていると言い、積み込まれた研究機材は、静岡大学が研究開発しているSTARSプロジェクトの一環として、重さが2.7キロの超小型の人工衛星を宇宙に放出し、初期段階の軌道エレベーター実証実験を行う目的としています。

軌道エレベーター構想を具体化したガンダムワールド

では、軌道エレベーターとはいったいどういうモノなのでしょうか?
これを説明する上で最もわかりやすのが、人気SFアニメの「機動戦士ガンダム00」ではないでしょうか?!
機動戦士ガンダム00での物語の背景は約300年後の世界。この時代になると石油など地球上の化石エネルギーが枯渇してしまい、それに代わるエネルギー源として太陽光エネルギーの利用が始まり、効率的に太陽光エネルギーを取り込むために衛星軌道上に巨大な太陽光発電システムを建設し、その宇宙空間で発電した電力を地上に送るために軌道エレベーターが利用され、また人々が地上と宇宙を行き来するためにも利用されているという設定が組まれていました。

ガンダム00で登場する軌道エレベーターは、300年後の人類経済を支える要と言えるべき重要な存在として描かれていて、そのため軌道エレベーターを巡りテロや紛争が巻き起こるという暗い一面も描かれています。

リアリティを追及した軌道エレベーター

アニメで登場する建造物などは、見た目重視でリアリティの無いモノが多いような気がしますが、ガンダム00に登場する軌道エレベーターは実にリアルに造られています。
そのリアル度としては、まず軌道エレベーターは地上と宇宙繋ぐ建造場所が、地球の自転スピードが最も緩やかな赤道上である事で、この赤道上から地球の引力と遠心力が中和している地点・約36,000キロ上空、いわゆる静止軌道と呼ばれる場所を支点に全長5万キロにも及ぶ巨大な構造物を建設しています。

これだけ巨大な建造物の質量は、地上からの土台だけでは支えられないのため、高度1万km付近と3万5千km付近にオービタルリング(軌道リング)と呼ばれる地球を取り囲む人工の環を設置して安定させ、3万5千km付近に太陽光発電衛星も、まんべんなく太陽エネルギーを取り込めるよう地球を取り巻くように設置されています。
さらに、地上から支点となる静止衛星軌道は地球の重力が働きますが、それより上の軌道へは遠心力が働きます。
そのため、高度5万キロ付近のエレベーター先端部には、遠心力を制御するための重りとなる衛星が設置され軌道エレベーター全体のバランスを取っていいるという、まさに現実味のある設定がなされている事に驚きを感じるほどです。

「Image Credit:㈱大林組広報誌「季刊大林」より」
なお、このリアルな軌道エレベーターの設定は、後術する日本の大手ゼネコン・大林組の「宇宙エレベーター構想」から来ているとされています。
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軌道エレベーター実現へ向けた実験「STARS-C」プロジェクト

さて、話は現実に戻りますが、無人補給機「こうのとり」で運ばれた衛星とはどんなモノなのでしょうか?
これには、静岡大学が研究している軌道エレベーターの実験衛星「STARS-C」が積まれており、ISSから放出されたこの衛星は、約400キロの軌道上でデザーと呼ばれるエレベーターのワイヤー伸展実験を行います。

「Image Credit:STARSプロジェクト
「STARS-C」衛星自体は重さが2.7キロと小型ですが、デザーの長さは約100メートルにも及び、これの伸展実験が成功すれば、夢の軌道エレベーター構想実現へ一歩前進すると期待が寄せられています。

大林組の軌道エレベーター構想とは?

前記もしましたが、ガンダムワールドの設定や、静岡大学のSTARSプロジェクトは大林組の「宇宙エレベーター構想」からきていると言います。
この構想は、地上と宇宙をエレベーターで行き来するという突飛な発想で、それこそSFやアニメでしか実現出来なさそうですが、これは理論上可能で、しかもそう遠くない未来に実現出来るとの事で、これを具体化し2050年には建設と出来る!と大胆な発表をした大林組。
そんな大林組の宇宙エレベーター構想の概要はどのようなモノなのでしょうか?

それはコチラの構想図をご覧いただければよいのですが、全長約10万キロにも及ぶ超巨大な構造物を建設する構想を立てており、もし、地上と宇宙を結ぶエレベーターが完成すれば、宇宙はこれまでとは比べ物にならないくらい身近な存在になり、宇宙資源調達や探査や宇宙旅行などもコストが安く安全に利用できるようになることは間違いありません。

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しかし、このエレベーターの建設には10兆円以上の費用がかかる事が予想され、技術面の開発も含め発案者の大林組だけでは建設は不可能との事もあり、実現に向けては国際レベルでの協力が必要になって来ると考えられています。

「宇宙エレベーター建設」構想。
実現するには、技術、費用、国家間協調など様々な壁を乗り越えないと難しいかも知れません。
果たして、大林組が発表したように2050年までに実現できるのでしょうか?
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