宇宙ビジネスを展開する民間ベンチャーとしては、世界最大手企業となった「スペースX社(SpaceX)」。
このスペースX社が開発した超大型ロケット「ファルコン・ヘビー」がに完成し、2018年2月6日にアメリカ・ケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

ファルコン・ヘビーは初の打ち上げにも関わらず、目的地は火星の周辺軌道に投入され、積み荷は探査機や宇宙船ではなく地上を走るクルマ(スポーツカー)だったことも大きな話題になりました。
そもそも、こんな大掛かりなロケット打ち上げに何故クルマを載せる必要があったのでしょうか?
ここでは、スペースX社の最新型ロケットの性能と積み荷の理由について等をど調べてみたいと思います。

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スペースX社ってどんな会社?

スペースX社は、2002年にアメリカの起業家イーロン・マスク氏によって設立されたとても若い会社で、CEOであるイーロン・マスク氏も若く、設立当時はまだ30代前半でした。
また、社員数も約5,000人とそれほど大きな企業でもないのですが、やっているビジネスが大がかりで、かかるコストもかなりのモノと聞きます。

現在では、政府機関であるアメリカ航空宇宙局(NASA)にも負けず劣らずの費用を投入し宇宙開発に参入を続けており、NASAの協力も得ながらも独自のロケットと宇宙船の開発を行っています。

「Image Credit:スペースX社のロケット打ち上げ施設(Teslarati.comより)」
● 参考サイト:【スペースX社公式サイト】

スペースX社の宇宙開発参入の目的は、今後大きな需要が期待出来る宇宙ビジネスの独占と拡大を目指すモノで、低コストでロケットや宇宙船を開発・運用し、現時点でも商業衛星市場で大きなシェアを獲得しています。
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スペースX社が開発した新型の超大型ロケット「ファルコン・ヘビー」

低コストで再利用出来るロケット開発を行っているスペースX社。
同社が開発しているロケットは、打ち上げ後に地上に戻って来るという、自己回収型の画期的な中型クラスのロケット「ファルコン9」で実績も作っています。
そんなファルコン9の技術を取り入れた新型で大型のロケット「ファルコン・ヘビー」が完成。
2018年2月上旬に初打ち上げられ、世界中から注目されることになりました。

「Image Credit:ファルコン・ヘビーの全景(Wikipediaより)」
この「ファルコン・ヘビー」の仕様は、
・全長:70メートル
・全幅:12.2メートル
・重量:1,400トン
・構造:液体ロケットブースター × 3基(二段式)
・積載重量:最大64トン

そしてこのロケットの最大の特徴は、3基あるブースターロケット全てが、打ち上げ後、自力で帰って来て回収できるというスグレモノ。

「Copyright ©:SpaceX All rights reserved.」
この自己回収・再利用技術を最大限に活かし、徹底した低コスト化を目指しています。

初飛行で火星へ向かう宇宙船は何とクルマ!その理由は?

初打ち上げに挑戦する新型ロケット「ファルコン・ヘビー」。
このロケットに搭載されたペイロードは、宇宙船や探査機等ではなく地上を走るクルマで、しかも、CEOのイーロン・マスク氏個人所有の赤い「テスラ・ロードスター」でした。

「Image Credit:テスラ・ロードスター(Wikipediaより)」
実はこのクルマはガソリン車ではなく電気自動車。
・・・だから宇宙でも動くのか?
ではなく「ファルコン・ヘビー」の初打ち上げは、あくまでも試験発射でありデモンストレーションが目的であり、また、初めてということでまだ信頼性もないため、爆発炎上する危険性もある事もあり高額な探査機や宇宙船は積み込みは大きなリスクを伴うという理由で、積載重量やサイズが宇宙機に近いイーロン・マスク氏の私物のクルマがペイロードに選ばれたという事だったようです。

つまり、開発責任者であるイーロン・マスク氏の大切な愛車をダミーとして載せることで、万が一の時の責任の取り方なのか?という考え方もありつつ、デモンストレーションにはうってつけの積み荷だったのかも知れません。
また、積み込んだテスラ・ロードスターの車内では音楽が流され、曲名はデヴィット・ボウイの「スペース・オディティ」
だそうです。

「Copyright ©:David Bowie All rights reserved.」

新型ロケット「ファルコン・ヘビー」の今後の運用計画とは?

2018年初頭の時点で、スペースX社の宇宙航行実績は地球低軌道しかありません。
もし、大型ロケット「ファルコン・ヘビー」の打ち上げに成功し運用段階に入ったとするならば、有人宇宙船搭載と火星までの航行も視野に入っており、それだけの能力も持っているロケットだと言います。
「ファルコン・ヘビー」の試験打ち上げが成功したのち、2018年中に計4回の打ち上げが予定されており、うち3回は物資運搬で、残る1回は月軌道を周回する2人の宇宙飛行士(民間人?)を乗せた有人宇宙飛行ミッションを行うと発表しています。

「Image Credit:スペースX社の有人宇宙船「ドラゴン2」(spaceflightinsider
より)」

そしてその後は、2020年代中に有人火星飛行を行う予定だとか?
あのNASAでさえ再び有人で月に宇宙船を飛行させるのは2020年代に入ってからで、火星有人飛行に至っては2030年代が計画されています。
個人的にはいくらスペースX社の宇宙開発技術が先進的で野心的だあったとしても、いささかこの計画は早過ぎて無謀とも思えます。

果たしてスペースX社の野望は計画通り進むのでしょうか?
何より、「ファルコン・ヘビー」の処女飛行に搭載されたクルマ「テスラ・ロードスター」は無事に火星にたどり着き、彼方の火星からデヴィット・ボウイの歌声が聴こえて来るのか?
これも世界中で注目が集まるのではないでしょうか?
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