通常、太陽質量の8倍以上とされる恒星の最期(フィナーレ)は超派手で、スーパーノヴァ(超新星爆発)と呼ばれる大規模な爆発現象を起こします。
しかし、当たり前ですが誰もその現象を間近で見た人はいません。
でも、絶対に間近で見ることが出来ない超新星爆発の瞬間て、どんな様子なのか気になりませんか?
そんな瞬間をNASAは、これまでの観測データを基に再現したCG動画を公開しています。

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NASAが再現した超新星爆発の瞬間動画

質量の大きな恒星が寿命を迎える時、スーパーノヴァ(超新星爆発)と呼ばれる想像を絶する巨大な爆発を起こし、その爆発は凄まじく、太陽が一生(約100億年)かかって放つエネルギーを一瞬で放出してしまうほどだとされています。
そんな超高エネルギー爆発の明るさも桁外れで、それは太陽の数億倍にも達し周りの星々も爆発に巻き込まれ、半径数十光年以内の星は衝撃波で壊滅的な被害を受けると考えられています。
つまり、人類が超新星爆発の瞬間を間近で見る時は、私たちも最期の時を迎えるという事を意味しているのかも知れませんし、同時に現在も人類、地球、そして太陽系が健在だという事は、近くで超新星爆発は起きていないとも言えます。
しかし、広大な宇宙では日常的に超新星爆発は起こっており、人類もまた遠い宇宙空間での超新星爆発の様子を観測に成功しています。

そして今回ご紹介するのはNASAが観測した巨大恒星(KSN2011d)が爆発する様子をCG再現したモノで、超新星爆発の瞬間をショックブレークアウト(衝撃波脱出)とも呼び、KSN2011dがショックブレークアウトを起こした時の明るさは太陽の1.3億倍だったとの事です。

「Copyright ©:NASA’s Ames Research Center All rights reserved.」
ここで動画の内容を少し解説すると。

太陽の500倍もの大きさがある恒星(KSN2011d)が、これまで熱核融合によって星のカタチを保っていた内部コアが核融合が停止し重力崩壊を起こします。
この崩壊によりショックブレークアウトは起こり、衝撃波が星の表面に到達し、同時にプラズマジェットが飛び出し巨大なエネルギーが一気に放出されます。

ちなみに、この巨大恒星(KSN2011d)は地球から約12億光年も離れており、地球には影響は無いのですが、爆発したその後は残骸を宇宙空間へ10万年単位で四散させて行きます。

「Image Credit:超新星の残骸「ティコ」(すばる望遠鏡、国立天文台より)」

スーパーノヴァ(超新星爆発)は星の終わりだけではない

スーパーノヴァ(超新星爆発)によって星の終わりを告げ、終わり方も様々で爆発を起こして宇宙に残骸をばら撒くだけでなく、強烈な重力で中心(コア)の部分が残り、直径20キロ程度の大きさなのに太陽ほどの質量が詰まった殆どが中性子で出来た「中性子星(パルサー)」になったりと、元々の恒星が持つ質量によって様々な変化が起こってしまいます。

「Image Credit:中性子星(NASAより)」
さらに、太陽質量の30倍以上の恒星が超新星爆発を起こすと、中心部に残るのは究極の天体と呼ばれる超高圧・超密度・超重力の「ブラックホール」になったりと星は姿を変えてしまいます。

「Image Credit:ブラックホールの想像図(Wikipediaより)」
しかし、超新星爆発が生み出すのは、中性子星やブラックホールだけではなく新たなる星の誕生にも繋がっており、爆発で四散した星のカケラ(残骸)は宇宙空間に広がって行き、そして広がった一部がまた重力によって集まり新たな星を形成して行く。さらに爆発で撒き散らされた残骸の中には、星の核融合で創られた様々な物質(酸素、炭素、ニッケル、鉄等)も含まれています。

これらは、新たな星が形成された後、惑星などの形成の素になったり、また私たちのカラダを創るための材料になったりしているのです。
つまり、私たちの究極のルーツは、恒星の核融合で創られそれが宇宙に撒き散らされた事で誕生したとも言えるのです。
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太陽の最期もスーパーノヴァ(超新星爆発)?

恒星の最期がスーパーノヴァ(超新星爆発)なら、私たちにとって恵みの太陽もまた恒星です。
となると、いずれ太陽も大爆発を起こすのか?と、太陽の寿命が尽きるのはずっと先の話になるのですが何故かちょっと心配してしまいます。

でも安心して下さい。太陽が寿命を終えてもスーパーノヴァ(超新星爆発)現象は起こしません。
何故なら、太陽は爆発を起こすほどの巨大な質量を持っていないからです。
冒頭にも触れましたが、超新星爆発を起こすのは太陽質量の8倍以上だとされるので、超新星爆発を起こすには太陽の質量はかなり足りません。

では、寿命が尽きた太陽はどうなってしまうのでしょうか?
現在、活動真っ盛り主系列星である太陽の中心部では水素が熱核融合反応を起こしヘリウムを生成しています。
これにより生まれた熱と光などのエネルギーで、私たちは生命の恵みを与えられているのですが、いずれは中心部で核融合の燃料となっている水素が無くなっていまします。
すると、水素による核融合反応は外側へと移動し、さらには中心部で生成されたヘリウムも核融合反応を起こし太陽は少しずつ膨張して行きます。

膨張した太陽は、半径1億キロを超える赤色巨星へと変貌すると考えられています。
膨張し赤色巨星となった太陽は重力も衰え、これまで星を形成していたガスを留めて置くことが出来なくなりそれらの大半は宇宙空間へと流出して行きます。
そして、中心部に残った炭素と酸素から構成される地球サイズの天体は高温、高密度を維持する「白色矮星」と変貌を遂げ、一生を終えると考えられています。

「Image Credit:白色矮星の大きさのイメージ(中央の天体)(Wikipediaより)」
太陽が赤色巨星となった時地球はどうなるのでしょうか?
おそらくは、焼き尽くされるか?太陽に飲み込まれる運命をた辿るでしょう。

「Image Credit: What the Death of the Sun Will Look Like
ですが、太陽が最期を迎えるのは何十億年も先の話です。
おそらく、人類はそのずっと前に滅んでしまうでしょうから心配は無用でしょう。
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