かつては地球に似た惑星はほとんど存在にないと思われていましたが、観測技術の進歩によって太陽系外惑星が次々と発見されるようになり、その中には地球に似た惑星もあり生命が居る可能性があると期待されています。
しかしそれは楽観的な見方であって、その惑星が持つ環境は生命存在には適さない事も示唆されています。
そんな中、新たな研究で徐々に楽観的見方も確実性が増して来ているとの事。意外にも地球とはかなり異なる環境下でも生命の息吹が芽生えている可能性があるらしいのです。

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これまで5千個以上も見つかっている太陽系外惑星

私たちが夜空を見上げると、無数に輝く星たちを見る事が出来ますが、それらのほとんどは太陽と同じ自らエネルギーを放出し輝いている恒星であり、言い方を替えると”他所の太陽たち”という事になります。
つまり、これら他所の太陽にも太陽系と同じように惑星を従えていてもおかしくないワケなのですが、残念ながら惑星は恒星のように自ら光を放たないため系外惑星を見つける事が出来ませんでした。

そんな中、1995年10月。史上初となる地球から約50光年離れた私たちの太陽とほぼ同サイズの恒星「ペガスス座51番星」を公転する惑星(ペガスス座51番星b)を発見。

「Image Credit:史上初めて発見された系外惑星「ペガスス座51番星b」の想像図(Wikipediaより)」
この発見以降、観測技術は一気に進み、現在(2023年3月)までに5,000個以上の系外惑星が発見されています。

しかし、下図グラフ↓↓でもわかるうように、発見された5,000個の系外惑星の中で地球に似た惑星はいくつかあるモノの、地球と同条件で同型の惑星は見つかっていないのが現状です。

「Image Credit:史上初めて発見された系外惑星(国立天文台YouTUBEより)」
5,000個も惑星が見つかっているんだったら、1つぐらい地球と同じ惑星があっても良さそうなのですが、残念ながらそれには理由があるのです。

太陽と同サイズの恒星で惑星を検出する事は難しい

太陽系外惑星を検出(発見)する方法はいくつかあります。
◆ 太陽系外惑星の主な検出方法
  • 直接撮像法:恒星の光をマスクで覆い隠し恒星のすぐ近くにある惑星を撮像観測または分光観測する方法。
  • ドップラー分光法:恒星が惑星の重力でわずかに揺らぐ運動をドップラー偏移を通して検出する方法。(視線速度法とも呼ぶ)
  • アストロメトリ法:ドップラー分光法と似た方法で、惑星の重力での恒星のわずかな揺らぎを、天球上の位置の周期的な変化として固有運動に重なって検出する方法
  • 重力マイクロレンズ法:恒星の重力によって歪む時空の中を惑星が通過した時の光が進む経路を検出する方法
  • トランジット法:恒星の前を惑星が横切った時の明るさ(恒星)の変化を検出する方法
系外惑星を検出する観測方法は他にもあるようですが、主に使われるのが上記5つの方法であり、その中で最も多く用いられるのがトランジット法です。
トランジット法は他の方法に比べ、惑星の大きさや質量だけでなく大気の組成まで分析する事が出来るため、その惑星がどのような大気で覆われているか?そしてそこに水が存在するのかまでわかるため、地球外生命体存在の可能性まで調べる事が出来るという大きなメリットがあります。

「Image Credit:トランジット法のイメージ図(Wikipediaより)」
ですが、トランジット法では恒星の前を惑星が横切らないと検出出来ないため、地球から見て恒星系の公転面がわかる事。さらには、恒星に近い距離で公転する惑星でないと検出が難しいというデメリットがあり、太陽と地球のように恒星と惑星の距離が離れていると減光の度合いが弱過ぎて、発見する事が非常に困難という事になるのです。
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発見された系外惑星のほとんどが赤色矮星を周る惑星

トランジット法で太陽系外惑星を検出しようとする場合、主に太陽よりもかなり小型で暗い赤色矮星に観測の目が向きます。
その理由は、赤色矮星は小型のため恒星の温度も低く(2,000~3,000℃)重力も弱く、惑星は主星の近くを公転しているため、トランジット法ではうってつけの観測対象なのです。
しかも赤色矮星は宇宙に非常に多く存在し、私たちの太陽系がある天の川銀河の約7割を占めていると考えられているため、太陽系近郊にも数多くの赤色矮星が点在しており、系外惑星探査がしやすいというメリットがあります。

そのような観測条件の中、赤色矮星のハビタブルゾーンに地球に似た惑星も50個程(2023年3月現在)見つかっており、そこに生命が居る可能性も期待されています。

「Image Credit:赤色矮星TRAPPIST-1と太陽系のハビタブルゾーン比較図(Wikipediaより)」

赤色矮星の地球型惑星は潮汐ロックがかかっている可能性大

赤色矮星の近くを公転する惑星の多くは、主星(恒星)重力の影響で「潮汐ロック」という現象が起こり、惑星の片面が常に恒星に面した永遠の昼である一方、もう片面には永遠の夜が訪れる事になってしまいます。この現象は地球と月の関係も同様で、月が常に同じ面を地球側に向けているのがいわゆる潮汐ロックという現象です。

「Image Credit:潮汐ロックにより沈まない太陽と明けない夜となった惑星のイメージ図(NASA/JPL-Caltech)」
惑星がこのような潮汐ロックされた状態になった場合、いくらハビタブルゾーンであったとしても常に太陽光が当たっていれば、地表は熱せられ灼熱環境になってしまい、太陽光の当たらない夜側は極寒環境という生物にとっては最悪の環境で居住は不可能と言わざるを得ない絶望的な状態になるでしょう。

潮汐ロック惑星でも生物が住める居住空間がある!?

潮汐ロックされた惑星では居住不可能という考え方がある中、米カリフォルニア大学アーバイン校の天文学者チームは「このような惑星でも生命発見が期待できる有力な場所が存在する」と主張しています。

それは以前もこのサイトで「トワイライトゾーン」として紹介しましたが、このような惑星には昼と夜の狭間の中間領域(トワイライトゾーン)は、暑過ぎず寒過ぎない生命生存にとっては丁度良い環境が保たれている可能性があるとしており、彼らはこの領域を「ターミネーターゾーン(Terminator zones)」と呼び、この仮説を検証するため惑星の気候をシミュレーションしたところ、ターミネーターゾーンの温度が生命にとって適温である可能性が判明し、これまで見つかった赤色矮星のハビタブルゾーン惑星にも生命存在の期待は出来るとしています。

「Image Credit:YouTubeより」
ただこのターミネーターゾーンが存在する惑星は、大気や水が大量に存在する事が条件で、なおかつ大気と水の循環が維持出来ていないと生命存在は難しく、今後の調査にもこの条件を踏まえた分析・検証を行えば、地球外生命体に出会える可能性も高くなって来るかも知れません。
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