21世紀の現在において、アメリカの「アポロ計画」で実施された月面着陸から50年以上が経過しています。
それは1969年7月20日の事で、アポロ11号が月面に降り立ち人類初の月面着陸の大偉業を成し遂げたのですが、この偉業について未だに捏造だったという陰謀論が囁かれています。
では何故これが捏造だったと言えるのでしょうか?
ここではその検証と、50年以上前に人類が月面に立った事が紛れもない事実である事の証明をいくつかしてみたいと思います。
アポロ月面着陸の真実~計画が行われた背景
時を遡ること1961年5月25日。かの有名な第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが、とんでもない声明を出しました。
それは『10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる。』と言うモノで、宇宙進出が本格化しつつある21世紀の現在において、このような声明が出てもそれほど驚きはないのですが、当時は人類を宇宙に送るどころか、アメリカが初めて人工衛星の打ち上げを地球低軌道投入に成功してから、たった3年しか経っていませんでした。
つまり、人類の宇宙進出がヨチヨチ歩きの時代にケネディ大統領が出したこの声明は、あまりにも突拍子もなく無謀と言えたからです。
「Image Credit:1961年5月25日ケネディ大統領演説の様子(Wikipediaより)」
では何故、ケネディ大統領はこのような声明を出したのでしょうか?
実はその背景には、当時地球上の大国を二分していた対旧ソビエト連邦との関係があり、この頃アメリカとソ連は冷戦状態で大国同士の露骨なライバル(宿敵)関係にありました。
「Image Credit:iStock」
そんなライバルであったソ連はアメリカより優位に宇宙開発を進めており、初の人工衛星打ち上げ、有人宇宙飛行成功と、ソ連に先を越されてしまったアメリカにとっては屈辱的な事でした。
アメリカは宇宙開発の遅れを取り戻しソ連を出し抜くため、国家最優先計画として「有人月面着陸計画」を実行に移したのでした。
そしてケネディ大統領の声明どおり、1969年7月20日にアポロ11号が人類初の月面着陸に成功し無事に地球帰還を成し遂げたのでした。
「検証」アポロ月面着陸が嘘という捏造説が広まった理由
人類初の大偉業を達成したアメリカは、アポロ11号の月面着陸だけではなく、その後も月に向けて有人ロケットを打ち上げ、1972年のアポロ17号まで( 「偉大なる失敗」と言われたアポロ13号は除く)計12名の宇宙飛行士が月面に降り立ち、それぞれの月面調査を行い無事地球に帰還しています。しかし、この偉大な成功に疑問を抱いた一部の人たちが「アポロ計画は捏造された。」と主張を始め、これが書籍や映画化などで発表されると陰謀説が一気に世界中に広まって行ってしまいます。
ですが何故、大偉業であるハズのアポロ計画月面着陸が捏造だと言い切れるのでしょうか?
その事については、月面着陸時公開された映像や画像に不自然な点があった事が、この陰謀説を広める発端となってしまったのようなのです。
その不自然な点とはいくつかあるようですが、代表的なのが以下の内容です。
- 「空に星が写っていない。」
- 「真空なのにアメリカ国旗がはためいている。」
- 「月面の写真にスタジオで撮影したらしき痕跡が見える。」
確かに当時の最高水準のコンピュター性能はファミコン程度の処理能力しかなかったと言われており、普通に考えれば、月面着陸という高度な計算と技術が必要なミッションなど到底無理だと思えても仕方ないかも知れません。
また、当時の時代背景や技術者たちが背負っていたプレッシャーも影響しているとされており、「ケネディ大統領が宣言した10年以内に、何としてでも月面着陸を成功させなくてはならなかった。」ための焦りから捏造が生まれたのでは?という説もあり、事実、その期限の10年ギリギリで月面着陸を成し遂げている事が、より疑惑に拍車をかけてしまったのかも知れません。
「Image Credit:月面でアメリカ国旗に敬礼する宇宙飛行士(Wikipediaより)」
「証拠」人類は間違いなく月面着陸を成功させていた!
