夏になると・・・いや、最近では夏になる前から「危険な暑さ」や「災害級の猛暑」と、連日のようにニュース等で報道されるようになり、テレビカメラを向けられた一般の方が「いやぁー暑いですねぇ」と笑いながらインタビューに応えている場面を良く目にしますが、この状況ってそんな呑気に笑っていられる事なのでしょうか?
年々深刻化するこの猛暑。全然笑える状況ではなく、そう遠くない将来、私たちに襲い掛かるであろう地球規模での深刻な危機の予兆なのです。
年々深刻化する地球温暖化の影響
「地球温暖化」という言葉が世間に広がり出してから久しいですが、地球温暖化とは、私たち人類の活動で生み出される大量の温室効果ガスが大気中に放出される事で、これまでほとんど変化がなく横ばいだった地球の気温が上昇して行く事による、自然界のバランスが崩れる悪影響の事で、近年私たちは季節の変化等でその悪化を肌で感じるようになって来ています。「Image Credit:iStock」
地球が誕生したのは今から45億年以上も前の事。それから現在までとても長い時間を使い地球環境は少しずつ姿を変え、大気組成も変化し、現在の大気は窒素78%、酸素21%、アルゴン約0.9%、二酸化炭素約0.03%、その他約1%という地球の自然バランスが安定し、同時に生物が住みやすい環境を作り上げて来ました。
しかし、そんな地球に我が物顔で君臨する人類は、自分たちの事しか考えずどんどん人口を増やしながら、地球が長い時間を掛けて創り上げて来た自然環境をいとも簡単に破壊し、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を大量に燃やし続けた事で、これまでほんの少ししかなかった二酸化炭素等の温室効果ガスの量が増し、地球の自然バランスが崩れつつあり、それは毎年のように更新する災害級の暑さを象徴するように深刻化していっているのです。
「Image Credit:gettyimages」
温室効果ガスで深刻なのは二酸化炭素だけではなかった
一般的に地球温暖化の原因になっているのは二酸化炭素であると良く言われていますが、人間の生活による化石燃料、または農業(主に酪農業)等で排出されるメタンガスも温室効果を招いているとされています。大気中のメタン濃度は、1900年代後半から徐々に増加し出し、今世紀に入ると加速し20年間で10%近くも増加している事が確認されています。
「Image Credit:2008~2017年までの世界のメタン収支(GLOBAL CARBON PROJECTより)」
記録的なペースで増加をしているとされるメタンガスですが、私たち人類の生活による排出も原因のひとつですが、自然現象による排出も大きいと考えられ、特に熱帯地域等の湿地帯から大量のメタンガスが放出されている事も地球温暖化の一因になっていると考えられています。
「Image Credit:Shutterstock」
ただ、自然現象によるメタンガス排出量が増えている事は事実ですが、原因となっているのが近年の急激な気候変動によるモノだとされ、この気候変動を引き起こしているのが私たち人間である事も忘れてはならないと思います。
地球の平均気温が2℃以上上昇
これまで地球の平均気温は約15℃程とされて来ましたが、2024年7月末、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」によると、地球の平均気温が17.15℃という観測史上最高を記録したと発表。つまり、これまで15℃とされて来た地球の平均気温を2℃以上も更新するという、衝撃的で危険レベルの状態になりつつある事が現実になって来ています。「Image Credit:C3S/ECMWF」
C3Sの声明によると、1年単位で気温上昇が塗り替えられている事態となっており、今後も気候変動による地球温暖化でドンドン気温上昇の新記録が更新されて行くのではと懸念されています。
このまま地球温暖化が進むとどうなるのか?
夏の極端な猛暑。本来は温暖な気候であるハズの日本でも最近では40℃超の夏も珍しくない事態になりつつあり、年々暑くなっている事を肌で感じている人も多いかと思います。そんな猛暑をもたらす地球温暖化。この状態が悪化し続けるとどうなるのでしょうか?
「Image Credit:iStock」
地球温暖化が進むと、既に毎年のように起こっているゲリラ豪雨などの集中豪雨が日常化し各地で洪水が多発。台風等の嵐も大型化し災害も頻発し、逆に干ばつによる農作物の不作での食糧危機。更には北極や南極、氷河等が溶け海面上昇。極端な気温上昇で赤道付近が高熱帯となり、私たちは住む場所も奪われてしまうかも知れません。
地球温暖化を止めるために私たちが出来る事
地球温暖化は主に、私たち人間による日々の営みで温室効果ガスが放出されてしまう事が原因です。すなわち、私たちの行動次第では温室効果ガスの放出を抑える事も出来ると言え、国もまた、積極的に地球温暖化対策計画を打ち出し、6年後を目標(2025年対比)に温室効果ガス排出量の目標を46%削減するとし、再生可能エネルギーの普及や省エネ対策等の脱炭素の取り組みを推進し、私たち個人レベルでもその取り組みに協力する必要がある事は当然となって来ます。個人レベルで出来る温暖化抑制対策①:消費電力を抑える取り組み
暑い夏、熱中症を防ぐためにもどうしても冷房が必要不可欠です。しかし、設定温度を抑える(室温28℃)事は大事ですし、冬場も暖房の設定温度を20℃目安で省エネ対策にも取り組みましょう。また、照明を含む必要のない家電製品はコンセントを抜き、家電の買い替えの際は消費電力を抑えられる商品を選ぶのも対策のひとつになります。
個人レベルで出来る温暖化抑制対策②:生活習慣の改善
最近は、少しずつですがEV車(電気自動車)が普及しつつありますが、それでも化石燃料を使う車が主流の時代は続きます。お住まいの地域によっても違いはありますが、外出の際はなるべく公共の交通機関を使う事も温暖化対策のひとつです。他、買い物の時はマイバックを使ったり、食事は多く作り過ぎず食べ切れる分だけ。ゴミの分別は徹底する事も大切です。
しかし、個人が出来る事は微々たるモノ。それでもやらないよりは絶対やった方が良いワケで、夏の異常な暑さ等に危機感を感じ、私たち一人ひとりが地球温暖化を防止するため、そして将来のため今、何をしなくてはいけないのかをしっかりと意識して行動して行く事が必要になってくるのではないでしょうか。