近年、観測技術の進歩とともに次々と太陽系外の恒星で地球型惑星が発見されていますが、発見された系外惑星が地球型だとわかっても、その惑星に生命がいるかどうかまではまだわかっていません。
しかし、太陽系に近い地球型惑星であれば、将来人類の移住に適した惑星である可能性も少なからずあるかも知れません。
ここでは、そんな太陽系に近い恒星で惑星を持つ天体はどれくらいあるのか?太陽系に近い順に10個ほど選定し調べてみました
この記事でわかること
- ①(4.24光年) 2つめの地球型惑星が見つかった?最も近いプロキシマ・ケンタウリ
- ②(6光年) バーナード星で発見されたスーパーアース
- ③(8.2光年) 明るさが変化する変光星・ラランド21185
- ④(8.6光年) 全天で太陽の次ぎに明るいシリウス
- ⑤(10.33光年) 太陽系に近づきつつある恒星・ロス248
- ⑥(10.5光年) 太陽系創成期に似たエリダヌス座イプシロン星
- ⑦(11光年) 生命存在の可能性大?地球サイズ惑星があるロス128
- ⑧(12光年) SF映画にも度々登場する太陽に似た恒星・クジラ座タウ星
- ⑨(12.5光年) 生命が進化する条件が整った恒星・ティーガーデン星
- ⑩(14光年) スーパーアースでも生命の可能性がある?ウォルフ1061
- ⑪(40光年) ハビタブルゾーン惑星が3つも見つかったトラピスト1
①(4.24光年) 2つめの地球型惑星が見つかった?最も近いプロキシマ・ケンタウリ
赤色矮星プロキシマ・ケンタウリは、太陽系に最も近い恒星で4.24光年の距離にあり、2016年に、この地球に最も近いプロキシマ・ケンタウリで系外惑星・プロキシマbが発見され、さらにその惑星・プロキシマbは生命存在の可能性があるハビタブルゾーンに位置している地球に似た岩石惑星である事も確認された事で大きな話題になりました。「Image Credit:惑星プロキシマbの地表の想像図(Wikipediaより)」
しかし、このプロキシマbについてはまだ詳細な分析が進んでおらず、現時点ではそこに生命生存に必要な大気や液体の水が存在しているかどうかまではわかっていません。
また、最近ではプロキシマ・ケンタウリにもう一つ地球型惑星が存在している可能性が浮上しているのですが、この惑星は地球の6倍ほどの質量を持っていると考えられ地球型の岩石惑星であればスーパーアースか、そうでなければ天王星や海王星のような巨大氷惑星であるかも知れません。
ちなみにスーパーアースとは、地球の数倍以上の大きさ(質量)を持つ岩石惑星の事で、これまでもいくつものスーパーアースは見つかっています。
②(6光年) バーナード星で発見されたスーパーアース
太陽系から約6光年の距離にある赤色矮星・バーナード星にも最近になって惑星が発見されており、その惑星は地球の3.2倍以上の質量を持つ、いわゆるスーパーアースと呼ばれる惑星ではないかと推測されています。「Image Credit:バーナード星のスーパーアース想像図(欧州南天天文台より)」
このバーナード星のスーパーアースはハビタブルゾーンから外れており、表面温度はマイナス170度ほどで生命の生息には不向きの極寒の世界ではないか?と考えられています。
③(8.2光年) 明るさが変化する変光星・ラランド21185
太陽系から約8.2光年の位置にあるラランド21185は太陽質量の46%ほどの恒星で、赤色矮星と橙色矮星の間に分類される恒星です。このラランド21185にも惑星が存在する可能性があると考えらていますが、恒星自体が活動が活発な変光星であるため、仮にハビタブルゾーンに惑星が存在したとしても、恒星からの激しい放射線に晒されている可能性があります。
「Image Credit:ラランド21185惑星系の想像図(Wikipediaより)」
④(8.6光年) 全天で太陽の次ぎに明るいシリウス
冬の大三角を形成し、全天で最も明るく輝くシリウスは太陽系から約8.6光年の距離にあります。肉眼では1つに見えるシリウスですが、実は2つの恒星から成る連星であり、太陽質量の約2倍の質量を持つシリウスAと、既に寿命を終え白色矮星となった伴星シリウスBで形成される恒星系です。
「Image Credit:Wikipedia」
ちなみに伴星シリウスBは、ほぼ太陽と同じ質量を持っていますが大きさは地球ほどしかありません。
そして気になるシリウスでの惑星ですが現在のところ惑星は見つかっていませんが、今後の観測次第では惑星が見つかる可能性は十分にあります。
但し、シリウスAは誕生してから数億年程度の非常に若い恒星であり、一方のシリウスBは伴星であるため、もし惑星が存在していたとしても生命の可能性はかなり低いと思われます。
⑤(10.33光年) 太陽系に近づきつつある恒星・ロス248
ロス248もまた赤色矮星に分類される小型の恒星で、太陽系からの距離は10.33光年なのですが、太陽系とロス248は少しずつ接近しており、3万6,000年後には約3光年の距離まで近づくと考えられています。また、この恒星には木星型のガス惑星があるのでは?と考えられていましたが、今のところそれらしい惑星は発見されていませんが今後発見される可能性は十分にあります。
