冬の星空を代表する星座として有名な「オリオン座」。
おそらく、星に詳しくない人でもこの星座は良く知っている事でしょう。
そんな有名な星座の「オリオン座」はどんな星で構成されているのか?そしてこの星座を観測する場合の見どころは何か?について、今回はオリオン座を眺める時に知っておくと便利な情報をお伝えして、より楽しく観測出来るよう参考材料を調べてみました。

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オリオン座について簡単に知っておこう!

「オリオン座」は誰でも知っていると言っていいほど超有名で冬の星座を代表する星座です。
この星座のメインとなる星々は、2つの一等星と5つの二等星で構成されており、月明かりや街中で空を見上げても確認出来るほどとても分かりやすく馴染みの深い星座です。

「Image Credit:Yahoo!JAPAN きっず図鑑
そんなオリオン座の見つけ方は簡単で冬場の日が暮れた東の空を見上げれば、上画像↑のように並んだ三ツ星を囲む4つの星々の基本的な7つの星での星座編成を確認する事が出来ます。

ちなみに、オリオン座の「オリオン」とは古代ギリシャ神話に登場する巨人の名前で、オリオンは海神ポセイドンの息子で勇猛な狩人でしたが、自分の力を自慢するが故に彼を嫌う女神ヘーラが放ったサソリに刺され命を落としてしまいます。そのため星になったオリオンは今でもサソリを苦手とし、夏の星座の代表「さそり座」が見えなくなった秋~冬~春先に姿を現すと伝えられています。

オリオン座を構成する星々その1「ベテルギウス(Betelgeuse)」

では、オリオン座を構成する星々7つについて簡単にご紹介します。

実は、これら7つの恒星全ては私たちの太陽を遥かに凌駕する巨大な恒星たちばかりで、お互いの距離もそれほど離れていないためオリオン座の星々自体、一つの巨大分子雲から誕生したのではと考えられています。
そんな兄弟星?の中で最初にご紹介するのが、今オリオン座で最も有名な星となっている左上側にある一等星(α星)・ベテルギウスです。

「Image Credit:iStock」
ベテルギウスは地球から約530光年離れた位置にあり、質量は太陽の20倍ほどで間もなく星の寿命を終えると考えられている赤色超巨星で、その大きさは何と!太陽の1000倍以上まで膨張し、仮にベテルギウスを太陽の位置に持って来ると木星の軌道を飲み込むほどまで巨大化しています。

「Image Credit:NASA
そんな巨星ベテルギウスが寿命を終えた場合、重力崩壊の超新星爆発を起こすと考えられています。
●参考記事:ベテルギウスの超新星爆はの時期はいつなのか?

オリオン座を構成する星々その2「リゲル(Rigel)」

続いては、オリオン座右下にある2つ目の一等星(β星)で最も明るいリゲルです。

「Image Credit:iStock」
リゲルは地球から約860光年離れている表面温度が1万2,000度にもなる青色超巨星で、この星も晩年を迎えており大きさは太陽の100倍以上まで膨張しており、なお、リゲルの質量も太陽の20倍程ですが放出エネルギー量はベテルギウス以上で太陽の12万倍もあります。

オリオン座を構成する星々その3「ベラトリックス(Bellatrix)」

オリオンの左肩にある二等星(γ星)ベラトリックス

「Image Credit:iStock」
地球からベラトリックスまでの距離は約400光年で、大きさは太陽の7倍程で表面温度は約2万度のB型主系列星と、温度が低く小型の赤色矮星を持つ連星系であるとされています。
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オリオン座を構成する星々その4「サイフ(Saiph)」

オリオンの右膝に位置する二等星(κ星)サイフ

「Image Credit:iStock」
地球からサイフまでの距離は約720光年で、距離が離れているため見た目こそ少し暗い二等星ですが、質量は太陽の15.5倍で大きさは22倍もあり、表面温度は2万6,000度で放出エネルギーは太陽の5万7,000倍もある超巨星です。

オリオン座を構成する星々その5「ミンタカ(Mintaka)」

次は、オリオン座の中心に座する三ツ星の一つで一番右側にあるδ星の二等星「ミンタカ」です。

「Image Credit:iStock」
ミンタカの特徴は5つ以上の恒星から成る連星系とされており、地球からの距離は正確にわかっておらず約690光年~1,240光年とこの距離に5つの恒星が位置していると考えられており、ミンタカの連星のいくつかも巨星を成しており、一番巨大とされるミンタカAa1は太陽質量の約24倍、大きさは約16倍、放出エネルギーは太陽の19万倍もあるとされています。

オリオン座を構成する星々その6「アルニラム(Alnilam)」

三ツ星の真ん中に位置する二等星(ε星)「アルニラム」。

「Image Credit:iStock」
アルニラムはオリオン座7つの恒星で最も地球から遠い約1,340光年の距離ですが、規模は最大で質量は太陽の約40倍。大きさは26倍、表面温度は2万5,000度、放出エネルギーは太陽の37万5,000倍もあり、おそらく晩年は大爆発を起こしブラックホールになってしまうものと考えられています。

オリオン座を構成する星々その7「アルニタク(Alnitak)」

最後にご紹介するのが三ツ星左端の二等星(ζ星)「アルニタク」です。

「Image Credit:iStock」
アルニタクはAa,Ab,Bから成る三重連星で、最も巨大なアルニタクAaは太陽質量の約33倍、大きさは20倍、距離にしておよそ1,260光年離れており、放出エネルギーも太陽の25万倍もあるため、この恒星もいずれはブラックホール化するモノと思われます。

オリオン座観測の目玉はオリオン大星雲

星座の中心に特徴的な三ツ星が並び、見つけやすく有名なオリオン座ですが、この星座を見つけたら注目してもらいたいのは、やはり「オリオン大星雲(M42)」ではないでしょうか?

「Image Credit:Wikipedia」
肉眼でも良く見える散光星雲のオリオン大星雲の見た目は、ミンタカ・アルニラム・アルニタクの三ツ星の下に位置していますが、実際の距離は地球から約1,300光年あり直径が約10光年以上にもなる巨大な天体で、美しく輝くこの星雲の中には、生まれたばかりの若い星(恒星)たちが7,000個以上も発見されており、これらの星たちの重力の影響で星雲を構成するガスや塵を侵食しながら複雑にその形を変化しつつあります。

天体望遠鏡で有名な馬頭星雲を観よう!

オリオン座三ツ星左端のアルニタクの隣に位置するのは、馬の頭が浮かび上がっているように見える「馬頭星雲(Barnard 33)」です。

「Image Credit:Wikipedia」
馬頭星雲は密度の濃い星間雲が光を遮る事で馬の頭のような形に見える、いわゆる「暗黒星雲」と呼ばれる天体です。
地球からの距離が約1,500光年の位置にある馬頭星雲は、天文ファンの間でも人気の高い天体で初心者でもある程度精度の良い天体望遠鏡を使えば観測する事が出来ます。

なお↑↑画像では”馬頭”が起き上がっていますが、実際に観測すると下画像↓↓のように見えますので観測する際はご注意下さい。

「Image Credit:Wikipedia」
ベテルギウスのお陰で?注目の集まるオリオン座。
また、ベテルギウスが超新星爆発を起こせば永遠に失われてしまうこの特徴的で美しい星座。
外に出て星空観測するには寒い季節かも知れませんが、ひとひとつの星がどんな天体なのか?を思い浮かべながら、肉眼で是非、目に焼き付けみてはいかがでしょうか。
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