夜空に長い光の尾を引く彗星
その雄大な姿には誰もが魅了されるほど美しく神秘的で、それが故に時には恐怖を感じるという人もいるといいます。
ですが、肉眼で観測出来て魅了されるような彗星はなかなか現れてはくれませんが、実は市販の天体望遠鏡や双眼鏡で観測できるような彗星は、年間数個は地球に接近し観測が可能な事をご存じでしょうか。

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記憶に新しい北半球で大迫力の姿を見せた大彗星

記憶に残っている人も多いと思いますが、1996年に地球に約1,600万キロまで接近した百武彗星は、まさに大彗星そのもので人々を魅了してくれました。
また、この彗星は日本人が発見したこともあり、日本中でも大きな話題になったことを良く覚えています。

「Image Credit:百武彗星(Wikipediaより)」
さらに、1997年のヘール・ボップ彗星も話題になりましたが、それ以降、北半球で観測出来た大彗星は現れていません。

「Image Credit:ヘール・ボップ彗星(Wikipediaより)」

大彗星になり損ねたアイソン彗星

さらに記憶に新しいのが、2013年に太陽に大接近したアイソン彗星ではないでしょうか。
この彗星が発見された当時、今世紀最大の巨大彗星になる!と大いに期待されたのですが、残念ながら大彗星にはなれませんでした。
原因は、あまりに太陽に近づき過ぎた事と、彗星の本体(核)がモロかったためか?近日点通過時に崩壊、消滅してしまいました。
「2013年12月1日 アイソン彗星消滅」

「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」
もし、アイソン彗星が無事近日点を通過していたなら、私たちが一生に一度観れるかどうかわからないほどの巨大彗星になっていたかも知れません。
その事を思うと非常に残念です。
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毎年訪れる双眼鏡でも見れる彗星たち

肉眼で見れるような大彗星は数十年に1度程度だと言われていますが、天体観測が素人の方でも市販の天体望遠鏡や双眼鏡を使う事で、雄大な尾を引く姿が見れる彗星は年間に数個ほど訪れています。
例えば、2016年を例に挙げると、1月から2月にかけてカタリナ彗星(C/2013 US10)を観測することが出来ました。

「Image Credit:カタリナ彗星(C/2013 US10)(せんだい宇宙館より)」
このときのカタリナ彗星は、明け方の東の空に現れ5~6等級ほどの明るさで、双眼鏡でもなんとか観測できるほど輝いていました。
さらに、5月から6月にかけてはパンスターズ彗星(C/2013 X1)が到来。
こちらも明け方の東の空に現れ、5等級まで明るく見ることが出来ました。

「Image Credit:パンスターズ彗星(C/2013 X1)(AstroArtsより)」
このように、肉眼で見ることが出来る大彗星ほどの迫力はありませんが、リアルタイムで彗星の姿を捉えるチャンスは、ほぼ毎年のように訪れています。
最近ひそかにブームになっている宇宙・天体観測。
特に女性が夜空を眺めて楽しむことを「宙ガール」などと呼んでいますが、彗星が訪れる時期をチェックしておくと天体望遠鏡など高価な観測機器を買わずととも双眼鏡さえあれば、より楽しい天体観測ができるのではないでしょうか?
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