人類で初めて月面に降り立ったアポロ11号のアームストロング船長が言ったとされる有名な言葉で「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍だ!」で宇宙飛行士が月面に刻んだ靴跡。「Image Credit:月面に降りようとするアポロ11号アームストロング船長(左)オルドリン宇宙飛行士の靴跡(右)(Wikipediaより)」
このような偉業に対しても、どうしてもソ連との競争に勝ち月面一番乗りを果たしたかったアメリカ政府が、地球上のスタジオで撮影が行ったという捏造を主張する人たちがいますが、そもそもこの捏造・陰謀説には無理があり、あくまでも、当時の映像や画像が捏造しているように見えると言っているだけであり、その事を決定付ける証拠は何もなく、その一方で、これが事実であるという証拠はいくつももあります。
例えば、その証拠を5つほど挙げてみると。
① 捏造に見える映像や画像は事実だと科学的に証明できる
月面の様子がスタジオで撮影されたと言われているひとつに、バックに写る空が真っ黒で星が写っていないという点。「Image Credit:Wikipedia」
これは、太陽光が強く当たる月面では太陽光の反射を防ぐ必要があり、カメラの口径を狭くして撮影しているため、星の明かりが写り込んでいないという理由があり、ましてや、当時のカメラ画素数ではこれが限界だった事も原因のひとつだったと思われます。
次に、真空なのにアメリカ国旗がはためいているという件。
これを説明するのもそれほど難しい事ではなく、単なる布にシワがよっているだけ!の事であり、要するに、宇宙飛行士が月面に旗を刺した際に布を伸ばし切れなかっただけの事で、逆に言えばこの国旗がはためいているように見る事こそが何よりの月面にいる証拠で、月の弱い重力下(地球の6分の1)で風の吹かない真空だからこそ起きる現象であります。
② 実際に月の石を持ち帰っている
アポロ計画での6回に渡る月面着陸ミッションで、宇宙飛行士たちは合計382キロの月の石を地球に持ち帰っています。「Image Credit:Wikipedia」
これらの月の石は科学的にも地球に存在しない石だと証明されており、また無人探査機では382キロという重量を持ち帰る事など到底不可能です。
③ 月面着陸の痕跡は後の映像で見る事が出来る
2022年時点では、アポロ計画以外で月面に着陸した事はありませんが、無人探査機は何度も月に訪れています。そうした中で、今では鮮明な月面の様子を私たちも見る事が出来、アポロ計画で残された月面着陸の跡もしっかりとした映像で見る事が出来ます。
これらの映像をCG画像等ではないか?と疑う人もいますが、高性能な望遠鏡を使えばリアルに月面着陸の痕跡を見る事も出来るそうです。
④ アポロ13号の失敗をどう説明する?
映画にもなったアポロ13号奇跡の生還をご存じでしょうか?この出来事は、1970年4月に行われたアポロ13号月面着陸ミッションで起こった事実として世界中に知れ渡っています。
アポロ13号は月へ向かう途中に、司令船の酸素タンクが爆発するという事故を起こし月面着陸を断念。地球に帰還する事になります。
「Image Credit:切り離した着陸船から撮影した爆発して損傷した司令船(Wikipediaより)」
この事故で、一時は乗船していた3名の宇宙飛行士たちは帰還不可能では?と危ぶまれていましたが、関係者たちの必死の努力で宇宙飛行士3名の誰も欠ける事なく無事に生還をしています。
この帰還は後に「奇跡の生還」として賞賛されましたが、当時、この事故の模様は全世界に中継されていました事もあり、もし、月面着陸ミッションが捏造だったとしたら、ワザワザこのような事故を演出するような事をするとはとても思えません。
●参考動画:【「アポロ13号奇跡の生還/Apollo 13(1994 TV Documentary)」】
⑤ 計6回の月面着陸ミッションを行っている事実
そもそもの話として、アポロ月面着陸を捏造するなら1回でいいハズではないでしょうか?ですが、アポロ月面着陸ミッションはアポロ11号から17号まで計7回も行われています。
ミッション名 | 期 間 | 月面着陸地点 | 月面滞在時間 |
---|---|---|---|
アポロ11号 | 1969年7月16日~7月24日 | 静かの海 | 約21時間半 |
アポロ12号 | 1969年11月14日~11月24日 | 嵐の大洋 | 約31時間半 |
アポロ13号 | 1970年4月11日~4月17日 | ||
アポロ14号 | 1971年1月31日~2月9日 | フラ・マウロ丘陵 | 約33時間 |
アポロ15号 | 1971年7月26日~8月7日 | ハドレー谷 | 約67時間 |
アポロ16号 | 1972年4月16日~4月27日 | デカルト高地 | 約71時間 |
アポロ17号 | 1972年12月7日~12月19日 | タウルス・リットロウ渓谷 | 約75時間 |
この事実を捏造だと言えるなら、あまりにも費用のかかり過ぎる茶番劇と言えるのではないでしょうか?
何故、月面着陸陰謀論があるのか?
一部の人たちが唱える「アポロ計画陰謀論」にはいくつかの理由があるようです。それは前述したように、
ケネディ大統領が声明を出したとおりに月面着陸が実現した。
当時の技術では月面着陸ミッションは難しい。
などありますが、他の理由として挙げられているが、
人類はアポロ計画以降、約50年間月に行っていない。
という事も、数十年前の技術ならともかく現在の技術なら十分可能なハズですが、現実として人類は月に行っておらず、この数十年間のブランクを疑問に思っている人たちが、陰謀論を唱えるひとつの理由になっていると言います。
では、何故人類は長い間月面に降り立っていないのでしょうか?
それもいくつか理由があり、最も大きな要因となっているのがコストの問題です。
人を月面に送るのに数千億~数兆円の費用がかかるため経済面で大きな負担となり、ましてや、当時とは時代背景も変わって来ているため世論の支持を得るのも難しくなっています。
また、月の探査はわざわざ人が行かなくても無人機で十分な探査が出来るため、何も危険を冒してまで人を月に送る必要もないワケです。
さらに、旧ソ連との冷戦による技術競争に勝利したアメリカにとっては目的を達成したワケですから、それ以上リスクを負う必要もなく、実際、月面着陸競争に敗れたソ連(以降のロシア)も無理をしてまで有人月面着陸を実現させてはいません。
つまり、それらの事実こそが人類月面着陸の偉業達成の何よりの証拠ではないでしょうか。
月面着陸については肯定も否定もしませんが、この事実とされている情報だけでは月面着陸が本当に事実だと言えるかどうかは、非常に内容が薄く脆弱過ぎます。事実とされている情報が捏造ではない事実ということを証明できる材料が欲しいですね。