数年前、皆既日食、金環日食は日本でも観測出来、大きな話題となりました。
しかし、次回日本で見られる日食(金環日食)は2030年という事で、まだまだ先の話です。

でも2017年の今年。日本で観測された以上の、近年稀にみる大きな天体ショーとして注目になっている皆既日食があります。
それが、2017年8月21日(日本時間8月22日)、アメリカで観測される「グレート・アメリカン・エクリプス」と呼ばれる皆既日食。
アメリカではその来るべき日に向けて、大いに盛り上がっているとの事です。
もし、夏休み海外旅行に出掛けたいという方は、アメリカで起こる皆既日食ツアーも良いのではないでしょうか?

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2017年夏の「グレート・アメリカン・エクリプス」とは?

2009年に観測された皆既日食。
そして2012年の金環日食と、日本でも大いに盛り上がった日食による天体ショーでしたが、おそらく大半の人は、この日食のイベントは一生に一度の体験ではないか?と思います。
しかし、日食という天体現象は、毎年のように世界のどこかで起こっており、2017年8月21日は、アメリカを横断するという日食の大イベント「グレート・アメリカン・エクリプス」が起きます。

とにかくイベント好きなアメリカ人。
皆既日食に「グレート・アメリカン・エクリプス」という名前を付けるほど盛り上がって、皆既日食を観測するために、全米で100万人単位で大移動が起こると予想されており、日食の動きに合わせて人の大移動による交通渋滞も危惧されているほどです。

「グレート・アメリカン・エクリプス」の見頃と場所は?

2017年8月21日に北米大陸を横断する皆既日食(一部は部分日食)。
広い北米大陸なだけに、午前中はアメリカ西部。午後からは東部というタイムスケジュールで日食が観測出来るそうです。

なお、「グレート・アメリカン・エクリプス」の見頃と観測に適した場所は以下のとおり。

「Image Credit:AstroArtsより引用」
上図に合わせた皆既日食のタイムスケジュールは以下となっています。
 地 名 日食(始) 皆既日食時間 日食(終)
オレゴン州セイラム 09時05分 10時17分 11時37分
アイダホ州アイダホフォールズ 10時15分 11時32分 12時58分
ミズーリ州カンザスシティ 11時41分 13時08分 14時36分
テネシー州ナッシュビル 11時58分 13時27分 14時54分
サウスカロライナ州コロンビア 13時13分 14時41分 16時06分
まさに全米を横断するといっていい皆既日食。
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太陽が完全に隠れる皆既日食は、上図の日食帯のエリアで観測出来ますが、その他の地域でも部分日食が見れるそうです。

日食は何故起こる?

日食は、月が太陽を横切ったときに、月の影に太陽が隠れる天文現象。


「Copyright ©:国立天文台 All rights reserved.」
日食は起こるタイミングは、月が新月のときのみ。
つまり、満月のときは月の反対側に太陽があるワケで、月の影に太陽が隠れることはないことになります。

皆既日食と金環日食の違いとは?

今回アメリカで観測されるのは、太陽が月の影に完全に隠れてしまう皆既日食で、日食帯がズレている場所で観測出来るのは、部分的に隠れた部分に日食です。
しかし、金環日食も皆既日食と同じで完全に月の影に太陽が隠れてしまう現象なのですが、金環日食の場合は影の縁がリング状に見える幻想的な日食になります。

「Image Credit:Wikipedia」
同じ月と太陽なのに、何故このような違いが起きるのか?
原因は、月が地球を公転する軌道の距離の違いによるモノ。

月は約27日周期で地球の周りを回っていますが、完全な円軌道を描いて公転しているワケではなく、最も地球に接近したとき(近点)で36万3,304キロ。最も地球から遠ざかったとき(遠点)で40万5,495km。
つまり、同じ月でも近点と遠点ではその距離感により見た目の大きさが違って来ます。

「Image Credit:Wikipedia」
この月の公転軌道により、より遠点に近づいた地点で日食が起こった場合、見た目上、月より太陽の方が大きい場合に金環日食が起こることになるワケです。

「グレート・アメリカン・エクリプス」で米経済に起こる悪影響

皆既日食ブームに湧くアメリカですが、その裏で深刻な悪影響を懸念する声もあります。
それは太陽光発電による電力不足の影響。
近年、火力や原子力発電等に代わる電力供給減として太陽光発電が急速に発展していますが、アメリカでも太陽光発電の需要は高く、今回の皆既日食で、原子炉9基分に相当する9,000メガワット以上の電力が発電できなくなる可能性があると指摘もされています。
この電力量はアメリカの世帯で約700万世帯分にも相当すると言われ、日食の影響で経済的にも悪影響が出てしまい、電気料金の急騰も考えられると危惧する声もあるそうです。

皆既日食が起こるのは電力消費量が極めて多い夏場ということもあり、もしかしたら日食以上の話題になる可能性もあります。

今後日本で見られる皆既日食及び金環日食

自分が生きているうちに日本でも本格的な日食を見てみたい!と思っている人もいるかと思います。

では、生きているうち(今後50年間)で、日本で見れる日食はどれくらいあるのか?調べてみたところ、日本全体とまでは行きませんが、地域単位でいくつかの本格的日食が観測出来るようです。
「今後50年間で日本で観測出来る皆既日食、金環日食」
  • 2030年6月1日「金環日食」:北海道南部を除く全域
  • 2035年9月2日「皆既日食」:北陸、関東北部地域
  • 2041年10月25日「金環日食」:本州中部(京都、石川、滋賀、岐阜、愛知、静岡、小笠原諸島
  • 2063年8月24日「皆既日食」:東北(青森、岩手県北部)、北海道南部
  • 2074年1月27日「金環日食」:鹿児島県南部(種子島、屋久島含)、宮崎県南部
南北に長い島国・日本。
なかなか日本列島を縦断するような日食は見られませんが、それでも主要都市で観測出来る日食はいくつかあるようです。
皆既、金環日食は、普段空を見上げない人でも多いに興味が湧く一大天文イベントです。
そんな一大イベントを、今後私たちはいくつ体験できるでしょうか?!
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