「地球に似た太陽系外惑星発見!」のニュースは時々聞きますが「金星に似た太陽系外惑星発見」は正直初めて聞きます。
地球に近い距離(約40光年)の恒星系に金星と同程度の大きさで、日射量も金星に近い公転軌道を持つ太陽系外惑星が発見されたそうです。
そんな金星似の系外惑星に生命体が存在可能ではないか?!との情報が。でも金星と聞けば、灼熱でとても生命など住めそうにないってイメージがありますが、太陽系の外にある金星に似た惑星に生命の可能性ってどういう事なのでしょうか?

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新たに見つかった生命の息吹を感じさせる太陽系外惑星

地球から「うお座」方向約40光年先に赤色矮星「グリーゼ12」があります。グリーゼ12は太陽と比べると大きさ質量ともに1/4程度の温度の低い暗い恒星ですが、太陽系外惑星探索衛星「TESS」により、この恒星を公転する惑星が存在する事は判明していたのですが、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアの共同研究チームの詳しい調査により惑星の詳細なデータを取得する事に成功し、赤色矮星「グリーゼ12」を12.8日間で公転する惑星である事が判明。またこの惑星は大きさが金星に似ており、表面温度は摂氏42℃である事もわかり「グリーゼ12b」と名付けられました。

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グリーゼ12bは地球似というより金星似の惑星か?

最近の観測技術の向上によって「地球似た太陽系外惑星を発見」というニュースを耳にしたりしますが、この”地球似”というのは惑星の大きさや質量、水が液体として存在可能な公転領域(ハビタブルゾーン)圏内に位置する事を指しており、決して惑星環境が地球に似ていて”生命が居る”と言っているワケではありません。

「Image Credit:赤色矮星グリーゼ12を公転するグリーゼ12bのイメージ図(NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (Caltech-IPAC)より)」
そんな”地球似”の惑星グリーゼ12bを研究チームが詳しく分析したところ、これまでに発見された太陽系外惑星の中では、大きさや質量からしてむしろ”地球似”というより”金星似”と呼ぶ方が相応しいと言います。

「Image Credit:NASA公式サイトより(Via svs.gsfc.nasa.gov
ちなみに金星の半径は地球の0.95倍で、グリーゼ12bの半径0.96倍と金星とほぼ同じサイズと言えます。
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何故グリーゼ12bに生命存在の可能性があるのか?

大きさが金星とほぼ同じの太陽系惑星グリーゼ12bえすが、研究チームの見解ではこの惑星には大気と液体の水が存在する可能性と言います。

前記もしましたが、グリーゼ12bは主星(太陽)である赤色矮星グリーゼ12を12.8日で公転しており、表面温度は摂氏42℃。しかしこの表面温度はグリーゼ12bに大気が存在していない場合の推測データであり、これは地球と金星の中間くらいの温度に該当するとされ、もしこの惑星に大気が存在していた場合はデータが大きく変わって来ます。

「Image Credit:60 Garden St. Cambridge, MA 02138 USA」
一般的に赤色矮星は活動が活発的であると考えられており、上画像↑↑のように頻繁に巨大な太陽フレアが発生する事で、主星(赤色矮星)に近い位置を公転する惑星はその影響を大きく受けてしまい、仮に惑星に大気が存在していたとしても、フレアから発生される強いX線や紫外線等によって大気が剥ぎ取られてしまう可能性も高いと言われています。

しかし、これまでの観測で主星であるグリーゼ12の活動は比較的穏やかで、巨大な太陽フレアも確認はされておらず、ハビタブルゾーンも主星から離れた位置に存在している事もあり、グリーゼ12bは一定量の大気を保持している可能性が高いと考えられています。
また、グリーゼ12bが”金星似”と言われている理由は他にもあり、金星の日射量(地球の1.9倍ほど)に対し、グリーゼ12bの日射量(地球の1.6倍ほど)はそれほど変わりませんが、ただ、グリーゼ12bが金星と同じような運命を辿っていたとすれば、それはまさに”金星似”そのもので生命存在は皆無と言わざるを得ないでしょう。
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今後のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測に期待!

研究チームの観測結果により大気・水、そして生命存在の可能性が高まった太陽系外惑星「グリーゼ12b」。これによりジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の主要な観測対象天体になる事も同時に発表されました。

「Image Credit:NASA」
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と言えば、開発費に100億ドル以上もかかっている人類最強の超高性能宇宙望遠鏡でより詳細な観測が出来る事を期待されています。

今後、このJWSTの観測等を通して、グリーゼ12bに大気が存在するのか?大気があるとすればどんな成分なのかを確認し、惑星表面の液体の水の有無と、さらには生命体の存在の手がかりの発見も期待されています。
すなわち、この”金星似”の惑星グリーゼ12bが、本当の意味で”地球似”に変わる日が来る可能性も期待出来るというワケです。
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