またまた宇宙に関する面白い動画を見つけました。
動画は、太陽系にあるそれぞれの天体に行きその重力下でジャンプするとどれくらい飛べるのか?をシュミレーションした動画が面白かったのでご紹介します。
この動画を観る事で、地球以外の太陽系天体はどれくらいの重力があるのかが良くわかるようになっており、個人的にも非常に興味が持てましたので解説と共にご覧いただければと思います。

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太陽系で地球と同じ重力を持つ天体は存在しない

一般的に私たちが住む地球上の重力はどれくらいなのでしょうか?
これを仮に物質を落とした時に、それが単位時間当たりにどれくらい速く落ちるかを数値化(重力加速度)すると約9.8m/s²となります。つまり、地球上での空気抵抗を無視した場合の物質の平均落下加速度は毎秒約9.8mであり、単位で表すと英語で重力を意味するGravityの頭文字を取ってGとし、重力加速度の9.8m/s²を1Gとなり私たちは普段からこの1Gの重力下の中で生活しているのです。
ちなみにこれを正確に表すと 1.0 G = 9.80665 m/s² になりこれを「表面重力」とも呼びます。

「Image Credit:いらすとや」
しかし、この1Gを標準値として使えるのはあくまでも地球上での事。
例えば、月であれば地球の重力の6分の1程しかなく、今後人類の移住先の候補地となっている火星においても3分の1ほどで、月や火星に限らず太陽系のどの天体に行っても地球と同じ重力の星って存在しないのです。
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太陽系の他の天体でジャンプするどうなる?

太陽系天体で地球と同じ重力を持つ天体が存在しない事を、わかりやすく解説してくれている動画があります。
それは、アメリカの科学YouTubeチャンネル「BRIGHT SIDE」が公開した動画で、地球の重力下で50センチのジャンプが出来ると仮定した場合、他の天体ではどれくらいジャンプが出来るのか?をCGアニメでシュミレーションしています。

「Copyright ©:BRIGHT SIDE All rights reserved.」
では、この動画に登場している太陽系天体の重力とその環境について簡単ではありますが解説して行こうと思います。

太陽に一番近い水星では高くジャンプ出来る

太陽系で最も太陽に近い距離にある惑星・水星。

「Image Credit:Wikipedia」
その平均距離は太陽から約5,800万キロ。地球と太陽の平均距離が約1億5,000万キロですから、いかに太陽に近いかがわかります。
また、水星は太陽系の惑星で最小で大きさは地球の3分の1程度で表面重力は3.7 m/s²
地球の半分以下の重力での水星でジャンプすると1.2メートルと結構高く飛べますが、重力は小さいですが太陽に近いだけあって環境は過酷で、太陽光が当たる場所は摂氏800度にも達し逆に日陰に入るとマイナス280度まで下がってしまいます。

超過酷環境の金星でジャンプは無理?

続いて太陽系で2番目に太陽に近い惑星・金星。
金星はサイズや質量も地球に似ているため、地球の重力1Gに近いのか?と思ってしまうかも知れません。

「Image Credit:Wikipedia」
そのため表面重力は8.87 m/s²と地球の1Gに迫り、計算上では60センチ飛ぶ事が出来ますが、これはあくまで空気抵抗を無視した場合の数値であり、実際の金星の環境は巨大な温室効果が造り出す超過酷な世界であり、表面温度は摂氏500度近く、気圧においては地球の海中900メートルに相当する90気圧。つまり、仮に人が金星の地に降り立ったとしても60センチのジャンプどころか高い気圧で押し潰されてしまうでしょう。

月で滞在は出来ても暮らすのは困難か?

私たちにとって最も身近な天体と言える地球の衛星・月。月には再び人類が降り立ち、その地を踏む事になるでしょう。

「Image Credit:アルテミス計画での月着活動イメージ(NASAより)」
そんな月の表面重力は1.62 m/s²。地球の6分の1ほどしかなく2.7メートルほどジャンプ出来ます。
そんな月面では人類が降り立つ目的に月面基地を建設する計画があります。
となると、長期間月面に滞在するという事になるかも知れませんが、6分の1ほどの重力しかないと長期間の滞在で人の身体に異変が起こる可能性があります。
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火星の低重力が人類移住計画を阻む?

太陽系天体で最も注目されていると言って良いのが火星。
その理由は環境が地球に最も近く、希薄ですが大気があり水も存在し1日の長さも地球と同じ24時間と、将来人類が移住するのに適している可能性があると言われているからです。

「Image Credit:火星探査車キュリオシティが撮影した火星地表(NASA/JPL/MALIN SPACE SCIENCE SYSTEMSより)」
火星の表面重力は3.721 m/s²と、地球の半分以下の重力で1.2メートルほどジャンプ出来ます。
そのためこの地に人類が住むとなると、この弱い重力が永住を阻む原因となるでしょうし、その理由は前記した月での生活と同様になるでしょう。

火星の衛星だけどかなり小さい低重力の星・フォボス

動画では火星の第一衛星・フォボスについても触れています。
フォボスは直径が20キロメートル超。非常に小さな天体で、表面重力は0.0057 m/s²ほどしかありません。
動画でも解説していますが、もし超低重力のフォボス地表でジャンプしてしまうと、再び地表に降りる事はなく宇宙空間に飛び出してしまうでしょう。
またフォボスは火星に非常に近い軌道を公転しており、距離は約6,000キロメートル程。

「Image Credit:火星低軌道を周る衛星・フォボス(Wikipediaより)」
これだけ火星に近い距離を公転するフォボスは、いずれロッシュ限界に達しバラバラに破壊されるか火星に落下する運命にあると考えられています。

低重力だけど人類の移住先候補のケレス

火星と木星の間に位置する小惑星帯(アステロイド・ベルト)天体の1つで、準惑星に分類されるケレス。
ケレスの表面重力は0.27 m/s²。低重力のため16メートルもジャンプ出来ます。
これまでの観測研究でケレスの地下には大量の水が存在する事が判っており、小惑星帯という位置関係から資源も豊富にある事から、将来の人類移住計画の候補にもなっている天体です。
ですが、ケレスの地表に移住するワケではなく、周回軌道上に人工居住地~スペースコロニーを建造しようとする計画のようです。

「Image Credit:Pixabay」
以上、この動画解説part1になります。
part2は、木星以降の外惑星でジャンプしたらどうなるのか?をご紹介したいと思います。
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