「Image Credit:ロス248を周回する仮想的な惑星(Wikipediaより)」
⑥(10.5光年) 太陽系創成期に似たエリダヌス座イプシロン星
太陽系から10.5光年の距離にあるエリダヌス座イプシロン星の質量は太陽の0.83倍と、かなり太陽に近い恒星として知られています。また、この恒星には惑星も発見されており、イプシロン星bと呼ばれる木星型のガス惑星ではないかと考えられていて他にも惑星が存在する可能性はあります。
しかし、エリダヌス座イプシロン星は誕生してから約8億年と非常に若く、惑星が形成される軌道上では300億キロにも及ぶガスや小天体で出来たデブリディスクで覆われており、今後これらが衝突・合体する事で新たに惑星が誕生する可能性があると思われます。
「Image Credit:デブリディスクで覆われるエリダヌス座イプシロン星想像図(NASA)」
ただ、もしこの時点で地球型の惑星があったとしても、恒星自体の年齢が若いため生命が誕生している可能性は低いと思われます。
⑦(11光年) 生命存在の可能性大?地球サイズ惑星があるロス128
ロス128は約11光年先にある赤色矮星で、質量は太陽の0.15倍と非常に小さく暗い恒星です。恒星自体非常に暗い星ですが、ロス128は活動の激しい変光星でもなく非常に穏やかな活動を続けている恒星だと考えられています。
そんな穏やかな恒星のハビタブルゾーン内に地球サイズの岩石惑星が見つかった事で、一気に生命存在の可能性が高まって来ました。
その惑星の名前はロス128b。
「Image Credit:ロス128惑星系の想像図(Wikipediaより)」
この惑星については今後詳しい調査が行われる予定で、とても期待の持てる星のひとつではないでしょうか。
⑧(12光年) SF映画にも度々登場する太陽に似た恒星・クジラ座タウ星
太陽系から約12光年離れたクジラ座タウ星。クジラ座タウ星の特徴は何と言っても、私たちの太陽によく似たスペクトル型を持つG型主系列星である事です。
そのため、人類が移住可能な惑星があるかも?としてSF映画などに度々登場している有名な恒星でもあります。
クジラ座タウ星にもハビタブルゾーン内に2つの惑星が確認されていますが、いずれも地球の数倍の質量を持つスーパーアースだと推測されています。
「Image Credit:タウ星系のイメージ図(The University of Hertfordshire: 2012より)」
スーパーアースは自重が重いため、仮に大気が存在していたとしても強い重力により、大気層が厚く激しい大気の動きがあると予想されているため、生命生存には不向きな環境ではないか?と考えられています。
⑨(12.5光年) 生命が進化する条件が整った恒星・ティーガーデン星
地球から12.5光年離れた太陽質量の9%ほどしかない、木星サイズの赤色矮星・ティーガーデン星は非常に暗い恒星ですが、誕生から80億年ほど経過した活動が穏やかな天体です。そんな穏やかな恒星に見つかったのが、ハビタブルゾーン内を公転している「ティーガーデン星b」という系外惑星は地球ほぼ同じサイズだと考えられており、主星が穏やかで80億年を経過しているとあれば、「ティーガーデン星b」に生命が誕生していれば十分な進化の時間もあり、人類のような知的生命体が存在していてもおかしくはないと示唆され、また将来的に人類が移住可能な惑星でもあると考えられている期待の大きい天体だという事のようです。
「Image Credit:ティーガーデン星系惑星の想像図(University of Göttingen, Institute for Astrophysicsより)」
⑩(14光年) スーパーアースでも生命の可能性がある?ウォルフ1061
約14光年離れた場所にある赤色矮星・ウォルフ1061には3つの惑星が見つかっており、そのうちの1つウォルフ1061cはハビタブルゾーンの範囲に完璧に位置するため、生命が生存する可能性が大きいと推測されています。「Image Credit:赤色矮星ウォルフ1061と3つの惑星の想像図(Wikipediaより)」
ただ、ウォルフ1061cもまた地球の4倍ほどの大きさを持つスーパーアースだと考えられており、もしスーパーアースだとした場合は大気や水の存在が気になるところですし、また重い重力が惑星環境にどんな影響を与えるのか?今後の調査が待たれるところです。
⑪(40光年) ハビタブルゾーン惑星が3つも見つかったトラピスト1
最後にご紹介するのは、これまでの恒星よりは少し遠い場所の約40光年のところにある赤色矮星・トラピスト1です。2017年にNASAが発表した「トラピスト1」に関するニュースは、太陽の10分の1ほどしかない恒星に全部で7個もの惑星が見つかったとして話題になりました。
さらに、そのうちの3つがハビタブルゾーン内に位置しており、生命存在の可能性がさらに期待出来るとしてセンセーショナルに報道された事は記憶に新しいところです。
また、トラピスト1の年齢も30~80億年だと推測されており、これだけ主星に年齢があれば生命が進化するには十分な時間があると考えられ、可能性的には人類のような知的生命体も生まれていてもおかしくはないかも知れません。