人間による地球環境の破壊、そして増え続ける世界人口。これらの問題を解決すべく検討されている一つのプランに火星移住計画があり、人類はその火星に向け有人探査を着々と進めており、2030年代にはそれが実現しそうな勢いも見られています。
しかし、人類は火星に本当に行けるのでしょうか?そして本当に移住して住めるようになるのでしょうか?
今回は、この”第二の地球”として候補に挙がっている火星について、その実現性について調べてみたいと思います。
何故、人類は火星に行こうとしているのか?
地球から火星まで最短で約5,500万キロの距離があり、地球のスグ外側を公転する隣りの惑星でもあります。「Image Credit:iStock」
火星は地球の隣りの惑星である事もあり、1960年代から多くの探査機が送られ、その探査ミッションは40回を超えており、これほどまでに探査が行われている惑星は火星以外になく、言わば火星は人類の注目の的になっている天体である事は過言ではないでしょう。
では何故、火星に注目が集まっているのでしょうか?
その大きな理由となっているのは、太陽系惑星の中で火星の自然環境が地球に最も近い事にあり、生命の痕跡があるのか?の期待と、将来的に火星に移住する事が可能ではないか?等と考えられている事から、人類はこれまで数多くの探査を実施し、近い将来、人類を火星の地に送り込もうと着々と準備を進めているのです。
地球に近い火星の自然環境とは?
火星の自然環境が近いとは言っても、地球とは全く異なる環境で荒涼たる赤い大地が広がる不毛の惑星です。「Image Credit:火星探査ローバー「キュリオシティ」が撮影した火星の地表(NASA/JPLより)」
地表の表面温度(平均)はマイナス50度前後、気圧は地球の約100分の1程度で重力は地球の約3分の1。残念ながらこの環境では生物は生息できず、実際、これまで多くの探査が行われて来ましたが、生命の痕跡は見つかっていません。
ただ、火星の環境は地球と似ているところもあり、1日の長さは地球とほぼ同じで約24時間39分。
地軸も地球と似た傾きを持っており、この地軸の傾きにより火星にも四季があるようです。
「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
人類が火星に行くとどうなるのか?(火星までの道のり)
これから人類が行こうとしている火星。ですがこの惑星にたどり着くまでの道のりは過酷でかなりの困難が待ち受けているでしょう。ではその過酷な道のりとはいったいどんなモノなのでしょうか?
火星にたどり着くまで半年以上かかってしまう
地球と火星は同じ惑星で互いに太陽を公転しているため、地球と火星は接近したり遠く離れるというサイクルを繰り返しており、前記もしましたが公転周期の関係で、地球と火星の最接近時(衝)は、最短で約5,500万キロ。最も離れた時(合)は約4億キロにもなってしまいます。すなわち、人類が火星に向けて地球を出発するタイミングは、2年2カ月毎に訪れる地球と火星の接近時に限定されてしまい、それでも現在の宇宙船の速度では、火星に到着するまで半年以上はかかってしまい、さらに、火星から地球に帰還する帰路に着くには、次の接近の時まで待たないと行けなくなるのです。
長い火星までの航行期間は身体に深刻な影響が懸念される
地球と火星の往復にかかる航行は約1年。そして地球に帰還出来るようになるまで火星滞在期間は約1年。つまり、宇宙飛行士たちは最低でも2年以上は宇宙で過ごさなくてならないという事になり、その間、高エネルギーの宇宙線(放射線)を浴び続ける事になります。もちろん、宇宙飛行士たちが搭乗する宇宙船は放射線対策が施されているでしょうが、それでも浴びる放射線をゼロにする事は出来ないでしょうし、被ばくするリスクもあるかと考えられます。
「Image Credit:Depositphotos」
また、長期間、狭く閉鎖されてた空間(宇宙船内)で過ごす宇宙飛行士にとって精神的なストレスも相当ある事が想像出来、さらには、人間が長期間、無重力や火星の低重力環境に置かれた時に起こる身体への弊害(骨や筋力等の衰え)も深刻になってしまう事が懸念されます。
人類が火星に行くとどうなるのか?(火星地表への着陸と離脱)
火星までの長い道のりを経て、いよいよ火星の地表へと降り立つとなった時、いったいどうやって地表に着陸するのでしょうか?火星の大気は地球の約100分の1程度しかなく、火星の地表に着陸する際、減速するために必要な空気抵抗を得る事が出来ません。つまり、パラシュートで降下しても空気が薄過ぎるため、地球程の減速効果は期待できないため他の方法で着陸するしかないのです。
ではどのようにして人を乗せた宇宙船が火星の地表に降り立つのでしょうか?
その方法のひとつとして現在検討されているのが、宇宙船が火星の大気圏内に突入した際、機体を水平にしグライダーのように大気圏内を滑空しながら少しずつ減速し、地表近くまで降下した時点で機体を垂直にして逆噴射で着陸するという方法です。
「Image Credit:ディスカバリーチャンネルYouTUBE」
この方法で、宇宙船を長い時間水平飛行させれば、火星の大気が薄くても十分な減速が可能だと考えられていますが、技術的にはかなり難しく、やはり火星に着陸するには危険を伴うモノと言わざるを得ないでしょう。
また、着陸に成功しても地球に帰るためには火星の重力を振り切って離脱しないと行けません。
離脱方法は、ロケット噴射になるでしょうが、火星の重力が地球の3分の1とはいえ、噴射に必要な燃料はかなり必要ですので、これを遠い火星の地まで運ぶには相当なコストが必要になる事が想定されます。
人類は火星で暮らす事が出来るのか?
人類が今後、火星の地に移住し住むとなった時、この惑星での暮らしはどうなるのでしょうか?この続きについては長くなりますので、次回詳しく解説したいと思います。