惑星と言えば、通常地球のように太陽のような主星(恒星)を公転しているというイメージがあります。
しかし、広大な宇宙にはどの主星にも属する事なく単独で浮遊し続けている惑星も存在しており、そんな天体の事を「自由浮遊惑星」と呼んでいます。

人類はこれまでの宇宙観測探査の中でいくつかの自由浮遊惑星を発見していますが、今回、地球サイズの浮遊惑星を発見したと話題になっています。
ですが、この浮遊惑星は珍しい存在ではなく宇宙には相当数あるらしいのです。

Sponsored Link

史上最少クラスの自由浮遊惑星を発見!

自由浮遊惑星とは冒頭でも少し解説しましが、太陽のような巨大な重力を持つ主星に結びつかず単独で宇宙を浮遊する惑星の事です。

「Image Credit:自由浮遊惑星のイメージ図(Wikipediaより)」
自由浮遊惑星は、恒星のように自ら光を放たないため見つけるのはとても困難なため、観測方法は「重力マイクロレンズ法」という、恒星等が発する光が地球に到達する際、途中にある天体の重力の影響で光が曲がってしまう現象を観測する事で、その天体を確認するという特殊な手法で自由浮遊惑星を探しています。
【参考動画↓↓重力マイクロレンズ法観測のイメージ】

「Copyright ©:Uniwersytet Warszawski All rights reserved.」
この観測方法によりこれまで木星サイズの数倍という巨大な自由浮遊惑星はいくつか発見されて来ましたが、今回、ポーランドのワルシャワ大学の国際的な研究チームが、これまで発見された中でも最も小さいサイズの自由浮遊惑星を発見。それは地球からは2万7千光年も離れた場所にあり、観測データから計算するとおそらく地球と同じサイズか?もしくはそれよりも小さく火星サイズほどの天体だと思われ、その天体の周囲には主星となるような恒星はどこにも存在していなかったとしています。
この観測データにより、見つかった地球サイズの天体はほぼ間違いなく自由浮遊惑星だと判断されたのです。
Sponsored Link

自由浮遊惑星にも生命がいる可能性はあるのか?

自由浮遊惑星は、主星~つまり太陽(恒星)を持たない天体です。
という事は、恒星から受け取るエネルギーが極めて少ないというより、受け取るエネルギーは皆無に等しく、星の光しか光源が無い真っ暗で冷たい宇宙空間を漂う星という事になり、地球のような岩石惑星であっても、生命など存在し得ない極寒の氷の星って事が想像出来るかも知れません。
しかし、恒星からのエネルギーをもらえなくても、惑星の地下にエネルギー源となる放射性元素が存在すれば、それが崩壊するときに放出されたエネルギーは最終的に熱に変わります。
さらに、自由浮遊惑星の質量が地球と同等、もしくはそれ以上あれば表面温度はそれほど低くはなく摂氏マイナス140~150度程度が保たれる可能性があると考えられ、土星の衛星・タイタンのように炭化水素のメタンやエタンが液体状で維持できる事も考えられるとの事。

「Image Credit:液体の炭化水素を持つ衛星・タイタン(Wikipediaより)」
また、質量が地球の10倍程度のスーパーアース級の自由浮遊惑星であれば表面温度は摂氏30度ほどまで上昇し、この環境なら液体の水も維持できる可能性もあるかも知れません。
だた、これは強い放射線下での環境になるため、生命が存在出来る条件もかなり狭まる事になります。

宇宙を浮遊する天体は惑星と呼べるのか?

今回発見された自由浮遊惑星についてですが、そもそも宇宙を単独で浮遊する天体を惑星と呼べるのか?と少し疑問に思ったので天文学で定める惑星の定義について調べてみました。
惑星の定義は国際天文学連合の決議によって決められており、それによると・・・
(以下、国際天文学連合決議より抜粋)

・惑星とは、太陽の周りの軌道にあり自身の重力が剛体力に打ち勝つのに十分な質量を持つことから静水圧平衡の状態にあると推定され(球形に近い形で)、軌道上から近隣の他の天体を一掃している天体である。
とあり、この定義からすると惑星は太陽~つまり主星(恒星)の軌道上にないといけない事になります。
しかし、これは太陽系の天体に限っての定義の事で、太陽系外の天体については今のところその定義を見つける事は出来ませんでした。
ただ、定義には静水圧平衡という文言が含まれています。
これは天体自体が十分な重力を持ち、球体か回転楕円体でなければならないことを意味しており、そうなると、今回とこれまで発見された自由浮遊惑星は、光が曲がってしまうほど質量があり、大きさもおそらくは球体をしているモノと思われ、主星を持たなくても惑星と言えるのかも知れません。

自由浮遊惑星は宇宙に相当数存在する可能性!?

現在の観測技術では発見がかなり難しい自由浮遊惑星。
実は、その数は私たちの天の川銀河の中だけでもかなりの数があるものと推測され、さらに、星が密集している銀河の中心付近では重い元素も多く存在し、自由浮遊惑星が形成されやすい環境も揃っているものと考えられており、また放射性元素を多く含む惑星が形成される可能性も大きいのでは?とも考えられています。
そんな自由浮遊惑星の発見でも期待されているのが、最新鋭で次世代型の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」

「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASAより)」
この宇宙望遠鏡は30年以上活躍し大きな成果をもたらしているハッブル宇宙望遠鏡とされており、ジェイムズ・ウェッブであれば放射線を放つ赤外線を検出でき、自由浮遊惑星の発見を容易に出来るかも知れません。
Sponsored Link