「生命に溢れ、人が住める星は地球以外にない!」という考え方はひと昔前の話で、観測技術が進歩し、改めて宇宙の広大さを知ってしまった私たちにとって、絶対に地球環境に似た星が宇宙のどこかにあるだろう!?という考え方が当たり前になりつつあります。

だとしたら、広大な宇宙には地球と同じような星はどれくらいあるのか?知りたくなってしまうのですが、残念ながら私たちはまだ、地球以外に生命の住める星に出会えていません。
そんな中、地球のような星がどれくらいあるのか?と科学者たちが研究を続け、この程、一つの結果を見出したとの事です。

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多くの人は奇跡的な地球環境を”当たり前”だと思って暮らしている

下の写真は、アポロ宇宙船が月の上空から撮影した地球の姿です。

「Image Credit:NASA」
漆黒の闇に浮かぶ地球の姿を見て、ただ綺麗!と思うだけではなく、ある種の孤独感を感じたりはしないでしょうか?
つまりそれは、地球は私たちにとってかけがえのない存在であり、同時に唯一無二の存在であるというを本能的に感じ孤独感が湧いて来るのかも知れません。
ただ、普段、漆黒の宇宙に浮かぶ地球の姿を見る事の無い私たちは、普通に呼吸が出来て重力を感じる事が出来るこの環境を当たり前だと思っていますし、地球がかけがえのない存在である事すら感じていないでしょう。

「Image Credit:iStock」
確かに私たちにとって地球は唯一無二の存在である事は間違いなく、他の星に行って地球と同じように生活する事なんて不可能です。
実際、太陽系には地球と同じように、豊かな大気と水がある環境。そしてその環境から育まれた生命に溢れた世界などどこにも存在しません。つまり、少なくとも太陽系においては、地球という惑星環境は稀有な存在であり、奇跡的に生まれた星である事は間違いないのです。
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少しずつ見つかりつつある地球似の太陽系外惑星・・・でも?

宇宙に対する人類の観測史において、初めて太陽系外に惑星が発見されてから30年以上経過していますが、観測技術の進歩により次々と太陽系外惑星は発見され、今(2023年時点)では発見総数は5,000個を超えています。
そんな5,000個を超えた太陽系外惑星のうち、数十個は地球に似た岩石質の惑星ではないか?と推測されており、これからの詳しい調査でそれが本当に地球に似た惑星なのかが明らかにされて来るでしょう。

「Image Credit:Jack Madden/Cornell Universtiy」
ただ、地球に似ているのでは?と推測されている系外惑星のほとんどは、太陽よりもかなり質量が小さく温度も低い恒星(赤色矮星)で見つかっており、この恒星で見つかった惑星は主星(恒星)に非常に近い軌道を公転しているため、地球と月のように常に同じ面を相手に向けている潮汐ロックがかかっている事が考えられ、この事から、惑星が常に同じ面を主星に向けていればその面は常に昼間で熱せられて高熱になり、反対側は日光が当たらず常に夜となり冷え切ってしまうという劣悪な環境が予想され、生命生存には向かない可能性が示唆されています。

つまり、大きさや質量、そして地球のように主星(恒星)と惑星の距離が丁度良く生命が存在できる惑星系の空間であるハビタブルゾーンであっても、必ずしもその星が地球に似ているかは別であり、生命生存に適し、さらには人類が居住可能な星を探す事は相当難しいのでは?と考えられるのです。

「Image Credit:太陽系のハビタブルゾーン(高卒資格.comより)」

新説:地球そっくりの星は意外とたくさん宇宙に存在するかも?

現時点では地球に似た惑星は見つかっていませんが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者たちが、地球そっくりの惑星が形成されるメカニズムの研究を続け、その研究結果がこの程発表され話題を呼んでいるようです。

「Image Credit:iStock」
その研究結果は、豊富に大気や水を湛えている太陽系外惑星は、宇宙には意外とたくさん存在する可能性があるという、これまでの考えを否定するモノで、それはまで人類がそのような星を発見出来ていないだけで、もっと系外惑星の探索が進めば、必ず地球に似た惑星は発見出来ると示唆しています。

とは言っても、それは地球似の星がたくさん存在するという考えの根拠になるワケではなく、研究者たちはハビタブルゾーンに位置する惑星を想定した上で、水素が豊富な大気とマグマの海を持つ初期の地球に似た惑星が、特定の化合物でどのように反応を起こすかの数学的モデルを作成しその反応を調べたところ、大気中の水素が溶けたマグマに溶け込むと、酸素と化学反応を起こし水が形成される可能性があることを発見しました。

これまで、原始の地球にどうやって大量の水がもたらされたか?については、水を含む小惑星や彗星が地球に衝突した事だと考えられていましたが、この研究により外部(彗星など)から水がやって来たのではなく、”自前”で水が生成出来る環境があれば、その惑星には豊富な水で溢れる可能性があるという事を導き出した事になるのです。

しかし、前記したように、これまで見つかって来た地球似とされる多くの系外惑星は、潮汐ロックが懸念される赤色矮星系の惑星たちです。すなわち、潮汐ロックのかかった惑星に水が豊富にあったとしても、恒星からの熱で蒸発してしまう可能性もあるワケで、この考えが一概に希望を持てる結果なのか?は疑問が残るところではあります。
ただ、研究者たちの一人・ヤング教授は「宇宙の中で自分たちの立ち位置や視点を変えれば、今後の研究の進め方へのアプローチを変え、さらに地球を揺るがすような発見にたどり着けるかもしれない。」とも述べています。
つまり、視点を変えて観測研究を継続して行けば、いつかは地球外生命に出会える日はやって来るかも知れないという事なのか?
また、近年においてはジェームスウェブ宇宙望遠鏡等、超高度な観測機器も新しい発見をすべく宇宙に視点を当てていますので、近い将来、本当に地球を揺るがすような発見にたどり着け、将来的に人が住める”第二の地球”が見つかるかも知れません。
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