最新技術の撮影機器を搭載して木星に向かった探査機「ジュノー(Juno)」が木星の軌道に投入されてから以降、予想を上回るリアルで高画質な木星の画像を撮影し地球に送ってくれています。

撮影された木星の最新画像。それはまるで絵画のようで不思議、そして神秘的。
今回は、ジュノーによって撮影された画像から明らかになった木星という惑星の謎について、いくつかご紹介したいと思います。

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木星がどんな惑星なのか知らない人は多い?!

2016年7月。テレビでNASAの探査機「ジュノー」が、木星の極軌道へ投入成功とのニュースが大きく報じられていました。

「Image Credit:木星軌道に到着した探査機ジュノーの想像図(Wikipedia)」
それは画期的で素晴らしい偉業であり、天文ファンとしては待ち望んでいた嬉しいニュースなのですが、これを伝えていたキャスターのコメントに驚き、嬉しさも半減、少しショックを受けてしまいました。
その時キャスターが言っていたコメントが・・・「ジュノー軌道投入成功の次は、木星の地表に着陸したらスゴいですね。」
などと堂々と発言。真実を伝えるべきテレビキャスターが、こんな言葉を発するなんて・・・ガッカリした事を覚えています。

このコメント中で出てきたワード「木星の地表」に違和感を感じた人も多いかと思います。
木星は太陽系最大の惑星で、大きさにして地球の約11倍。地球のように表面を岩石で覆われた惑星ではなく水素を主体としたガスで出来た惑星のため、探査機が降り立つ地表など存在しないということは、この天体がガス惑星であることから判るかと思います。

「Image Credit:惑星全体をほぼガスで覆われた木星の内部構造(Wikipedia)」
ニュースを伝える常識人の代表とも呼べるニュースキャスターが、何の躊躇もなくこのような発言をするということは、もしかしたら木星に対する世間一般認識が同じ?という事なのかも知れません。
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探査機「ジュノー」が伝える木星の真実

仮に木星に対する世間の間違った認識があったとした場合、この探査機「ジュノー」が撮影した木星の真実の画像で認識が間違っていた事を多くの人が知る事になると思います。

ジュノーはこれまで探査を行って来た無人探査機と大きく違い、北極や南極といった極軌道を周回するミッションを行い、その際、木星の最上層部の雲まで約4,300キロに接近するという軌道を取っています。
そして木星に接近したときにジュノーが撮影した1枚がこの映像です。

「Image Credit:木星の大赤斑を接近して撮影した画像(NASA)」
この画像を見るとジュノーが如何に木星に接近しているかが良くわかるのではないでしょうか。
また他にも、木星で発生した嵐の画像がこの1枚。

「Image Credit:NASA
さらには、オーロラの様子も撮影されています。

「Image Credit:NASA
このような複雑な大気の模様が見られるのは太陽系の惑星の中でも木星だけで、激しく大気が躍動している事を示しており、そのメカニズム等の解明についてはジュノーの探査結果を基にこれから解析して行くとの事です。

極地方に発生している無数の嵐

史上初の木星極軌道を周回する「ジュノー」。
これにより、はじめて木星の極地方の画像が撮影されています。

「Image Credit:木星の南極上空から撮影した画像(NASA)」
画像でも確認出来ますが、木星の北極や南極で見られる無数の渦。これらは全て嵐で、何故このような現象が極地方で起こっているかはまだ謎との事で、今後の解析が待たれるところです。

不気味な木星の声?

「ジュノー」には木星を探査するために、様々な最新観測機器が搭載されており、その中のひとつに「Waves」というマイクロ波放射計があり、これにより捉えた木星から放射されている電波が音声化され公開され、神秘的でSFチックな効果音にも聞こえるのが不思議です。

「Copyright ©:NASA Jet Propulsion Laboratory All rights reserved.」

木星探査機「ジュノー」今後のミッション

2016年7月4日。アメリカの独立記念日に木星極軌道投入が成功した探査機「ジュノー」ですが、この時点より約20カ月かけて木星を37回周回し木星の謎を解明するミッションを行っています。
「ジュノー」に与えられたミッションは、今回ご紹介した鮮明な画像や電波の解析だけでなく、大気のガス層データ収集、大気成分の解析、惑星内部構造の解析、強力な磁場の謎解明、オーロラや放射線の調査等様々。
これにより、木星の謎が次々と解明されるハズですが、ミッション終了後の「ジュノー」の運命は悲劇的かも知れません。
というのも、ミッションを終えたジュノーは、木星の大気に突入し燃え尽きる事になっているのです。

なお、ジュノーの活動をもっと詳しく知りたい方は、NASAが公開している「ジュノーのミッションサイト」を参照してみて下さい。
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