最近話題の「スターリンクトレイン」をご存じでしょうか?
スターリンクトレインはアメリカの宇宙ベンチャー企業SpaceX社が打ち上げている人工衛星インターネット「スターリンク」が、夜空をまるで鉄道列車のように列を連ねて見える現象の事を言います。

この人工衛星は肉眼でも見る事が出来るため、多くの人がこれを目撃し、新たな天体ショーとしてSNS等で話題になっているのですが、その一方でこのスターリンクトレインを、天体ショーとして手放しに喜んで見ている場合ではない!?という声も挙がっているのです。

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リアル銀河鉄道?夜空に連なる光の点「スターリンクトレイン」

人気SFアニメ「銀河鉄道999」をリアルに見たらきっとこんな風に見えるのかも知れない。と話題になっているのが「スターリンクトレイン」です。
まずは、スターリンクトレインとはどんなモノなのか?ウェザーニュースがアメリカ・アラスカ州フェアバンクスに常設しているライブカメラに映し出された、オーロラとスターリンクトレインの幻想的なコラボ映像をご覧ください。


「Copyright ©:ウェザーニュース All rights reserved.」
ご覧いただいたように、夜空にいくつもの光の点が並んで移動する姿がライブカメラにもハッキリと映っており、肉眼でもこの光景は楽しめるとしてSNSを中心に話題になっています。

「スターリンクトレイン」の正体はインターネット通信衛星

夜空をまるで鉄道が走るように光の点が移動する現象「スターリンクトレイン」。
その正体は、世界的な実業家として有名なイーロン・マスク氏が率いるアメリカの宇宙民間企業「スペースX社」が開発運用している衛星インターネット通信サービス「スターリンク」です。

「Image Credit:スターリンク計画のイメージ図(Wikipediaより)」
現在のインターネット通信網は、地上に基地局(アンテナ局)をいくつも建設し、それらを繋いでサービスを提供していますが、それだけでは地球全体をカバー出来ないため、地球低軌道上に数多くの通信衛星を展開する事で、地球上のどんな僻地でもインターネット利用出来るよう、スペースX社がインフラを整備し運用を開始しているサービスです。
インターネットが普及し、私たちの生活の深くまで浸透している現代において、世界中どこに行ってもインターネットサービスが利用出来るという事はとてもありがたい事です。
それを現実化しようというのが衛星インターネットサービス「Starlink(スターリンク)」であり、既にサービスを開始し日本でも提供が始まっています。

なお、「Starlink(スターリンク)」のサービス内容については以前ご紹介させていただきましたので、コチラ を参考にしてみて下さい。
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地球上空を覆い尽くす?圧倒的数のスターリンク衛星

「Starlink(スターリンク)」によって、世界中にインターネット通信網のインフラが整備される事でとても便利になり大歓迎なのですが、全世界を通信網で繋げるためにはスターリンク衛星をかなりの数打ち上げなかればなりません。しかもその数は数十~数百といった数ではなく、最終的には数万個のスターリンク衛星が配備される予定になっているそうです。

2023年現在においては約5,000基のスターリンク衛星が打ち上げられていますが、2020年代中には約15,000基が配備される予定になっているとの事。

「Image Credit:衛星インターネット通信網「スターリンク」(SpaceXより)」
なお、スターリンク衛星は地球上空を3階層に分けて展開され、現在高度約550キロに運用されている衛星約4,000基の他、高度340キロにVバンドを用いる衛星約7,500基、高度1,150キロにKu/Kaバンドを用いる衛星約2,800基投入される計画になっているそうです。

「スターリンクトレイン」が綺麗では済まない問題点

スターリンク衛星が運用される事によって、世界中でインターネット通信網が整備され便利になる事は有難く歓迎されるべき事なのですが、一方でその多すぎる衛星数に困惑する声も少なからず挙がっています。
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人工衛星による光害への懸念

肉眼でもハッキリ見えるスターリンクトレインは、その明るさ故に、天文学者等の専門家たちから危機感を訴える声が挙がっています。
その理由は、天文観測をする際に人工衛星が写り込んでしまい観測の邪魔になってしまう事や、電波望遠鏡で観測する時にスターリンクから漏れ出た電波で天文観測に悪影響を与えてしまう事等です。

スペースデブリの増大

人類が宇宙に進出し始めてから半世紀以上。その間、多数の人工衛星が打ち上げられ、地球軌道上には億を超えるとされる数のスペースデブリがあると言われています。

「Image Credit:地球軌道上のスペースデブリ分布図(ファン!ファン!JAXAより)」
これらのスペースデブリに、数多く打ち上げられたスターリンク衛星が衝突しないとも限りません。もし衛星とスペースデブリが衝突した場合は、さらにデブリが増え、それらが地上に落下したり国際宇宙ステーション等の有人宇宙船に衝突し人的被害が出る危険性もあります。

定期的に廃棄されるスターリンク衛星

多数のスターリンク衛星を打ち上げる事によって宇宙での危険も増えるのでは?という懸念も広がってはいますが、もちろんスペースX社もその対応策を取っており、人工衛星がスペースデブリ化してしまう事を避けるため、スターリンク衛星は定期的に大気圏に突入させ廃棄。完全に燃え尽きるよう設計されています。
●参考動画:スターリンク衛星が大気圏で燃え尽きる様子

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このように安全対策を取っているスペースXですが、これまで前例のない大量の人工衛星を打ち上げる事で完全に安全が保証されたワケではないのも事実。でも前例がなければ、人類の発展のためには誰かがやらなくては行けない。それを実践してくれているのが、時代の風雲児と言われるイーロン・マスク氏率いるスペースX社ではないでしょうか。
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