知らない人も多いかも知れませんが、月は少しずつ地球から離れ遠ざかっています。
この事実を知らされたアナタは、「月が地球の衛星じゃなくなるって事?」と思ってしまうかも知れません。
果たしてそうなのでしょうか?そして月がドンドン離れていった事で地球への影響はどうなるのか?
その事についてここでは解説して行きたいと思います。

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月は少しずつ地球から離れている現実

地球と月との距離は平均で約38万キロ。しかし、この距離はわずかですが毎年3.8センチずつ広がっており月は地球から離れて行っています。

「Image Credit:Pngtree
年に数センチとずつ地球との距離が離れて行っていますので、現時点では影響はなく気にする必要もないのですが、月がこのまま地球から遠ざかっていってしまったら、いつかは地球の衛星軌道から外れてしまうのではないか?など心配になってしまうかも知れません。
でも心配する必要はありません。確かに月は地球から遠ざかりつつありますが、これによって月が地球の衛星軌道から外れるワケではなく、半永久的に地球の衛星として存続し続けてくれるのです。

月が地球から離れている原因はなぜ?

月が地球から少しずつ離れていっている原因。それは地球の自転エネルギーによるモノであり、地球の自転速度が月の公転速度より速いために起こってしまう現象なのです。
地球の自転速度は赤道付近で時速約1,700キロ。すなわちこの速度で地球1周約4万キロを24時間で一回りしまうワケですが、これに対し月の公転周期は約27.3日です。
これによる地球の自転運動と月の公転速度によって起こる回転エネルギーは「地球と月との潮汐摩擦」というものが大きく関係して来ます。

「Image Credit:小学館の図鑑 NEO地球より」
ご存じの方も多いかと思いますが、上図↑↑のように地球の海の潮の満ち引きは月の引力で引っ張られる事によって発生します。そしてここに地球の自転が加わるのですが、月の公転速度は地球の自転より遅いため、地球の自転は月に引っ張られてしまい、結果としてその摩擦(潮汐摩擦)で地球の自転にブレーキがかかることになり、ほんのわずかではありますが地球の自転は少しずつ遅れて行ってしまう事になります。一方、地球の自転速度が遅くなれば、その反動で逆に月の公転速度が増し、その結果、月が地球から少しずつ離れていく事になるのです。

ここまでの解説が良くわからなかったかも知れません。補足として類似解説?をしている動画を見つけましたので参考にしていただけると幸いです。


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月がこのまま離れていったら地球はどうなるのか?

前記もしたように、月は潮汐摩擦によって毎年3.8センチずつ地球から遠ざかっています。この事により、今後地球には何かしらの影響が出て来る事が考えられます。
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1日が24時間じゃなくなる!?

地球と月との潮汐摩擦により地球の自転速度にブレーキがかかってしまい自転が遅くなると、当然ながら1日が今よりもっと長くなってしまうでしょう。
こうなった場合、私たち人類を含めた地球の生物の生態系に大きな影響が及ぶ事は避けられません。

潮汐力が弱くなり潮の満ち引きも低下する!?

まず考えられる地球への影響は潮の満ち引きです。
月が地球から離れて行けば行くほど月の潮汐力は小さくなり、その影響で潮の満ち引きも低下して行く事でしょう。
潮の満ち引きは海の対流に大きく影響しており、影響で海流が変わってしまったり、場合によっては海流が止まり、海自体が撹拌されなくなり生態系に大きな影響を及ぼす可能性が生じ、同時に大気の対流にも悪影響が出てしまい、地球の気候変動が大荒れになってしまう危険性があります。

「Image Credit:iStock」

地球の自転軸の傾きが変わってしまう!?

月が地球を引っ張る力は、現在の地球の自転軸の傾き(23.4度)を固定している役割も果たしてくれています。

「Image Credit:Wikipedia」
つまり、月が地球から遠ざかってしまうと地球を引っ張る力も弱まり、地球の自転軸がブレ始めてしまう結果を生んでしまうかも知れません。
となった場合、春夏秋冬といった季節の巡りも無くなってしまい、同時に生態系に大きな影響も出てしまうでしょう。

このままだと月は地球の衛星軌道から外れてしまう?

上記で挙げた、月が地球から遠ざかる事で起こってしまう現象は、実際には数百万年後以降になると思われ現時点でその心配をする必要はないでしょう。

でも気になるのは、このまま月が地球から離れ続けたらそのうち地球の衛星軌道から外れてしまうのでは?という心配も出て来るかも知れません。

ですがおそらくはその心配も不要でしょう。
何故なら、地球と月との潮汐摩擦の影響は現在の月の軌道が40%程大きくなるところまで来ると、これまで遅くなり続けていた地球の自転速度は月の公転速度と同じになって摩擦の影響が無くなり、同時に月もそこの軌道位置で止まるであろうと考えられています。

またこの時、地球の自転速度はかなり遅くなっており、おそらくは1日が50日ほどの長さになり、月の公転周期も50日程になっていると思われますが、このような状態になるのは数十億年後の未来ではないか?と推測されていますので、私たちが今どうこと心配し一喜一憂する必要などないのです。
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