近年において宇宙観測技術は飛躍的に進み、太陽系内だけではなく太陽系外にもその観測の眼は向き、最近では太陽系外惑星の発見が相次いでいます。
そんな太陽系外惑星探査の中で「地球に似た惑星」も発見されており、気の早い人なんかは人類が移住可能な「第二の地球」か?などと言い、注目も集まったりもしていますが、果たしてこれらの「地球似の惑星」は本当に移住可能なほどの天体なのでしょうか?

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これまで見つかった地球似の系外惑星

1992年に初めて太陽系外惑星が正式に確認されてから30年以上経過した現在。6,000個近い系外惑星が見つかっており、その中で地球サイズでハビタブルゾーンに位置する「地球に似た惑星」は数十個確認されています。

「Image Credit:地球型系外惑星の想像図(Wikipediaより)」
これまで発見された地球型系外惑星の中で、生命存在が可能で人類居住も出来るかも知れないと注目された天体をいくつかご紹介しますと・・・

地球に最も近い地球型惑星「プロキシマ・ケンタウリb」

プロキシマ・ケンタウリbは、地球から約4.2光年離れた位置にあるプロキシマ・ケンタウリ(赤色矮星)のハビタブルゾーン内を公転している最小質量が地球の1.17倍の惑星ではないかと考えられています。

「Image Credit:惑星プロキシマbの想像図(Wikipediaより)」

潜在的に居住可能な太陽系外惑星と言われている「ティーガーデン星b」

ティーガーデン星bは、地球から約12光年離れた位置にある、ティーガーデン星のハビタブルゾーン内を公転している太陽系外惑星で、推測の範囲内ではありますが、気温が0~50℃の範囲にあり、最も温暖な地表環境は平均気温が28℃前後という生命が生息するには好条件が揃っている可能性があるとされています。

「Image Credit:ティーガーデン星系惑星の想像図(University of Göttingen, Institute for Astrophysicsより)」

7つもの地球型惑星が見つかった「トラピスト1」

地球から約40.5光年の位置にある、木星よりわずかに大きい程度しかない超低温赤色矮星「トラピスト1」には、7つの地球型惑星が見つかり大きな話題になりました。
その7つの惑星のうち、トラピスト1e、トラピスト1f、トラピスト1gの3つがハビタブルゾーンに位置する事が判明し、生命生存の可能性があると注目されています。

「Image Credit:NASA
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バイオマーカーが見つかった「K2-18b」

地球から約124光年離れた位置にある赤色矮星「K2-18」を公転している系外惑星「K2-18b」の大気組成を観測した結果、メタンと二酸化炭素以外に、生命活動と関連がある「ジメチルスルフィド」というバイオマーカーが発見されたと話題になりましたが、現在ではまだそのバイオマーカーが存在する事は不明だとし、今後の更なる調査が待たれるところです。

「Image Credit:惑星「K2-18b」の想像図(Wikipediaより)」

惑星表面に海があるかも知れない「TOI-715b」

地球から138光年離れた位置にある赤色矮星「TOI-715」を公転している系外惑星「TOI-715b」は、地球の約1.5倍の大きさのスーパーアースですがハビタブルゾーンに位置していると推定されており、惑星表面には海が広がっている可能性があるとされています。

「Image Credit:惑星「TOI-715b」の想像図(NASA/JPL-Caltech(」

地球に一番良く似た惑星と言われている「ケプラー1649c」

系外惑星「ケプラー1649c」は、地球から約300光年離れた赤色矮星「ケプラー1649」のハビタブルゾーンを公転する惑星で、地球とほぼ同サイズである事から「これまで発見された太陽系外惑星の中で最も地球に似ている」とされています。

「Image Credit:NASA」
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地球に似ていても実は似ていないかも知れない

地球に似た系外惑星として6つの惑星を紹介しましたが、実際は”似ていない”可能性があるのです。
その理由として挙げられる1つは、発見された系外惑星のほとんどは太陽より質量がかなり低い赤色矮星を公転するからであり、紹介した6つの惑星も全て赤色矮星を周っている惑星です。
赤色矮星は太陽とは違い、温度もかなり低く放つ光が赤みを帯びているため、もしそこに地球のような惑星が存在したとしても、昼間は地球のような明るいではなく、おそらくですが夕方のような薄暗い明るさで照らされているでしょう。

「Image Credit:ケプラー1649cの表面の想像図(NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo USより)」
また、赤色矮星のハビタブルゾーンは主星と惑星の距離が近く、主星に強い引力の影響を受け、惑星の片面が常に主星(太陽)側を向いてしまう”潮汐ロック”状態になっている可能性があります。
つまり、惑星の片面は常に昼間で、もう片面は常に夜側といった極端な環境になってしまうため、生命生存には不向きな環境になってしまう可能性があります。

さらには、主星(太陽)と惑星の距離が近い事で、主星の活動を大きく受けてしまう事も予想されます。

「Image Credit:NASA, ESA and D. Player」
赤色矮星は、表面活動が活発な事で知られており、頻繁に爆発的な太陽フレアが起こっている可能性もあるでしょう。このような環境であった場合、惑星には強烈な放射線が降り注ぎ、場合によっては大気さえも吹き飛ばしてしまう事も予想されます。
もし、赤色矮星に地球型惑星が存在したとしても、それは大きさと質量が似ているというだけで、実際の環境は地球とは似ても似つかない可能性が高いモノと思われます。
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地球に似ている惑星が見つかっても詳しい調査のしようがない現実

これまで見つかった地球に似た惑星は、近くても地球から4光年、遠い天体で数千光年も離れた場所に存在しており、今の人類の観測技術ではその詳細な情報を調べる事は不可能です。
すなわち、人類の観測能力で調べる事が出来るのは、大気成分やその惑星に水が存在し生命が居る可能性を探る事のみ。
仮にその惑星に生命がいる事が判ったとしても、どんな生物が生息しているのか?まではわからないでしょうし、ましてや何光年も離れた星に直接調査に行く事も出来ない観測的根拠を掴む事も難しいでしょう。
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