人類初の有人月面着陸の「アポロ計画」から半世紀以上。再び人類が月を目指す「アルテミス計画」は、既に始動している事をご存じの人も多いかと思います。

主に2020年代の10年間でスケジュールが組まれているこの計画は、2024年にはついに人を乗せた月往復の宇宙船が打ち上げられる予定となっており、この程、その乗組員の訓練がスタートしたとの事。
1972年のアポロ17号以降、実に51年もの行われて来なかった月への有人飛行訓練。今回はこの話題を中心にお送りしたいと思います。

Sponsored Link

初の有人飛行を目指すアルテミス計画のスケジュール

人類が再び月を目指す「アルテミス計画」は2017年からスタートしており、2022年には初の打ち上げとなった「アルテミス1」がテスト飛行を行い、月の周回軌道を周り無事に地球に帰還し成功をおさめています。

「Copyright ©:NASA Johnson All rights reserved.」
「アルテミス1」には人は乗っておらず、いわゆる無人での月周回ミッションでしたが、2回目のミッションである「アルテミス2」では4名の宇宙飛行士を乗せて月に向かう事になり、予定では2024年11月に打ち上げられる事になっています。

そこで気になるのが「アルテミス2」のミッションスケジュールですが、「アルテミス2」も搭乗員を乗せて打ち上げられますが2回目のテスト飛行となり、月まで4日をかけて行き、月を一周したのち、帰りも4日で地球に戻って来るというプログラムになっています。

「Image Credit:「アルテミス2」の計画概要図(NASAより)」

初の有人飛行の搭乗員に選ばれた4人の宇宙飛行士

スケジュールどおりに行けば、2024年11月に月に向けて飛び立つ事になっている「アルテミス2」。
この計画の搭乗員に選ばれたのが以下の4人の宇宙飛行士たちです。

「Image Credit:Wikipedia」
この選出された4人の宇宙飛行士を紹介すると。
上写真中央に座るのが、アルテミス2の船長を務めるアメリカ海軍出身のリード・ワイズマン氏(1975年生)。
写真中央後ろが、SpaceX社の宇宙船クルードラゴンが初の有人飛行を行った時にパイロットを務めたビクター・グローバー氏(1975年生)。
写真左側がNASAの宇宙飛行士でミッションスペシャリストのクリスティーナ・コック氏(1979年生)。
写真右が同じくミッションスペシャリストでカナダ宇宙機関(CSA)所属の宇宙飛行士ビクター・グローバー氏(1976年生)。
ご紹介したように彼らは全員、前回のアポロ計画で最後に月面に降り立ったアポロ17号(1972年)より後に生まれた、人類の月面着陸をリアルタイムで見た事のない世代の宇宙飛行士たちです。

また、アポロ計画で月ミッションに参加した宇宙飛行士は皆、白人男性でアメリカ軍人でしたが、今回の「アルテミス計画」では女性や黒人といった有色人種も、月ミッションに選ばれているところが前回と異なるところです。
Sponsored Link

アポロ8号と同じプログラム?のアルテミス2

今回の「アルテミス2」のテスト飛行は、前回のアポロ計画で行われた「アポロ8号」と同じようなプログラムで実施される事になっています。
アポロ8号は、人類初の月面着陸を行う事になるアポロ11号に向けてのテスト飛行を担う役目で、1968年12月に打ち上げられました。

「Copyright ©:NASA All rights reserved.」
現在とは科学技術が格段に落ち、計画の核となり月に行く宇宙飛行士たちの命を握る、最高水準のコンピュータ性能もスマホ程度の性能しかなかった時代において、人を乗せて月に行くアポロ8号の打ち上げは、無謀ともいえるぶっつけ本番で行われました。

そんな状態の中でアポロ8号は月を10周周回し見事に成功、無事に地球に帰還したワケですが、アルテミス2はスーパーコンピュータのサポートのもと、ほぼ自動制御で月を1周し地球に帰還する事になっていますが、それでも50年以上の時間を経て行われるこのミッション。油断大敵な事は当然の事で、選ばれた4人の打ち上げたちは、月周回ミッションで必要な知識や、飛行中に遭遇するかも知れない異常事態等に冷静に対処できるよう能力を身につける訓練を行うと言います。

アルテミス2の後はいよいよアルテミス3の本番へ

アルテミス2での有人月周回ミッションが成功をおさめた場合、次はいよいよ本番である有人月面着陸の「アルテミス3」がミッションスタートします。

アルテミス3は予定では2026年から2027年に行われる事となっており、搭乗員は新たに選出されアルテミス2と同じ4人で月へ向かう事になっています。
この時も、4人のうち最低1人は女性が選ばれると予想されますが、その女性飛行士が月面に降り立つか?どうかは今のところ不明ですが、おそらくはアルテミス(ギリシャ神話の月の女神)の名を意識して?女性が月面に立つ可能性は大いにあるかと思います。

「Image Credit:「アルテミス3」の計画概要図(NASAより)」
このアルテミス3では、水(氷)が存在しているとされる月の南極地域に着陸し、最大で4回の船外活動を行い、約1週間月面に滞在したのち地球に帰還する計画になっています。

「Image Credit:月面で船外活動をする「アルテミス3」のクルー想像図(NASAより)」
そしてその後はアルテミス4、アルテミス5へと続き、最終的には2030年代前半までに「アルテミス7」が実施されようとしています。

なお、アルテミス3以降のミッションについては、詳細が分かり次第このサイトで順次ご紹介して行きます。
Sponsored Link