現代の観測技術の発達により宇宙に存在するほとんどの銀河の中心には、太陽質量の数百万倍~数億倍というとてつもない大きさの超大質量ブラックホールが存在することがわかっています。
もちろん、私たちが住む天の川銀河も例外ではなく、太陽の400万倍以上の質量を持つ巨大ブラックホールが存在している事が判明しています。
しかし、大質量ブラックホールを取り巻いて銀河をカタチ創る何千億という星たちはどうやって形成されているのでしょうか?
それについては未だ謎のままでしたが、最近になってその謎の解明となるかも知れないヒントが見つかったと言います。
ほとんどの銀河の中心には想像を絶する巨大なブラックホールがある事実
私たちの天の川銀河を含む宇宙に存在する銀河の中心には何があるのか?この疑問に対する答えは、長い間謎に包まれていました。
「Image Credit:棒渦巻き銀河(天文学辞典より)」
しかし、近年の電波望遠鏡での観測の発達により、私たちの銀河の中心方向、太陽系から約2万6,000光年の距離に太陽質量の400万倍以上の超巨大質量ブラックホールが存在する事が判明。
この事実をきっかけにして、他の銀河の中心にも次々と巨大質量のブラックホールが存在する事を発見し、中にはアンドロメダ銀河銀河のように中心部分に2つの巨大ブラックホールがある銀河も見つかる等、宇宙に存在するほとんどの銀河中心には大質量ブラックホールがある事が判って来たのです。
「Image Credit:アンドロメダ銀河(NASAより)」
宇宙には無数の銀河が存在し、それらほとんどがブラックホールを中心に構成されており、その周りを数百万~数千億という星たちが取り囲み、私たちの太陽系もまたそのひとつに過ぎず、地球が太陽の周りを公転しているように太陽もまた巨大ブラックホールの周りを2憶年以上かけて巡っている事が判って来たワケです。
何故、宇宙に巨大質量ブラックホールが存在しているのか?
ブラックホールが誕生するメカニズムは、巨大な質量を持つ太陽(恒星)が寿命を終えたとき起こる重力崩壊によるものだとされています。現在の考えでは、太陽のおよそ30倍以上の質量を持つ恒星の寿命が尽きたとき、とてつもない重力崩壊を起こし大爆発。
これを超新星爆発と呼びますが、これまで星のバランスを支えていた重力が崩壊し、星の中心に向かって果てしなく重力が落ち込むことで極めて高密度かつ大質量の天体が誕生します。
「Image Credit:宇宙科学研究所キッズサイトより」
これがブラックホールです。
「Image Credit:ブラックホールのイメージ図(Wikipediaより)」
しかし、星が一生を終え造り出されるブラックホールの大きさはせいぜい太陽質量の10数倍程度とされており、この質量ではとても何百万倍という質量の巨大ブラックホールにおよぶものではなく、超巨大質量ブラックホールの存在はわかったモノの、何故このような天体が生まれたのか?については、つい最近まで謎のままでした。
そして、最新の研究によってブラックホールは合体融合して成長して行くことが判明。
これは重力波の存在を証明した事でも判明しており、幾度ものブラックホール同士の合体で銀河の中心にあるようなとてつもなく巨大なブラックホールが誕生したのだと考えられており、私たちの天の川銀河の中心にあるブラックホールも今後もまだ合体を続けて、さらに巨大化して行くものと推測されています。
何故銀河は数千億の星たちを従えているのか?
銀河の中心に巨大質量ブラックホールがあるのはわかりましたが、そもそもブラックホールは星の終焉が行きつく先の天体であり、何故ブラックホールの周りに星々が誕生し銀河を形成しているのか謎でした。しかし、謎を解明するヒントとなる形成初期段階を思われる銀河が、93億光年先に見つかり天文学会で話題になっています。
それは「C928」と呼ばれる銀河で、この銀河の中心にある超大質量ブラックホールは活発に活動しており、これを取り巻くガスと塵で形成される明るく輝く円盤(クェーサー)から高エネルギーの”風”が吹き荒れることによって、星が生まれやすい状態を創り出しており銀河の発達大きな影響を及ぼしているのでは?と考えられています。
「Image Credit:クェーサーのイメージ図(NASA, ESA and J. Olmsted (STScI))」
もちろんこの事は、まだ推測の段階を超えておらず私たちの銀河もどのようにして誕生したのか?は未だにわかっていません。
今回発見されたクェーサーには、その謎を解くカギがあるとして俄然注目を浴び、更なる研究が進められて行くことになっているようです。
つまり、これが銀河の発達の要因として証明されれば、極論として我々人類誕生のルーツもブラックホールに大きく関係して来るのではないでしょうか?!