宇宙戦艦ヤマトのリメイク版アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」のストーリーには、非常に興味深いモノがあります。
それは現在の天文学上、とても注目を浴びている天体や天文知識が随所に登場しているからです。
つまり、このアニメを視聴していると楽しみながらも、知らないうちに天文知識が身に付くというおまけ付。
ここでは、そんな宇宙戦艦ヤマトの航海中に立ち寄った、天文知識向上に繋がるある星に注目してみたいと思います。
アニメを楽しみながら身に付く天文知識とは?
宇宙戦艦ヤマト2199は1970年代に放送された宇宙戦艦ヤマトの第1作目のリメイク版です。そのため、ストーリー展開はオリジナルになるべく合わせながらも、新たなるストーリーも織り交ぜていて、その中には1970年代当時には解明されていなかった天文学の謎も取り組まれています。
例えば、ヤマトの旅の目的地・イスカンダルがある大マゼラン銀河までの距離は、1作目では14万8000光年と言っていたのに対し、リメイク版では16万8000光年と大きく変更。
太陽系圏と銀河圏の境界面・ヘリオポーズも今作ではじめて登場し、さらに地球外生命体存在の可能性があるかも?と考えられている、太陽系から約20光年離れた場所に実在するグリーゼ581も登場しています。
このようにリメイク版のヤマトでは、天文的知識向上に繋がる話題がいくつも盛り込まれています。
リメイク版ヤマトに登場する実在の最も興味深い天体とは?
リメイク版・ヤマトの第5話に登場する、ヤマトの航海に必要な資源を採掘(修理)するために立ち寄った星は実在する星です。その星の名前は土星の衛星「エンケラドゥス」。
「Image Credit:blogs.yahoo.co.jp」
このエンケラドゥスには先日センセーショナルな発見がされて、大きな注目を浴びています。
それは、この星に生命存在の可能性があるということが急浮上してきたことにあります。
その理由は、アメリカが土星軌道に投入している探査機・カッシーニが発見したエンケラドゥスに起こっている自然現象で、厚い氷で閉ざされたはずのエンケラドゥスの氷の裂け目から、間欠泉と思われる水が噴き出している事。ヤマトでもこの間欠泉が噴き出すシーンが登場しています。
つまり、間欠泉が噴き出すエンケラドゥスの地下には液体の水、しかも熱水が存在する可能性があるということを物語っていて、もしかすると温かい水が存在すればそこに生命が居る可能性があるということで、俄然期待が高まっています。
旧作のヤマトでも同じようなストーリーがありましたが、当時登場した星はエンケラドゥスではなく、同じ土星の衛星タイタンでした。
タイタンには大気が存在するため、当時から生命が居るのではと注目されて来ましたが、カッシーニの探査により生命存在の可能性は絶望的となり、注目の的はタイタンからエンケラドゥスに移行しています。
現在進行形で調査が進められているエンケラドゥス
ヤマトのように実際に人類がエンケラドゥスまで行って調査出来れば良いのですが、この遠い星まで有人の宇宙船を飛ばせるようになるまで、まだかなりの年月がかかるでしょう。そんな遠いところにある生命存在の可能性が高まるエンケラドゥスですですが、現在ただ1機・カッシーニだけが孤軍奮闘で探査をしています。
カッシーニは2015年10月28日に、軌道変更のためエンケラドゥスの引力を利用したスイングバイ航法を行っています。
その際、エンケラドゥスの地表に約50キロまで接近し、カッシーニは間欠泉の中に突入しサンプルの物質の採取に成功したとされ、現在そのサンプルの分析を行っているとの事。
しかし、サンプルを採取したと言ってもカッシーニが地球に持ち帰るワケではなく詳細な分析が出来きないため、ある意味推測の範囲内での分析が主になると考えられます。
それでもサンプルに生命の源である有機物質が見つかれば、エンケラドゥスに生命存在の可能性がかなり現実的になると思われますので、分析結果に期待がかかるところです。
果たして、エンケラドゥスに生命存在の証拠は見つかるのでしょうか?