「無限に広がる宇宙」どこかで聞いたことのあるフレ-ズですが、そのフレーズが示すように宇宙は無限と思えるくらい、私たちには想像もつかないほど果てしなく広いということは間違いありません。
ですが、そんな広い宇宙に生命が存在するのは地球だけでしょうか?
「そんなハズはない!きっとどこかに地球外生命体はいるハズだ!」
そう考える人は多いと思いますし、そのように考えているのは宇宙を専門とする科学者たちも同じです。
そんな考えから、科学者たちは本気で地球外生命体を探そうとしています

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地球以外に生命が存在しないと言えない根拠

地球外生命体と言えば、火星人や金星人といった地球以外の太陽系の惑星の異星人を思い浮かべる人もいるかも知れません。
しかし、太陽系の探査が進んだ現在、火星人や金星人等は居るハズもないことが判明しているのですが、太陽外の天体であれば、もしかしたら居る可能性があるのかも知れません。
と言うのも、太陽系が属する銀河系(天の川銀河)は、2,300億個以上の恒星が集まって構成されており、その銀河も宇宙には無数に存在しています。
つまり、私たちの地球はそんな数えきれない天体の中の1つにしか過ぎないのです。
果たして、そんなとてつもないスケールの宇宙において、生命が存在する天体は地球だけだと言い切れるでしょうか?

「Image Credit:Gigazine」
当然かも知れませんが、宇宙を研究している科学者たちは決してそうは思っておらず、「必ず地球外生命体」は存在すると考えています。

本格的に始まる地球外生命体探し

現在、アメリカの非営利組織・SETI研究所が太陽系外の恒星系に望遠鏡を向け、本格的に地球外生命体の探査を行っています。

「Image Credit:SETIプロジェクト(Wikipediaより)」
このような探査はこれまでも行われてきており、その対象となっていたのが、太陽のようなスペクトル型がG型、もしくはK型の黄色矮星と呼ばれる恒星系であり、太陽と似たような恒星ならば生命を保持し、あわよくば人類のような文明を持つ惑星があるかも知れないという考えがあったからです。
しかし、黄色矮星系には今のところそのような惑星は発見されておらず、地球外生命探査は難航している状態でした。
そんなことも踏まえてか、今度は太陽より質量は小さく表面温度も低い恒星・赤色矮星に目を向け始めるようになりました。
ちなみに、この赤色矮星の探査を行うのはアメリカ・カリフォルニア州にある巨大な天体観測施設「アレン・テレスコープ・アレイ」を使うとの事です。

「Image Credit:アレン・テレスコープ・アレイ(Wikipediaより)」

地球外生命体探査のターゲットが赤色矮星である理由

恒星は表面温度の高さで分類されてもおり、太陽のような表面温度(6,000度位)だと黄色く見えることから黄色矮星と呼ばれています。
また、太陽よりさらに大きさや質量が小さい恒星は表面温度も低いため赤く見え、赤色矮星と呼ばれています。

「Image Credit:Wikipedia」
では、何故太陽に似た恒星ではなく、温度も質量も小規模な赤色矮星に目を向けるのでしょうか?
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その理由は、おおまかに分けて3つほどあります。
それが
  • ①赤色矮星は宇宙にたくさん存在する。
  • ②赤色矮星は低質量なため、主星と惑星の距離が近く惑星を検出しやすい。
  • ③赤色矮星は長寿命なため、生命が進化するために必要な時間が十分ある。
この理由をもう少し掘り下げて解説すると。
① この宇宙において、最も一般的な恒星は質量の小さい赤色矮星だと考えられており、天の川銀河2,300億個の恒星の中でも、その7割は赤色矮星が占めていると考えられています。
② 赤色矮星は小さな恒星ですが、そのため主星(恒星)と惑星の距離も近いため、惑星を検出するために使われるトランジット法には都合が良く、惑星を発見しやすいという利点があります。

「Image Credit:トランジット法の概念図(天文学辞典より)」
③ 質量の小さい赤色矮星はエネルギー代謝も低いため長寿命(1,000億年以上とも)と考えられています。
寿命の長い恒星だと、生命生息可能な惑星やその衛星などに進化を促し、熟成される期間が出来ます。
例えば、地球に生命が誕生するまで40億年近くかかっています。
つまり、太陽より寿命の長い赤色矮星だと、それ以上に長い時間をかけて生命の進化が出来る環境が整っている可能性があり、そこには生命体が存在する可能性があるかも知れないという事なのです。
また、地球外惑星探査を行ったケプラー望遠鏡の観測データから、赤色矮星の2~6個にひとつは生命生存可能エリア(ハビタブルゾーン)内に惑星が存在することが判明していることも理由の1つのようです。
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これまで赤色矮星が探査されなかった理由

これまで地球外生命体の探査には赤色矮星は目を向けられてきませんでした。
その理由は、太陽より質量の小さい恒星は生命生存に向かないとされてきたからです。
何故なら、その根拠はいくつかあり、
  • 赤色矮星は太陽の10%ほどの光度しかなく、生命生存のエネルギーが不足している。
  • 生命生存が可能だったとしても、ハビタブルゾーンが恒星と惑星、もしくは衛星の距離が近過ぎるため、太陽フレアなどの恒星の有害な影響を受けやすい。
  • 恒星と惑星の距離が近いと、地球と月の関係のように自転と公転の同期現象が起きやすく、そのような場合だと、惑星の半面が常にに太陽(恒星)側を向いていれば灼熱地獄になり、逆の半面は常に真っ暗で極寒地獄となる可能性がある。
このような要因から赤色矮星は生命が存在する可能性が低いと考えられてきました。

もし赤色矮星に生命の存在が確認できたら

私たちが普段眺めている星空のほとんどが太陽と同等かそれ以上に質量が大きい天体ばかりで、赤色矮星のような温度の低い星を肉眼で見ることは難しく、最先端の望遠鏡でも困難を極めることが予想されます。
そんな困難な恒星から惑星を探し出し、そして生命存在の痕跡をみつけるということは至難の業とも言えるでしょう。
それでもSETI研究所は、約2年間で2万個の赤色矮星を調査すると発表していますので、それほど真剣で生命が存在する可能性に期待をしているということになります。
また、赤色矮星は太陽より寿命の長い恒星です。
そうなれば、もしその星に生命がいたとしたら、進化がかなり進んでいる可能性もあり、人類よりさらに進んだ文明を持つ異星人もいるかも知れません。
ただ、そのような異星人が居たとしたら電波など、地球に何らかのメッセージを送ってくることも考えられますが、今のところそのような形跡も見つかっていないということですので、少なくとも太陽系の近くには知的生命体のある星はないのでは?と思われます。
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