先日ノーベル賞級の大発見としてメディアでも大々的に報道され話題となった「重力波の初観測」
基本的には重力波とは宇宙の謎を解明するために重要な現象の事で、アインシュタインが発表した「一般相対性理論」以来の謎とされてきた事です。
この謎が、今回はじめて観測され重力波という現象は実在に起こっているということが証明されたのです。
とは言っても、重力波と聞いても何のことかわからない人が多いのではないでしょうか?

ここでは、そもそも重力波とは何なのか?そしてこの現象が解明され利用出来ると人類にとってどんな利益をもたらしてくれるのか?について簡単に解説してみたいと思います。

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一般相対性理論の発表から100年目に解明された謎

20世紀の大天才として名高いアルベルト・アインシュタイン博士によって「一般相対性理論」が発表されたのは今から約100年前の1916年の事で、一般相対性理論の中でアインシュタイン博士が予言したのが重力波の存在です。

「Image Credit:iStock」
これは、アインシュタイン博士からの後世の科学者に向け、長年その存在を証明する”宿題”として与えられた課題でしたが、それが一般相対性理論の発表からちょうど100年目の2016年。ついに謎だった重力波の存在を確認する観測に成功。これは科学界では一大センセーショナルな大発見で、ノーベル賞も間違いない偉業だとも言われています。

そもそも重力波って何?

メディアでも大きく取り上げられた重力波の初観測の話題。ニュースを読み上げるキャスターも、重力波って何なのか?良くわかっていない様子でした。

重力波とは、ブラックホールや超新星爆発など、巨大な質量を持つ天体がエネルギーを放出する時に発生する重力の波で、重力の波とは、言わば水の上を広がる波紋と同じような現象で、巨大な重力により波紋のように空間が歪めらる現象の事を言います。

「Copyright ©:The University of Chicago
これをアインシュタイン博士は100年も前に予言し、これが実際に起こっている現象であることを初めて証明したのです。

どうやって重力波を観測したのか?

ブラックホールのような超巨大な重力場でしか発生しないとされる重力波。そんな巨大な現象を、小さな人間がどうやって再現し観測することに成功したのでしょうか?
その方法とは、アメリカ・ルイジアナ州の広大な土地を利用して設置してある重力波を観測するための研究施設での実験で観測することに成功しました。

「Image Credit:LIGO Scientific Collaboration
この重力波観測施設には、重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)と呼ばれる全長4キロにも及ぶ、中が真空になっているパイプをL字型に組み合わせ、レーザーをパイプの中に照射して光を反射させ帰って来る僅かな誤差の検証を繰り返して、今回、約15年の歳月を経てようやく重力波の存在を確認したものだそうです。

「Copyright ©:caltech
また、重力波の観測は人類の長年の課題でもあり、観測施設はアメリカだけではなくヨーロッパ、そして我が日本にも大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」が岐阜県飛騨市にあります。
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重力波を観測したことで得られる技術

重力波を検出出来たことで、人類の今後の科学の発展に大きな期待が持てる可能性があるとの事。

革命的な観測技術の進歩

まずは宇宙の謎を解き明かすための観測技術の進歩。
これまで宇宙の観測には、可視光をはじめ赤外線やX線、マイクロ波などで観測して来ましたが、これに重力波を利用した観測が加わることで、より幅広く、そして遠くまで宇宙を観測することが出来、これまで謎だった宇宙の果てを知ることだって出来るかも知れないということです。

光速を超える恒星間航行

ここからは、超未来的な話で、もし人工的に重力波を起こしコントロール出来れば?ということになるのですが、空間を歪める重力波を利用すれば、光の速さを飛び越えるエンジンを搭載した宇宙船を建造することが出来るかも知れない。
それが可能になれば、何光年も先の恒星系にも短時間で行けるようになり、地球外生命体の探査や、第2の地球を発見して移住することも可能になるかも?

夢のタイムマシンの実現

重力波の空間を歪める性質を使った乗り物としてタイムマシンも挙げられます。
空間の歪みで時空も飛び越えられる。
これはアインシュタインも理論的に可能と言っていますので、もしかしたら実現出来る?

重力波発見は天文学の飛躍的発展につながる

光速を超える宇宙船やタイムマシンはともかく、この重力波の発見は”新しい天文学の幕開け”とも言われるくらいの歴史的な成果だと言います。
前述もしましたが、まったく新しい観測装置を重力波を利用して宇宙を探査出来るようになり、その効果はこれまでとは比べものにならないくらい飛躍的になると期待されています。
つまり、これからの宇宙観測で、これまでとは想像もできなかった新発見も続々と見つかる可能性も秘めているため、天文学会の研究者たちはワクワクしているとか!?
また、今回の重力波の発見だけではなく、第2、第3の重力波の現象を観測することが出来ればさらに偉業となるとのことで、日本の「KAGRA」の活動にも期待が寄せられているそうです。
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