いよいよ「人類は再び月面へ!」約半世紀ぶりに宇宙飛行士を月面へ送る計画、NASAが計画する「アルテミス」が発動する模様です。
そのアルテミス計画のスケジュールが発表になり話題を呼んでいます。
21世紀となり、前世紀とは技術の進歩も格段に上がった現在において前回のアポロ計画とはどう違うのでしょうか?アルテミス計画のスケジュールの流れを調べてみました。
NASAのアルテミス計画とは?
「アルテミス計画」は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が約半世紀ぶりに実行しようとしている有人月面着陸計画の事で、予定では2024年までに行われる事になっています。「Image Credit:アルテミス計画ロゴ(NASAより)」
新たな月面着陸計画の名称になった「アルテミス」とは、ギリシャ神話に搭乗する月の女神の名前で前回のアポロ計画の”アポロ(アポロン)~太陽神”とは双子の関係にあると言います。
ちなみに、有人月面着陸の名前を女神にした理由のひとつには、今回の計画では女性の宇宙飛行士も月面に送り込む目的もあるという意味もあるようです。
アルテミス計画のスケジュール
先日NASAが発表したアルテミス計画のおおまかなスケジュールは以下のとおり。- 2020年:新型の宇宙船「アルテミス1」(無人宇宙船)で月周回飛行を実施。
「Image Credit:アルテミス1の飛行マップ(NASAより)」 - 2021~2023年:「アルテミス2」(有人宇宙船)でアルテミス1と同じ月周回飛行を実施。
- 2022~2024年:小型宇宙ステーション「月軌道プラットフォームゲートウェイ」を建設するための資材を月周回軌道上に運搬。
「Image Credit:月軌道プラットフォームゲートウェイ(NASAより)」
月軌道プラットフォームゲートウェイは、アメリカや日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の他、カナダ宇宙庁(CSA)、欧州宇宙機関(ESA)、ロシア国営宇宙企業ロスコスモス等の国際協力のもとで建設されます。 - 2024年:「アルテミス3」で有人月面着陸を実施。
このようなスケジュールで、2024年までに計8回の月ミッションを、アメリカのスペースⅩ社等、民間宇宙開発企業も参加し実施する予定との事であり、尚”月の女神”計画のとおり「アルテミス3」での有人月面着陸では初の女性宇宙飛行士もミッションに参加する予定だと言います。
今度の有人月面着陸ミッションの目的
半世紀前のアポロ計画での月面着陸はアメリカと旧ソ連~大国同士の技術競争的な要素があり、どちらの国が先に月面に到達できるか?という目的が主なモノでした。しかし今回は、あくまでも月面の科学的及び資源調査が目的であり、そして月面基地の建設を目指すというもので、2028年までに月面基地建設予定地を選定し以降に建設を開始するとの事ですが、ただ、最初の月面基地はSF映画に登場するような大きな建物的な施設ではなく宇宙飛行士が長期滞在出来る簡易的な基地になるようです。
「Image Credit:初期の月着基地想像図(Wikipedaより)」
月面基地で行うのは、月資源の本格調査や科学的な調査、実験設備設置等に加え、今後人類が月面へ進出するための資源採掘、インフラ設備の建設等を行う予定だと言います。
また、月面基地を建設する事によって、火星等の他の天体での基地建設の技術、ノウハウを習得する目的もあるとの事のようです。
人類の宇宙進出の拠点となる月軌道プラットフォームゲートウェイ
今回の有人月面着陸計画と同時進行するのが、月周回軌道上に小型宇宙ステーションを建設する「月軌道プラットフォームゲートウェイ」。この宇宙ステーションの目的は、現在運用中の国際宇宙ステーション(ISS)の任務を引き継ぐと同時に”プラットフォーム”の名のとおり、月面、そして火星等に人類が進出する拠点にする事が大きな目的となります。
「Image Credit:JAXA資料より」
この宇宙ステーションが完成すれば、月面基地の規模を拡大するための資材確保地、2030年代に予定されている有人火星ミッションの拠点となる予定もあり、地球から火星に向けてロケットを打ち上げるよりこの宇宙ステーションから宇宙船を送る方が効率も良く、何よりコスト面でも大きな軽減になると考えられています。
さらに、現在人類は地球の資源のみに依存していますが、月資源を採掘し地球に運搬する中継基地としても今後利用できるのでは?とも期待されているようです。
いずれにせよ、今度の月面着陸計画は人類の宇宙開発にとって大きな躍進になる事は間違いなく、もしかしたらそう遠くない将来、私たち一般人も月軌道プラットフォームゲートウェイを利用して月面や火星等に旅行に行ける日が来るのかも知れませんね。