このサイトで約2年半前に取り上げた話題。
太陽系の惑星の中でも超過酷な環境で知られる金星の大気中に生命がいるかも知れない。と言う、にわかには信じがたい情報。
それが今になり、新たな生命存在の可能性が見つかったという事でメディアでも大きく取り上げられ話題度が爆上がり中です。
未だ地球外生命体が見つかっていない中、絶対に生命などいないとされて来た金星に史上初の生命確認の可能性が高まってきたようです。

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2年前の金星生命存在説のおさらい

金星は地球に最も近い惑星で、大きさや質量も似ている事から地球とは姉妹星と言われます。

「Image Credit:Wikipedia」
しかし、その実態は姉妹星とは言えない大きな違いがあり、程良い大気と水が存在し温暖な環境で生命に溢れている地球に対し金星は・・・
  • 地表温度は摂氏470度。
  • 地表気圧は90気圧。
  • 大気成分のほとんどはブ厚い二酸化炭素で覆われ、太陽光は地表まで届かず。
また、金星の一日は約243日で自転軸の傾きは地球の約23.4度に対し177度というほぼひっくり返った状態の自転軸を持ち、大きさ(地球の0.95倍)と質量(地球の0.82倍)以外は、何から何まで異なる過酷環境を持つ金星に生命などいるハズもないと思われて来ました。
しかし、この惑星の地上に生命の存在が絶望的だったとしても、大気中なら一部それほど過酷ではない領域が存在している事が最近の調査で判明しており、その領域の温度は摂氏0~60度で気圧は0.4~2気圧ほどと推定され、それほど過酷ではない環境が整っていると考えられます。
そんな中、大気中に見つかったのが謎の黒いシミ。

「Image Credit:金星大気に見られる”黒いシミ”(NASAより)」
このシミを発見した科学者たちの推測では、光吸収性を持った地球のバクテリアのような微生物が繁殖している可能性があると示唆していました。

と、こんな感じで2年半前に金星の生命可能性情報としてお伝えしていました。
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金星の大気中に生命存在が高まったホスフィンの検出

そして今回、謎のシミが存在する大気中をさらに分析したところ、驚くべき証拠が見つかり注目を集める結果が出る事になります。

それは、金星大気中の雲の中にホスフィン(リン化水素)という物質が含まれている事が判明。
ホスフィンは、生命にとっては極めて毒性が強い物質ですが微量ながら地球の大気中にも含まれており、そのホスフィンを生成する基となっているのが生命などの有機物だと考えられています。
ちなみに地球上でホスフィンを生成する生物は、酸素の少ない環境にすむ一部の嫌気性細菌だとされています。

「Image Credit:嫌気性細菌(gettyimagesより)」
このホスフィンの発見により科学者たちは、金星の大気中に含まれている可能性がある硫黄化合物を代謝している微生物たちが、半永久的に存在し続ける雲の中を漂いながら生息し続けていると考えています。

生命が居なくてもホスフィンが生成される可能性

一般的に生命無くしてホスフィンは生成されないとされていますが、実は生命とは無縁な、巨大惑星の木星や土星でもホスフィンは作られているのが判っています。
しかし、木星や土星で生まれるホスフィンは、強力な圧力と温度がある中心部付近で生成されており、強力な圧力と温度があると言っても木星等のようなガス惑星ではなく、根本的にそこまで激しい環境までには及ばない岩石惑星である金星ではホスフィンは生成されないと考えられいます。

となると考えられるのは、やはり嫌気性細菌のような微生物なのか?
今回、ホスフィンが検出されたのは金星に生命の存在を示す証拠ではないか?という真剣な議論になっているようです。

「Image Credit:金星探査機「あかつき」の赤外線カメラで撮影した金星の雲(FALSE COLOR PHOTO BY JAXA / ISAS / DARTS / DAMIA BOUICより)」

金星の生命はどうやって生まれたのか?

もし、金星に生命が存在するとなれば、それが細菌のような微生物であれ、超過酷な環境でどうやって生命が誕生し得たのか?と単純に疑問に思える事かも知れません。

ですがその疑問に対する答えは、金星の遥か遠い過去に遡ればわかる可能性があります。
金星を調査している科学者たちは、この惑星の過去の環境をいくつかのパターンでシュミレーションしており、それによると10数億年前まで金星は地球とはそう変わらない環境を保つ事が出来ていたという結果が出たとの事で、つまり金星は誕生から約30億年に渡り地表温度が、20~50度ほどの温暖な環境であったという可能性が出て来たというのです。

「Image Credit:太古の金星のイメージ図(NASAより)」
太古の金星は、上のイメージ図のように海や大陸のあった温暖な環境で生命も育まれており環境の激変とともに生命も死に絶えるも、一部の微生物だけは温暖な大気中間層雲へ逃げて生き延びているのかも知れません。
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