先日テレビで放送されていた「中性子星が太陽系に接近して地球に衝突したら?」というテーマ。
実はこの脅威が、今から約75年後に起きる可能性があるという噂が流れているようなんです。
強烈な重力を持つ中性子星が太陽系に接近したら、地球などひとたまりもなく絶滅、消滅するという物騒な噂。これって何を根拠に言っている事なのでしょうか?そして、本当に中性子星が75年後に太陽系に接近するのでしょうか?
中性子星は実際に存在するの?
中性子星は実在する天体です。この天体が誕生する要因となるのが、私たちの太陽よりも遥かに質量の大きな恒星が、寿命を迎えた時に起こる重力崩壊・超新星爆発だと考えられています。
巨大な質量の恒星が超新星爆発を起こした後に、超高密度で超高温の核に中性子が残ると考えられ、それが中性子星だと言います。
「Image Credit:中性子星の想像図(Mark Garlick/University of Warwick)」
ちなみに、中性子星は非常にコンパクトな天体で、直径が20~30キロ程度と小惑星並みだと考えられています。
しかし、小さくてもその破壊力(重力)は凄まじく、地球では数グラム程度の物質も、中性子星では数億トンにもなるほどの強い重力が働くと想像されます。
なお、中性子星は高速で回転していて可視光線、電波、X線を絶え間なく放出しています。
その回転する中性子星の事を別名・パルサーとも呼び、その回転運動から”宇宙の灯台”と称されることもあります。
また、西暦1054年に超新星爆発を起こした恒星の残骸である「かに星雲」の中心部には中性子星が確認されています。
「Image Credit:かに星雲(Wikipediaより)」
75年後に中性子星がやって来るという根拠
ところで、先日テレビで放送されていた、75年後に中性子星が太陽系に大接近し地球が滅びるという話になりますが、まずはこの↓動画をご覧ください。この噂について、私なりにいろいろと調べてみましたが、中性子星が太陽系に接近するのが、何故75年後なのかその根拠はわかりませんでした。
そもそも、たった75年で太陽系に近づくような超近距離にある中性子星なんて存在しませんし、最も近い中性子星でも400光年以上は離れています。
もし、仮にそんな近距離に中性子星があったとしたら、太陽系の近くで超新星爆発が起きたということにもなりますし、至近距離で超新星爆発が起きたとしたら、中性子星の恐怖以前に、この爆発に太陽系も巻き込まれて無事では済まなかったハズではないでしょうか!?
つまり、遠い未来は別として、75年後などに中性子星が太陽系に接近することなんてあり得ない話です。
もし中性子星が太陽系の近くにあったらどうなる?
中性子星は、巨大な重力でブラックホールになる一歩手前の天体だと考えられており、そのため、もし太陽系の1光年以内に中性子星が存在していたとしたら、凄まじい重力(潮汐力)によって地球は粉々に砕かれていると思われ、その前に中性子星が発する強烈な放射線で、地球上の生物は死滅してしまうかも知れません。とにかく、近くにあったらとてつもなく恐ろしい天体であるのは間違いない中性子星。
そして、もし75年後にこの星がやって来るとしたら、太陽系はもう既にその影響を大きく受けているに違いないでしょう。
地球滅亡のシナリオ。怖いのは中性子星より小天体の衝突
結論として、噂になっている中性子星の太陽系接近は非現実的な話ですので、まったく心配する必要はありませんが、それより現実的で要警戒なのが、太陽系内を不安定な軌道で周回する小惑星や彗星などの小天体の存在ではないでしょうか。【参考動画:地球に直径400kmの隕石が衝突したら】
小天体の地球衝突で有名なのは、約6,700万年前に起きたとされる直径10キロの小天体の地球衝突説があり、この衝突により、数億年もの間繁栄尾していた恐竜の時代が終わったと言われています。
「Image Credit:iStock」
また、その後も地球の環境に大きな影響を与えるような天体衝突が何度も起こったと言われており、現在においても毎年のように小惑星が地球の近くを通過するニアミスは起きています。
このような小天体がいつ地球に衝突するか?はわかっていませんが、もし今後、そのような危機が訪れたとしても、現在の人類の科学力ではそれを食い止める手段は持ち合わせていないのが現実です。