全天で無数に広がる星々の中で特に明るい星は一等星です。
そんな一等星の中で今最も話題性が高いのが、オリオン座のベテルギウスではないでしょうか。
話題の理由は、このサイトでも何度も取り上げているベテルギウス超新星爆発の可能性であり、現時点では爆発の兆候は現れていませんがほぼ間違いなく爆発を起こすと考えられているこの恒星。
注目されているだけに、観測調査を進めるに当たり様々な事がわかって来たようです。

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気になるベテルギウスの超新星爆発はいつになるの?

夜空を見上げれば、明るい星はたくさん輝いているように見えますが、実は一等星の数は全天で21個しかありません。
もちろん全天ですので、私たちが見る事が出来ない南半球の星々と合わせてもそれだけしかないのです。
そんな数少ない一等星を2つ(ベテルギウスとリゲル)も持つオリオン座。

「Image Credit:Y!きっず図鑑Yahoo!きっず
中でもベテルギウスは恒星としての晩年期を迎え、もう間もなくその寿命が尽きようとしています。

太陽の約20倍もの巨大な質量を持つベテルギウスの最期は、超新星爆発という大爆発を起こし、恒星としての一生を終える事が予想されており、それが起きるは明日でもおかしくないとされています。

「Image Credit:iStock」
しかし、もうすぐ爆発すると期待?されながらも未だにその兆候は見えて来ず「もはやベテルギウスの超新星爆発は無いんじゃないか?」ともウワサされていますが、宇宙の時間レベルの考え方は非常にアバウトで幅広く、”間もなく”は明日でもあり1年後でもありまた数百年~数万年の広い時間の範囲を指します。
また、地球からベテルギウスまでの距離は約530光年あり、つまり、光の速さでも530年かかるワケですから、既に超新星爆発を起こしていてもその光がまだ地球まで届いていない。という見方も出来るのです。
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もしベテルギウスが超新星爆発を起こしたら地球はどうなるの?

おそらくは、私たちが生きている時代に超新星爆発を起こす事はないだろうと考えられているベテルギウス。ですが、実のところいつ超新星爆発を起こすかどうかについては誰にもわかりません。
なので、もしかしたら私たちが生きている時代に爆発が起こるかも知れません。

ではもし、ベテルギウスが超新星爆発を起こしたらどうなるのでしょうか?
超新星爆発は太陽が放出するエネルギーの数億年分を一瞬で放つとされており、その破壊力は凄まじく爆発の衝撃波だけでも数光年~数十光年先まで及ぶと考えられています。
幸運な事にベテルギウスから地球は500光年以上を離れていますので爆発による直接的な被害はないですが、同時に発生するガンマ線バーストの射程は長くこれほど距離があったとしてもガンマ線バーストの影響は避けられないと考えられています。

もし、ガンマ線バーストが地球に直撃したらどうなるのか?その影響は地球にとって壊滅的で、大気のオゾン層の破壊や大規模な気候変動を引き起こす事が考えられます。

【ガンマ線バーストの影響をわかりやすく解説した動画】


「Copyright ©:Kurzgesagt – In a Nutshell All rights reserved.」
ガンマ線バーストは恒星の両極から直線的に放出される事がわかっていますので、ベテルギウスの極方向は太陽系から20度ほどズレていますので影響はないものとされていますし、必ずしも超新星爆発でガンマ線バーストを放出するとは限りません。
ただ、この距離で超新星爆発が起こった場合、眩いばかり輝きは地球まで届き、夜間はもちろんの事、昼間でも太陽が2つ出現したような光景を数カ月の間見る事が出来るでしょう。

「Image Credit:パリの街を照らすベテルギウスの超新星爆発(Youtubeより)」

歪なカタチの赤色超巨星に成長しているベテルギウス

恒星と言えば太陽のように燃えるように明るく輝く球体の天体を思い浮かべます。
もちろん以前のベテルギウスもそうでしたが、晩年を迎えたこの星は巨大に膨れ上がり、仮にベテウギウスを太陽の位置に置き換えると、その大きさは木星の公転軌道に達するほど巨大化しています。

「Image Credit:mail Onlineより(※ 左下0.015″は太陽と地球の距離である1天文単位を表します。」
またその姿は、上図でもわかるように球体ではなく左側が突き出たような歪なカタチは、ベテルギウスが巨大化する事により恒星内部の密度が低くなった事で内部のガスの対流が変異し、一部分が沸き上がって形成されたものと考えられています。

「Image Credit:サイエンスZERO(NHKより)」
このように異常に巨大化し形状も変異した恒星ベテルギウス。いずれにせよ、不安定な状態にある事は間違いなさそうです。

新説?ベテルギウスは合体していた?

科学者たちも注目し観測研究が進められている巨星・ベテルギウス。
そんな研究が進む中で発表されたのが「ベテルギウス連星合体説」。
これは、ベテルギウスはもともと連星であった可能性があるとの指摘があり、本来のベテルギウスの質量は太陽の15~17倍程度であり、しかし、晩年になり赤色超巨星に姿を変える中で、近くにあった連星の伴星を飲み込み合体。これにより質量も20倍ほどに増大していったのではないか?との考えのようです。

「Image Credit:ベテルギウスとその周辺の赤外線画像(ESA / Herschel / PACS / L. Decin et al.より)」
この説を検証するために科学者たちはシュミレーションを行っており、巨大化したベテルギウスに伴星が取り込まれ自転速度も加速。
秒速約5キロという高速で回転している事も示され、この合体プロセスはベテルギウスに限った事ではなく、むしろ宇宙では頻繁に起こっている現象である可能性も示唆されています。
なお、上画像の解説ですが、ベテルギウスは秒速30キロという速さで宇宙空間を移動しています。
そのため、進行方向に磁気圏と周囲媒質との境界面である弧状のバウショックが広がっているのがハッキリとわかります。
ちなみに、私たちの太陽も時速約8万3,700キロという速度で銀河系の中を移動しており、ベテルギウスより規模は遥かに小さいですがバウショックも存在しています。
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